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残価設定型住宅ローンとは?仕組みとメリット・デメリットを解説

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はじめに

住宅価格の高騰が続く中、「残価設定型住宅ローン」(通称:残クレ住宅ローン)という新たな選択肢が注目を集めています。2026年3月にも公的な保険を通じた支援が始まり、本格的な普及が見込まれています。

自動車やスマートフォンの購入で広く使われている「残クレ」の仕組みを住宅ローンに応用したこの商品は、毎月の返済額を抑えられる点が大きな特徴です。しかし、総利息が増加するなど、利用にあたっては理解しておくべき注意点もあります。

この記事では、残価設定型住宅ローンの仕組みから、メリット・デメリット、利用に向いている人まで、独自調査に基づいて詳しく解説します。

残価設定型住宅ローンとは

基本的な仕組み

残価設定型住宅ローンとは、将来の住宅価値(残価)をあらかじめ設定し、その残価を除いた金額のみを分割返済する仕組みの住宅ローンです。

通常の住宅ローンでは、借入額全額を返済期間内に完済する必要があります。一方、残価設定型では、例えば5,000万円の住宅を購入する場合、将来の売却想定額を2,000万円と設定すれば、残りの3,000万円分のみを毎月返済することになります。これにより、毎月の返済負担を大幅に軽減できるのです。

JTI(移住・住みかえ支援機構)の役割

この仕組みの中核を担うのが、一般社団法人移住・住みかえ支援機構(JTI)です。JTIは公的な団体として、住宅の将来価値を査定し、その価格(残価)で買い取ることを保証します。

残価設定月は、JTIが保証する住宅の残価とローン残高が初めて同じ金額になる月を指し、現状では住宅ローンを借り入れてから20〜25年目前後に設定されることが多いです。

2つの重要なオプション

残価設定型住宅ローンには、残価設定月以降にいつでも行使できる2つのオプションがあります。

返済額軽減オプションは、毎月の返済額を段階的に引き下げる仕組みです。最終的には当初支払額の10分の1程度にまで軽減されます。この軽減された返済額は、借り手が亡くなるまで続く終身ローンとなります。

買取オプションは、JTIに住宅をあらかじめ設定された残価と同額で買い取ってもらえる仕組みです。市場価格の下落に左右されず、確実にローンを完済できる点が特徴です。

公的支援と制度の背景

国が推進する住宅政策の一環

残価設定型住宅ローンは、2021年度に国土交通省が民間事業者と協力して開発を開始しました。令和3年3月に閣議決定された「住生活基本計画(全国計画)」では、「残価設定ローン等の多様な金融手法の活用を進め、住宅の資産価値の合理化・明確化を推進」と明記されています。

この制度の背景には、空き家問題の解消や既存住宅市場の活性化という政策目標があります。良質な住宅を長く使い続けられる循環型社会の実現を目指す取り組みの一環として位置づけられています。

住宅価格高騰への対応策

2025年から2026年にかけて、住宅価格の高騰が続いています。首都圏の新築マンション価格は平均9,165万円、東京23区では1億3,205万円に達しています。中古マンションも上昇を続け、成約平米単価は前年比約13%上昇しています。

住宅価格高騰の要因としては、労働力不足による人件費の増加、地価の高騰、建築資材費の上昇に加え、円安による輸入コストの増加があります。さらに2025年4月からは全ての新築住宅に省エネルギー基準への適合が義務付けられ、2030年にはZEH水準が義務化されるため、建築費の上昇は今後も続く見込みです。

このような状況下で、毎月の返済負担を抑えられる残価設定型住宅ローンは、住宅取得の新たな選択肢として期待されています。

メリット

毎月の返済負担を軽減

最大のメリットは、毎月の返済額を抑えられることです。子育て期など支出が多い時期でも無理のない返済計画を立てやすくなります。

長期優良認定住宅のような資産性の高い住宅であれば残価が高く設定されるため、月々の返済負担がさらに軽減されます。

ライフスタイルの変化に対応

「定年後に田舎へ移住」「高齢になり子どもと同居」「子どもが独立したので駅近マンションへ引越し」など、ライフスタイルの変化で住み替える際に、JTIに残価と同額で住宅を買い取ってもらえるため、残債の心配がありません。

