高木美帆、本命1500mで6位も通算メダル10個の偉業
はじめに
2026年2月20日、ミラノ・コルティナ冬季五輪のスピードスケート女子1500メートルが行われ、世界記録保持者として金メダルの最有力候補と目されていた高木美帆選手(TOKIOインカラミ)は1分54秒86で6位に終わりました。平昌、北京と2大会連続銀メダルの種目で、3度目の挑戦となった悲願の金メダルは叶いませんでした。
レース後、高木選手は涙を流しながら「挑戦は終わった」と語りました。しかし、今大会では500m、1000m、団体パシュートで銅メダル3個を獲得し、五輪通算メダル数を日本女子最多の10個に伸ばす偉業を達成しています。
女子1500mレースの詳細
積極策も実らず6位
高木選手は最終15組に登場し、序盤から積極的なレースを展開しました。1100メートル地点では全体2位のタイムで通過するなど、攻めの姿勢を貫きました。しかし、ラスト1周で失速し、最終的に1分54秒86で6位フィニッシュとなりました。
世界記録(1分49秒83)を持つ高木選手にとって、1500mは自身の集大成ともいえる種目です。3年前から「ミラノの1500メートル」を一番の目標に掲げてきただけに、メダルに届かなかった結果は本人にとって大きな悔しさがあったことでしょう。
デヨングが金メダルを獲得
金メダルはオランダのアントワネット・ライプマ=デ・ヨング選手で、タイムは1分54秒09でした。オランダ勢がスピードスケートの伝統的な強さを発揮した形です。
日本勢では佐藤綾乃選手(ANA)が22位、堀川桃香選手(富士急)が26位という結果でした。
ミラノ五輪で獲得した3つの銅メダル
500m:37秒27で銅
大会序盤の500メートルで、高木選手は37秒27のタイムで銅メダルを獲得しました。1500mを本命種目としながらも500mに出場した背景には、チームへの貢献と自身のオールラウンダーとしての矜持がありました。北京五輪の銀メダルに続く2大会連続の表彰台です。
1000m:銅メダルで9個目
1000メートルでも銅メダルを手にし、五輪通算メダル数を9個に伸ばしました。北京五輪では1000mで金メダルを獲得しており、2大会連続でのメダル獲得です。この種目でも安定した実力を見せました。
団体パシュート:3大会連続の表彰台
団体パシュートでは日本チームの一員として銅メダルを獲得しました。平昌五輪の金メダル、北京五輪の銀メダルに続く3大会連続の表彰台で、チーム競技でも揺るぎない存在感を示しました。この銅メダルにより、通算メダル数は日本女子最多の10個となりました。
高木美帆の五輪メダル全記録
16年にわたる五輪の歩み
高木美帆選手の五輪キャリアは2010年のバンクーバー大会から始まりました。当時15歳で日本代表に選出されましたが、個人種目では入賞は叶いませんでした。その後、2014年ソチ五輪では代表落選という挫折も経験しています。
転機となったのは2018年平昌五輪です。団体パシュートで金メダル、1500mと1000mで銀メダルと、一気に3つのメダルを獲得しました。続く2022年北京五輪では1000mで悲願の個人種目金メダルを手にし、500m、1500m、団体パシュートで銀メダルと合わせて4個のメダルを獲得しています。
通算10個の内訳
| 大会 | 種目 | メダル |
|---|---|---|
| 平昌2018 | 団体パシュート | 金 |
| 平昌2018 | 1500m | 銀 |
| 平昌2018 | 1000m | 銀 |
| 北京2022 | 1000m | 金 |
| 北京2022 | 500m | 銀 |
| 北京2022 | 1500m | 銀 |
| 北京2022 | 団体パシュート | 銀 |
| ミラノ2026 | 500m | 銅 |
| ミラノ2026 | 1000m | 銅 |
| ミラノ2026 | 団体パシュート | 銅 |
金2、銀4、銅4の計10個は、夏季五輪を含めた日本女子選手の中で歴代最多記録です。
注意点・展望
世界記録保持者でもメダルに届かない五輪の厳しさ
1500mの世界記録(1分49秒83)は2019年にソルトレークシティで樹立されたもので、高地リンクでの記録です。一方、五輪は標準的な標高のリンクで行われるため、世界記録のタイムがそのまま実力差を表すわけではありません。五輪本番では体調管理やレース展開、メンタルなど総合的な要素が結果を左右します。
高木選手の場合、前半の積極策がラスト1周の失速につながった可能性があります。1500mという中距離種目特有のペース配分の難しさが、勝負を分けた要因のひとつと考えられます。
