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by nicoxz

味の素クックドゥ「極」が好調、本格四川の味で大人を獲得

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はじめに

味の素が展開する中華合わせ調味料ブランド「Cook Do(クックドゥ)」の高級ライン「極(プレミアム)」シリーズが、好調な売れ行きを見せています。1978年の誕生以来「家族みんなで食べられる本格中華」をコンセプトに掲げてきたクックドゥが、あえてその路線とは一線を画し、本場四川料理の刺激的な味わいに挑んだ意欲作です。

現在3種類を展開するこのシリーズは、夫婦2人世帯や単身世帯を中心に支持を集めています。中華料理を「嗜好品」として楽しむ大人の需要を的確に捉えた戦略が奏功した形です。この記事では、クックドゥ「極」シリーズのヒットの背景と、変化する食品市場のトレンドを解説します。

45年の技術を結集した「極」シリーズ

第1弾「麻辣麻婆豆腐用」の衝撃

クックドゥ「極」シリーズの第1弾として2023年8月に発売されたのが「極(プレミアム)麻辣麻婆豆腐用」です。発売からわずか6週間で累計100万食を突破し、初年度の売上目標である6億円(消費者購入ベース)を達成するヒット商品となりました。

この商品の開発にあたり、味の素の開発チームは徹底した現地調査を実施しています。高級四川料理の麻婆豆腐で評価の高い店舗を数十店食べ歩き、花椒のしびれる辛さと唐辛子のヒリヒリする辛さを舌で確認しながら、目指す「しび辛」の味わいのイメージを固めていきました。

特筆すべきは、ラー油と花椒油への徹底的なこだわりです。ラー油には2種類の唐辛子と花椒を使用し、加熱時間と温度を2段階に分ける独自の製法で、香ばしい味わいとさわやかな香りの両立を実現しました。花椒油には挽きたての青花椒を使い、爽快な香りを引き出しています。

ラインアップ拡充で攻勢

2025年1月には第2弾として「極 麻辣回鍋肉用」と「極 香辣麻婆茄子用」の2品種が追加され、シリーズは計3種類に拡充されました。それぞれの売上目標は約4.8億円と約4.3億円(消費者購入ベース)に設定されており、味の素がこのシリーズに寄せる期待の大きさがうかがえます。

回鍋肉用には四川花椒油と熟成豆板醤をベースにした本格的な味わいを、麻婆茄子用には香り高い辣(ラー)の風味を前面に打ち出しています。いずれも、家庭の調理器具と身近な食材だけで本場の味を再現できるという、クックドゥの基本コンセプトを維持しつつ、味のレベルを一段引き上げた商品です。

変化する消費者ニーズと麻辣ブーム

世帯構造の変化がもたらした新需要

クックドゥ「極」シリーズがターゲットとしているのは、従来のファミリー層ではなく、夫婦2人世帯や単身世帯です。日本では少子高齢化と世帯の小規模化が進んでおり、総務省の統計によると単身世帯は全世帯の約38%を占めるまでに増加しています。

こうした少人数世帯では、「家族みんなが食べられるマイルドな味」よりも「自分好みの刺激的な味」を求める傾向が強くなります。クックドゥ「極」シリーズは、この需要の変化を的確に捉えた商品設計といえます。2〜3人前のパッケージサイズも、少人数世帯の食事量に合致しています。

麻辣ブームの定着

2018年頃からラーメン店のメニューを起点に広がった「麻辣ブーム」は、一過性のトレンドではなく日本の食文化に定着しつつあります。花椒のしびれと唐辛子の辛さが融合した「しび辛」の味わいは、インスタント麺やスナック菓子、コンビニの惣菜にまで波及しました。

この流れを受けて、高価格帯の麻婆豆腐の素市場は中長期的に伸長しています。消費者が中華料理に求めるレベルが上がり、「家庭で手軽に」と「本格的な味」の両立を求める声が高まったことが、クックドゥ「極」シリーズの追い風となっています。

「嗜好品としての中華料理」という価値提案

クックドゥ「極」シリーズの成功は、中華合わせ調味料を「日常の食事を作る道具」から「嗜好品として楽しむ体験」へと価値を転換させた点にあります。本格的な四川料理の味わいを自宅で楽しめるという体験価値は、外食と比べてコストパフォーマンスが高く、特に物価高が続く中で消費者の支持を得やすい提案です。

味の素がかつて匿名で麻婆豆腐専門店を出店し、来店客にクックドゥ「極」の味を体験させるプロモーションを行ったことも話題となりました。プロの料理人も認める味のクオリティを、合わせ調味料で再現したことが、このシリーズの最大の強みです。

注意点・展望

中華合わせ調味料市場において、プレミアム路線は味の素だけの戦略ではありません。競合他社も高価格帯の商品を投入しており、市場の競争は激化する可能性があります。シリーズの鮮度を保つためには、定期的な新商品の投入や限定フレーバーの展開など、消費者の関心を維持する施策が求められます。

また、「極」シリーズの辛さは万人向けではないため、市場規模には限界があります。ファミリー層向けの従来ラインとの棲み分けを明確にしつつ、プレミアム市場をどこまで拡大できるかが今後の課題です。

一方で、世帯の小規模化という構造的なトレンドは今後も続くため、少人数世帯向けの「大人の味」を追求する方向性には大きな成長余地があります。麻辣以外の四川料理や、他の地方料理のプレミアム化など、シリーズの横展開にも注目が集まります。

まとめ

味の素のクックドゥ「極(プレミアム)」シリーズは、45年にわたるブランドの歴史の中で培われた技術と知見を、本場四川料理の再現に注ぎ込んだ意欲的な商品です。第1弾の麻辣麻婆豆腐用が6週間で100万食を突破し、ラインアップを3品種に拡充するなど、好調な成長を続けています。

成功の背景には、単身・夫婦世帯の増加という世帯構造の変化と、麻辣ブームの定着という2つの追い風があります。中華料理を「嗜好品として楽しむ」という新たな価値提案は、食品業界における今後のプレミアム戦略のモデルケースとなるでしょう。家庭で本格的な四川料理を楽しみたい方は、ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。

参考資料:

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