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by nicoxz

東証がデータ経営へ転換、システム通の横山氏登板

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はじめに

日本取引所グループ(JPX)は2026年2月25日、傘下の東京証券取引所(東証)の新社長に大阪取引所の横山隆介社長(62)を起用すると発表しました。横山氏はシステム畑が長く、2020年の東証システム障害時にはCIO(最高情報責任者)として復旧の陣頭指揮を執った人物です。

取引所の競争力がデジタル技術に左右される時代を迎え、JPXは株式売買手数料に依存する収益構造からの脱却を目指しています。本記事では、東証のデータ経営シフトの背景と、世界の取引所が進めるデジタル戦略を解説します。

横山新社長の人物像と就任の狙い

システム畑30年のキャリア

横山隆介氏は1986年に東京証券取引所に入所し、約40年にわたり取引所業務に携わってきました。その中でもシステム関連の業務が長く、取引所のIT基盤に精通した人物として知られています。

2020年10月に発生した東証のシステム障害は、終日売買停止という前例のない事態を引き起こしました。横山氏はJPXのCIOとして復旧の指揮を取り、再発防止策の策定にも中心的な役割を果たしました。この経験が、システムとデータの重要性を熟知する経営者としての評価につながっています。

3年ぶりの社長交代

東証社長の岩永守幸氏(64)は退任し、横山氏が4月1日付で就任します。社長交代は3年ぶりです。横山氏はJPXのグループCOO(最高執行責任者)も兼務する予定で、グループ全体のオペレーションにも影響力を持つことになります。

大阪取引所の後任には、同社常務執行役員の多賀谷彰氏が昇格し、JPXの山道裕己CEO(最高経営責任者)は続投します。

データ経営への転換と収益構造の見直し

手数料依存の限界

取引所の伝統的な収益源は、株式売買に伴う手数料です。しかし、ネット証券の台頭による手数料競争の激化や、売買代金の変動による収益の不安定さが課題となっています。また、2023年のSBI証券・楽天証券の国内株式売買手数料無料化の動きは、取引所の手数料収入にも間接的な影響を与えています。

JPXの収益構造を見ると、証券会社からの取引関連収入、上場企業からの時価総額に基づく上場料、そして市場情報の利用料が主な柱です。このうち、データ関連のサービスを拡大することで、より安定した収益基盤の構築を目指しています。

JPXのデータ戦略

JPXは2021年12月にJPX総研を設立し、データおよびデジタル関連業務を集約しました。海外の主要取引所がデータやテクノロジーを活用したネットワークビジネスを強化し、事業の多角化とサービスの高度化を進めていることに対応した動きです。

具体的な取り組みとして、2025年11月には市場データプラットフォーム「J-Quants DataCube」を全面刷新し、投資家がより使いやすい形でデータにアクセスできる環境を整備しました。「JPXデータカタログ」を通じて、取引データや企業情報を体系的に提供するサービスも展開しています。

世界の取引所が進めるデジタル競争

海外取引所の先行事例

世界の主要取引所は、すでにデータビジネスを重要な収益源に育てています。ロンドン証券取引所グループ(LSEG)は、データ・分析事業が全収益の大きな割合を占め、取引手数料を上回る収益源となっています。ナスダックも、テクノロジーソリューションやデータサービスの提供に注力しています。

これらの取引所は、単なるデータの販売にとどまらず、AIを活用した分析ツールやリスク管理システム、コンプライアンス支援サービスなど、付加価値の高いソリューションを提供することで収益を多角化しています。

JPXの中期経営計画

JPXは2025年3月に「中期経営計画2027」を策定し、急速に進化するデジタル技術を積極的に活用してデータサービスの利便性向上を図る方針を打ち出しています。投資や外部連携を通じて付加価値を高め、デジタル技術による市場全体の効率性追求を掲げています。

注意点・今後の展望

システム畑出身の社長が就任することで、テクノロジー投資の加速が期待されます。しかし、データビジネスの拡大には、個人情報保護やデータの公平なアクセスといった規制面の課題もあります。また、データの商業利用に対する市場参加者からの反発も想定されます。

競争の観点では、日本市場でも新興の取引システムやPTS(私設取引システム)が存在感を増しており、東証の独占的な地位は将来的に揺らぐ可能性があります。データ経営への転換は、こうした競争環境の変化への先手を打つ意味合いもあります。

まとめ

東証の社長にシステム通の横山隆介氏が就任することは、JPXがデータ経営への本格シフトを進める強い意志の表れです。株式売買手数料に頼る従来型の収益モデルから、データやデジタルサービスを柱とする新たな収益構造への転換が急務となっています。

投資家にとっては、JPXが提供するデータサービスの充実により、より質の高い投資判断が可能になることが期待されます。日本の資本市場の競争力強化に向け、横山新社長のリーダーシップに注目が集まります。

参考資料:

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