今後のキャリアと日本スピードスケートの展望
高木選手は今大会を通じて「いろんな感情を味わった大会」と振り返っています。1500mの結果は本人にとって受け入れがたいものだったかもしれませんが、3種目でメダルを獲得したオールラウンダーとしての実力は他の追随を許しません。
4年後の2030年冬季五輪に向けてキャリアを継続するかどうかは、今後の本人の判断に委ねられます。いずれにせよ、通算10個のメダルは日本のスポーツ史に刻まれる偉業です。
まとめ
ミラノ五輪スピードスケート女子1500mで、世界記録保持者の高木美帆選手は6位に終わり、悲願の金メダルには届きませんでした。しかし、今大会では500m、1000m、団体パシュートの3種目で銅メダルを獲得し、五輪通算メダル数を日本女子最多の10個に更新しました。
結果だけを見れば、大会ごとにメダルの色が金・銀から銅へと変わっていますが、30歳を超えてなお3種目でメダルを獲得し続ける持続力こそが高木選手の真骨頂です。日本スピードスケート界に残した功績は、数字だけでは語り尽くせないものがあります。
参考資料:
関連記事
高木美帆がミラノ五輪で銅3個、本命1500mは6位に終わる
ミラノ・コルティナ冬季五輪のスピードスケート女子で3つの銅メダルを獲得した高木美帆。世界記録保持者として臨んだ本命の1500mでは6位に沈んだが、五輪通算メダル10個の金字塔を打ち立てた4年間の挑戦を振り返る。
女子団体パシュート銅、21歳野明花菜が五輪初舞台で大役
ミラノ五輪スピードスケート女子団体パシュートで日本が3大会連続のメダルとなる銅を獲得。五輪デビューの野明花菜が先輩の絶妙サポートを受け、米国を下しました。
日本選手団が冬季五輪メダル最多記録を更新した背景
ミラノ・コルティナ2026冬季五輪で日本選手団のメダル数が通算19個に到達し、北京大会の18個を超えて過去最多を更新。女子団体追い抜き銅メダルや高木美帆の通算10個達成など、躍進の要因を解説します。
高木美帆が1500mで6位、世界記録保持者の無念と輝かしい軌跡
ミラノ・コルティナ2026冬季五輪スピードスケート女子1500mで、世界記録保持者の高木美帆が6位に終わりました。ラスト1周での失速の背景と、通算メダル10個の偉業を振り返ります。
女子団体追い抜きで日本が銅メダル獲得 ミラノ五輪
ミラノ・コルティナ五輪スピードスケート女子団体追い抜きで日本が3大会連続メダルとなる銅を獲得。髙木美帆は通算10個目の五輪メダルで日本女子最多記録を更新しました。
最新ニュース
ブラジルがBYD「奴隷労働」認定を撤回した背景と波紋
ブラジル政府が中国EV大手BYDを「奴隷労働」企業に認定後わずか2日で撤回し、認定を主導した労働監督局長を解任した。カマサリ工場建設現場で163人の中国人労働者がパスポート没収・賃金搾取の被害に遭った事件の経緯と、中国との外交関係を優先する政治判断が労働者保護を揺るがす構造的問題を読み解く。
AI半導体株高が再点火した理由 世界株高を支える成長と危うさの正体
日経平均は4月14日に5万7877円へ反発し、米ナスダックも戦争ショック後の下げをほぼ吸収しました。なぜAI・半導体株に資金が戻るのか。TSMC、ASML、Broadcom、半導体ETF、原油高との綱引きを手掛かりに、世界株高の持続条件と崩れやすさを解説します。
Amazonのグローバルスター買収 通信衛星戦略と競争環境整理
Amazonは2026年4月14日、Globalstarを総額115.7億ドルで買収すると発表しました。狙いは衛星通信網、Band n53の周波数、Apple向けサービス、そしてDirect-to-Device市場です。Starlink先行の構図の中で、Amazon Leoが何を得て何が課題として残るのかを整理します。
ANA人事騒動は何だったのか 1997年対立と統治改革の起点
1997年のANA人事騒動は、若狭得治名誉会長、杉浦喬也会長、普勝清治社長の対立が表面化し、社長候補の差し替えまで起きた統治危機でした。背景には規制緩和下での旧運輸官僚主導と生え抜き経営のねじれがありました。1999年の無配、取締役31人から19人への削減、スターアライアンス参加へつながる改革の意味を読み解きます。
ANAとJALの上級座席競争を需要回復と機材更新戦略から読む
ANAは2026年8月受領の787-9に個室型ビジネスクラス「THE Room FX」を載せ、JALは2027年度から737-8で国内線ファーストクラスを全国展開します。訪日客4268万人、訪日消費9兆4559億円、国内旅行消費26兆7746億円の時代に、航空会社が座席を上質化する収益戦略を読み解きます。