ユニクロ米欧事業が稼ぎ頭に、純利益上方修正で6年連続最高益へ

by nicoxz

はじめに

ファーストリテイリングが2026年8月期の連結純利益を4500億円(前期比4%増)へと上方修正しました。これは期初計画から150億円の上積みで、6年連続の最高益更新となります。特に注目すべきは、長年苦戦が続いていた米国・欧州のユニクロ事業が、ついに中国事業に並ぶ稼ぎ頭へと成長した点です。一等地への旗艦店出店戦略が奏功し、グローバルで全方位成長が加速しています。この記事では、ファーストリテイリングの米欧事業の躍進の背景と、今後の成長戦略について詳しく解説します。

米欧事業の劇的な成長

中国に並ぶ主力市場へ

ファーストリテイリングの海外事業において、これまで中国が圧倒的な主力市場でした。しかし、2024年9〜11月期(第1四半期)の業績では、米欧事業が大きく躍進しています。欧州の売上収益は前年同期比42%増の1020億円、北米も17%増の680億円と、ともに高い伸びを記録しました。

海外ユニクロ事業全体では、第1四半期の売上収益が6038億円(前年同期比20.3%増)、事業利益が1173億円(同38.0%増)と、大幅な増収増益を達成しています。岡崎健CFOは「グローバルで全方位成長が加速している」と自信を見せており、特に米欧の成長が業績を牽引していることが明らかになりました。

戦略的転換の成功

ファーストリテイリングは、新型コロナウイルス禍で中国市場が厳格なロックダウン政策により打撃を受けた経験から、中国への依存度を下げ、北米と欧州を主要成長市場として位置づける戦略的転換を図ってきました。この戦略が2024年以降、明確な成果として表れています。

中国市場も引き続き重要な市場として成長を続けていますが、北米・欧州・韓国・東南アジア/インド/オーストラリアなど、複数の地域で同時に力強い成長を実現することで、リスク分散と安定的な成長基盤を確立しつつあります。

一等地への旗艦店戦略

プレミアムロケーションでのブランド構築

ユニクロの米欧での成長を支える最大の要因が、主要都市の一等地への旗艦店出店戦略です。欧州では、誰もが訪れる主要都市の一等地にユニクロのシンボルとなる店舗を出店することで、目の肥えた欧州の顧客に対して企業姿勢を存分に伝える役割を果たしています。

近年では、ローマ、ロッテルダム、ロンドンのキングスクロス地区、コペンハーゲン、アムステルダムなどに出店。2024年第1四半期にはアントワープ、バーミンガム、ミュンヘンに大型店舗をオープンしました。さらにシカゴ、ニューヨーク、ボストンにも新たな旗艦店を計画しています。

欧州市場の特性

欧州市場における店舗あたりの売上高は、日本と比較して大幅に大きいことが特徴です。主要な未進出都市や新規国への旗艦店出店により、企業そのものとブランド価値を伝達することで、大きなインパクトを生み出しています。

2024年秋にはポーランド、米国テキサス州への初出店も実施。グローバルでの店舗数は2500店舗を突破し、着実に拡大を続けています。

積極的な出店計画

地域別の出店戦略

2026年8月期における地域別の出店計画は以下の通りです:

北米:約25店舗の出店を計画。大型店舗やフラッグシップレベルの店舗を含み、東海岸・西海岸の都市部での展開継続に加え、テキサス州などの新市場開拓も進めています。2026年8月期末には北米全体で100店舗を超える見込みです。

欧州:20店舗以上の出店を目指しています。新規都市や主要都市の一等地への展開を加速させ、ブランド浸透を図ります。

質を重視した出店

ユニクロの海外展開において特徴的なのは、単純な店舗数の拡大ではなく、一店舗あたりの質と影響力を重視している点です。旗艦店や大型店舗を主要都市の一等地に配置することで、ブランド認知度を高め、その周辺地域への波及効果を狙う戦略を採用しています。

この「旗艦店戦略」により、ユニクロは単なる低価格衣料品ブランドではなく、品質とデザイン性を兼ね備えたグローバルブランドとしての地位を確立しつつあります。

2026年8月期の業績見通し

全体業績予想

2026年8月期の連結業績予想は以下の通りです:

  • 売上収益:3兆8000億円(前期比11.7%増)
  • 事業利益:6500億円(同17.9%増)
  • 営業利益:6500億円(同15.2%増)
  • 親会社所有者帰属当期利益:4500億円(同3.9%増)

これらすべてが過去最高を更新する見込みで、6年連続の最高益となります。

第1四半期の好調な滑り出し

2025年9〜11月期の第1四半期では、連結売上収益が1兆300億円(前年同期比14.8%増)、事業利益が2056億円(同31%増)と、大幅な増収増益を達成しました。この好調な業績を受けて、営業利益目標を6100億円から6500億円へと上方修正しています。

国際セグメント全体では利益成長率が41.6%に達し、多くの海外市場で2桁の収益・利益成長を記録しています。

今後の展望と課題

グローバルバランスの最適化

ファーストリテイリングは、中国・米国・欧州・アジア各地域でバランスの取れた成長を実現しつつあります。今後は各地域の特性に合わせた商品展開やマーケティング戦略により、さらなる成長を目指す方針です。

中国市場については、JD.comとの共同事業展開により新規顧客の獲得に成功しており、引き続き収益・利益の増加が見込まれています。秋冬商品の販売も好調で、最大市場としての重要性は変わりません。

持続可能な成長基盤

米欧市場での成功は、ファーストリテイリングにとって持続可能な成長基盤の構築を意味します。先進国市場での高いブランド認知度と店舗網の拡大により、為替変動や地政学リスクへの耐性が高まります。

また、欧米の顧客は品質やサステナビリティへの関心が高く、ユニクロの「LifeWear(究極の普段着)」というコンセプトが受け入れられることで、価格競争に巻き込まれにくいポジショニングを確立できる可能性があります。

まとめ

ファーストリテイリングの米欧事業の成長は、長年の戦略的投資と一等地への旗艦店展開が実を結んだ結果です。中国市場への依存度を下げ、グローバルで多極的な成長基盤を構築する戦略は、2026年8月期に明確な成果として表れています。

6年連続の最高益更新という業績は、ユニクロが真のグローバルブランドとして確立されつつあることを示しています。今後も主要都市での旗艦店展開を継続し、各地域での存在感を高めることで、さらなる成長が期待されます。

投資家や消費者にとって、ファーストリテイリングの全方位的な成長戦略は、アパレル業界における新たな成功モデルとして注目に値するでしょう。

参考資料:

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