ソニーG好決算で株価続伸、アナリスト強気の理由
はじめに
ソニーグループ(6758)の株価が好決算を受けて続伸しています。2026年2月5日に発表された2025年度第3四半期(2025年4〜12月期)の連結決算では、営業利益が前年同期比21%増の1兆2,839億円と大幅な増益を達成しました。同時に通期業績予想を3度目となる上方修正を行い、純利益は1兆1,300億円に引き上げられています。
証券アナリストの間では強気の買い判断が継続しており、コンセンサスでは「強気買い」の評価が大勢を占めています。本記事では、ソニーグループの最新決算の中身と、アナリストが高評価を維持する背景を詳しく解説します。
第3四半期決算の全体像
売上高・利益ともに堅調な伸び
ソニーグループの2025年4〜12月期の連結業績は、売上高が前年同期比2.3%増の9兆4,432億円、営業利益が同21%増の1兆2,839億円となりました。純利益は同12.4%増の9,477億円を計上しています。
特筆すべきは営業利益の伸び率です。売上高の伸びが緩やかな中でも、収益性の高い事業が牽引することで利益率が大きく改善しました。半導体イメージセンサー事業やゲーム事業のネットワークサービス、音楽ストリーミングなど、いずれも高い利益率を持つ分野が成長をけん引しています。
3度目の通期予想上方修正
2026年3月期の通期業績予想は、売上高12兆3,000億円(前期比2.2%増)、営業利益1兆5,400億円(同20.6%増)、純利益1兆1,300億円(同5.9%増)へと上方修正されました。今期に入って3度目の上方修正であり、経営陣の業績に対する自信がうかがえます。
上方修正の主な要因は、スマートフォン向けイメージセンサーの販売好調、音楽事業における為替効果、ゲーム事業でのサードパーティソフトウェアの販売増加などです。
セグメント別にみる好業績の要因
イメージセンサーが最高益を更新
イメージング&センシング・ソリューション(I&SS)事業は、第3四半期に売上高が前年同期比21%増、営業利益は同35%増と、いずれも過去最高を更新しました。スマートフォン向けCMOSイメージセンサーの販売数量が増加し、高付加価値製品の比率が高まったことで単価も上昇しています。
AI関連の需要拡大も追い風です。スマートフォンに搭載されるAI機能の高度化により、高性能イメージセンサーへの需要が増加しています。ソニーはこの分野で世界シェアトップを維持しており、競争優位が利益成長に直結しています。
ゲーム事業はサービス収益が拡大
ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)事業では、PS5のハードウェア販売台数は前年同期比16%減の800万台と減少しました。しかし、営業利益は同19%増と好調です。この背景には、PlayStation Networkの月間アクティブユーザー数が過去最高の1億3,200万人に達したことがあります。
PS5の累計販売台数は9,210万台を突破し、PlayStation Plusの課金収入やゲーム内課金など、ネットワークサービス収益が拡大しています。ハードウェアの売り切り型ビジネスから、サービス・サブスクリプション型への転換が着実に進んでいます。
音楽事業はストリーミングが牽引
音楽事業は第3四半期に売上高が前年同期比13%増となりました。ストリーミング収入の伸長に加え、ライブイベントやマーチャンダイジング(グッズ販売)の収益増加が寄与しています。
通期では売上高2兆500億円、営業利益4,450億円が見込まれており、音楽事業単体でも高い収益性を誇ります。Peanuts Holdings(スヌーピーの版権管理会社)の追加出資に伴う再評価益450億円も含まれていますが、本業ベースでも堅調な成長を続けています。
アナリストが強気を維持する理由
コンセンサスは「強気買い」
2026年2月時点のアナリスト評価では、強気買いが17人、買いが4人、中立が2人と、圧倒的多数が買い推奨を継続しています。平均目標株価は5,063円で、直近の株価(約3,500円台)から40%以上の上昇余地があるとの見方です。
ゴールドマン・サックスをはじめとする大手証券会社が買い判断を維持している背景には、ソニーの「複合型エンターテインメント企業」としての成長ストーリーへの評価があります。ゲーム・音楽・映画・半導体という複数の成長ドライバーを持つことで、特定事業の減速リスクを分散できる点が強みです。
今後の注目ポイント
一方で投資家が注意すべきリスク要因もあります。メモリー価格(DRAM・NAND)の高騰がPS5や半導体事業のコストに影響を与える可能性が指摘されています。決算発表後の米国市場では、好決算にもかかわらず株価が一時的に下落する場面もありました。
また、映画事業は売上高こそ前年同期比8.7%増の3,982億円と伸びたものの、営業利益は同18.3%減の340億円にとどまりました。2023年のハリウッドストライキの影響が依然として残っており、コンテンツパイプラインの回復には時間がかかる見通しです。
注意点・展望
ソニーグループは2025年10月に金融事業(ソニーフィナンシャルグループ)を分離上場させており、現在の決算は「継続事業ベース」での比較となっています。前年同期との単純比較には注意が必要です。
今後の成長に向けては、PS5のライフサイクル後半における収益維持と、次世代ハードウェアの戦略が焦点となります。イメージセンサー事業では、スマートフォン市場の成熟化が進む中で、自動車向けやIoT向けなど新たな需要先の開拓が中長期的な成長のカギを握ります。
為替動向も業績に大きな影響を与えます。音楽事業やゲーム事業は海外売上比率が高く、円安はプラスに働きますが、円高に転じた場合は業績の下押し要因となります。
まとめ
ソニーグループの2025年度第3四半期決算は、半導体イメージセンサー、ゲームのネットワークサービス、音楽ストリーミングの3本柱が好調で、通期予想を3度目の上方修正に導きました。アナリストのコンセンサスは圧倒的に「強気買い」であり、平均目標株価は現在の株価から40%以上の上昇余地を示しています。
投資家にとっては、メモリー価格の高騰リスクや映画事業の回復ペースに注意しつつも、複数の成長ドライバーを持つソニーの事業ポートフォリオの強さを評価するタイミングです。次回の本決算発表(2026年5月予定)に向けて、各セグメントの進捗を注視していくことが重要です。
参考資料:
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