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by nicoxz

ペアローンと50年返済、住宅ローン長期化のリスク

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はじめに

「新婚から金婚式まで住宅ローンを返済し続ける」——そんな時代が到来しています。マンション価格の高騰により、若い世帯では夫婦それぞれがローンを組む「ペアローン」と、最長50年の超長期返済を組み合わせるケースが急増しています。

住宅金融支援機構の調査によると、返済期間35年超のローンを組む割合は2021年の8.6%から2024年には16%まで上昇。ペアローンの利用率も約4割に達しました。東京都の20代に限ると、「夫婦で超長期ローン」を選ぶ割合は2割弱に上ります。

本記事では、住宅価格高騰の現状、ペアローン・超長期ローンのリスク、そして将来の家計への影響について解説します。

住宅価格高騰の現状

首都圏マンションの価格推移

首都圏の新築マンション価格は上昇を続けています。2025年5月の首都圏新築マンションの平均価格は9,396万円と、前年比で25.5%上昇しました。特に東京都区部では平均価格が1億4,049万円となり、1億円を大きく超える水準です。

中古マンションも同様の傾向にあり、2025年8月の首都圏中古マンション成約平米単価は84.85万円/㎡と、前年同月比で約13%上昇しています。

一般世帯の購入難

東京カンテイの調査によると、首都圏の新築マンション価格は平均世帯年収(800万円)の12倍を超えています。適正とされる年収倍率7倍を大きく上回っており、一般的な給与所得者が新築を購入することは極めて困難な状況です。

いわゆる「パワーカップル」(夫婦ともに高収入の世帯)でも、生活費を考慮すると手を出しにくい価格帯になっています。

価格上昇の要因

価格高騰の背景には、複合的な要因があります。

  • 資材費の上昇:円安や物価高騰により、鉄筋などの建設資材が値上がり
  • 人件費の上昇:働き方改革の影響や人手不足により、建設作業員の人件費が増加
  • 土地価格の上昇:都心部を中心に土地価格も上昇基調
  • 住宅の高スペック化:省エネ性能や耐震性能の向上に伴うコスト増

ペアローンの仕組みとメリット

ペアローンとは

ペアローンとは、夫婦それぞれが住宅ローンを組み、お互いに連帯保証人になる形式のローンです。収入合算では借りられない額まで借入可能になるため、住宅価格高騰の中で利用が広がっています。

三井住友信託銀行の調査によると、20代・30代ではペアローン利用率が約2割に達し、全年代平均の2倍となっています。

メリット

ペアローンには以下のようなメリットがあります。

  • 借入可能額の増加:夫婦2人の収入を基に審査されるため、より高額の物件を購入可能
  • 住宅ローン控除の適用:夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けられる
  • 団体信用生命保険:夫婦それぞれが加入できる

50年返済のメリットと仕組み

月々の返済負担軽減

返済期間を50年に延ばすことで、月々の返済額を大幅に抑えることができます。例えば、5,000万円を金利1.5%で借りた場合、35年返済なら月約15.3万円ですが、50年返済なら月約11.9万円となります。

「期限の利益」

専門家の中には、長期ローンには「期限の利益」があるとの見方もあります。返済期間はいつでも借り手の選択で短縮できるため、余裕のある月に繰り上げ返済を行うという選択肢が残ります。

ペアローン・超長期ローンのリスク

リスク1:離婚時の問題

ペアローンの最大のリスクは離婚です。日本では毎年約60万組が結婚する一方、約21万組が離婚しており、3組に1組が離婚する計算になります。

離婚時には以下のような問題が発生します。

売却の困難さ ペアローンでは物件の売却に双方の同意が必要です。元配偶者が売却に同意しない場合、「売りたくても売れない」状況に陥ります。

二重の支払い 離婚後、新しい住居の費用と住宅ローン返済が重なり、二重の支払いが発生することがあります。

連帯保証責任 ペアローンではお互いが連帯保証人になるため、元配偶者が返済を滞らせると、自分が肩代わりしなければなりません。家を出ても返済責任は消えないのです。

リスク2:総返済額の増加

返済期間が長いほど、支払う利息の総額は膨らみます。50年ローンでは35年ローンと比べて、総返済額が数百万円単位で増えることもあります。

リスク3:老後の返済負担

30歳で50年ローンを組むと、完済は80歳。日本では多くの人の収入が60代以降に減少します。年金生活に入っても住宅ローンの返済を抱えていると、家計を大きく圧迫します。

退職金で繰り上げ返済する計画を立てている人もいますが、退職金制度が縮小傾向にある中、計画通りにいかないリスクもあります。

リスク4:金利変動リスク

多くの金融機関では、変動金利型ローンの金利は半年ごとに見直されます。借入期間が50年と長期になる場合、金利上昇の影響を受ける期間も長くなります。わずかな金利上昇でも、総返済額は大きく変動する可能性があります。

リスク5:ライフプランの変化

50年という期間は、人生における様々な変化が起こり得る長さです。

  • 結婚・出産・子育て
  • 転職・独立
  • 親の介護
  • 自身の病気・休職
  • 収入の変動

これらの変化に対して、高額のローン返済を抱えたまま対応することは容易ではありません。

リスク6:売却時の残債割れ

住宅価格が下落した場合、売却しようとしてもローン残高が売却価格を上回る「残債割れ」(オーバーローン)が発生することがあります。超長期ローンでは元本の減少が遅いため、このリスクが高まります。

競売・任意売却の増加

住宅ローンが払えない世帯が増える兆しが見えています。融資金回収のために競売にかけられた物件は2024年に15年ぶりに増加しました。競売前に自宅を売却する「任意売却」の相談も増えています。

金利上昇や収入減少が重なれば、この傾向はさらに加速する可能性があります。

注意点・対策

購入前に考えるべきこと

住宅購入を検討する際は、以下の点を慎重に検討することが重要です。

  1. 将来の収入変動を見込む:片方が専業主婦(主夫)になる可能性、転職や独立の可能性を考慮
  2. 離婚リスクを認識する:3組に1組が離婚するという統計を踏まえた判断
  3. 老後の資金計画:住宅ローン返済と老後資金のバランス
  4. 繰り上げ返済の余力:余裕のある月に返済を進められるか

代替の選択肢

すべての人が都心の新築マンションを購入する必要はありません。以下のような選択肢も検討に値します。

  • 中古マンションへのシフト:新築に比べて価格を抑えられる
  • 郊外エリアの検討:都心から少し離れたエリアで選択肢を広げる
  • 賃貸継続:住宅購入にこだわらず、ライフステージに合わせて住み替える
  • 戸建ての検討:2030年頃には立地の良い中古戸建てが市場に出てくる可能性

まとめ

住宅価格の高騰により、「ペアローン」と「50年返済」を組み合わせる若い世帯が増えています。しかし、離婚リスク、老後の返済負担、金利変動リスクなど、長期的な視点で見ると多くの課題があります。

住宅購入は人生最大の買い物の一つです。目先の月々の返済額だけでなく、50年先までの人生を見据えた慎重な判断が求められます。無理のない範囲での購入、あるいは購入以外の選択肢も含めて、総合的に検討することが大切です。

参考資料:

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