相続時の負担軽減

契約者が亡くなった後は、住宅が売却されてローンを精算できるため、相続人に負担を残しません。これは高齢化社会において大きな安心材料となります。

市場変動リスクからの保護

買取オプションにより、将来の不動産市場の下落リスクから保護されます。あらかじめ設定された残価で買い取りが保証されているため、売却時に想定より安くなってしまうリスクを回避できます。

デメリットと注意点

総返済額が増加する

最も重要な注意点は、総利息が膨らむ可能性があることです。返済額軽減オプションを行使すると、元本の返済が圧縮される分、長期間にわたって利息を支払い続けることになります。

例えば、楽天銀行の残価設定型住宅ローンでは、返済額軽減オプション行使後は終身ローンとなり、借り入れから50年経った頃からは金利のみの支払いとなります。長生きするほど、金利の支払いが続くことになるのです。

金利の上乗せ

残価設定型住宅ローンでは、通常の住宅ローンの借入金利に年0.2%が上乗せされます。また、JTIへの手数料として55,000円(税込)がかかります。

2026年3月には日銀の追加利上げにより住宅ローン金利がさらに上昇する見込みであり、金利負担は今後も注視が必要です。

対象住宅が限定される

残価設定型住宅ローンを利用できる住宅は、認定長期優良住宅など一定の品質が保証されている住宅に限られます。JTIが「かせるオプション証明書」を発行できる住宅のみが対象です。

また、対象は一戸建てのみであり、施工する事業者も指定されたハウスメーカーに限定されます。

メンテナンスコストの負担

住宅の価値を保つために、定期的なメンテナンスや修繕が欠かせません。長期優良住宅は10年に1回の点検が必須となるため、そのための手間と費用がかかります。

資産性の低い住宅では効果が限定的

資産性の低い住宅は残価を低く設定せざるを得ず、返済負担軽減による恩恵は限定的なものになります。立地や建物の品質によっては、通常の住宅ローンとの差が小さくなる可能性があります。

取扱金融機関

現在利用可能な金融機関

2026年1月現在、残価設定型住宅ローンを取り扱っている金融機関は以下の通りです。

  • 三菱UFJ銀行: 2023年春から取り扱い開始。三大メガバンク初の参入
  • 楽天銀行: パナソニックホームズとの提携により、最長40年の「楽天銀行オプション付加型残価設定住宅ローン」を提供
  • 日本住宅ローン: JTIと連携した商品を展開

今後、公的保険を通じた支援が始まることで、取り扱い金融機関の拡大が期待されています。

利用に向いている人

残価設定型住宅ローンは、以下のような方に特に適しています。

  • 子育て世帯: 子どもの教育費など支出が多い時期に、月々の返済を抑えたい方
  • 将来の住み替えを検討している方: ライフステージの変化に合わせて柔軟に対応したい方
  • 相続を簡素化したい方: 相続人に住宅ローンの負担を残したくない方
  • 長期優良住宅を検討している方: 資産性の高い住宅で残価を高く設定できる方

一方で、住宅を子どもに残したい方や、総返済額を最小化したい方には向いていない可能性があります。

まとめ

残価設定型住宅ローンは、住宅価格高騰が続く中で、毎月の返済負担を軽減できる新たな選択肢として注目されています。2026年3月からの公的保険による支援開始で、さらなる普及が見込まれます。

ただし、総利息の増加や対象住宅の制限など、利用にあたっては注意すべき点もあります。自分のライフプランや資金計画に合っているかどうか、通常の住宅ローンとも比較しながら慎重に検討することが重要です。

JTIが提供するシミュレーションツールを活用したり、取扱金融機関に相談したりして、具体的な条件を確認することをおすすめします。

参考資料:

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