全国140信組でシステム障害、原因と復旧の経緯
はじめに
2026年1月29日未明、全国の信用組合で大規模なシステム障害が発生しました。信用組合の中央金融機関である全国信用協同組合連合会(全信組連)によると、午前4時頃にシステム障害が起き、全国140の信用組合で振り込みや窓口での取引が一時停止する事態となりました。
障害は正午頃から順次復旧が進み、午後3時には正常な稼働が確認されています。約1500の店舗に影響が及んだ今回の障害は、地域金融を支える信用組合のシステム基盤のあり方を改めて問うものです。
障害の発生と影響
発生の経緯
障害は1月29日午前4時頃、信用組合の勘定系システムを運用する「SKCセンター」で発生しました。深夜に稼働するバッチ処理やオンライン処理の一部プログラムにエラーが起き、後続の処理が動かなくなったことが原因です。
SKCセンターのシステムは、全信組連の子会社である信組情報サービスが提供し、NTTデータがベンダーとして開発・運用を担っています。全国の信用組合はこの共同システムを利用しているため、1カ所の障害が全国に波及する構造になっています。
影響を受けたサービス
障害の影響で、140の信用組合において以下の取引ができない状態となりました。
- 他の金融機関への振り込み(為替取引)
- 店頭窓口での入出金
- 窓口での各種取引業務
一方で、ATMやインターネットバンキングにおける為替以外の取引(残高照会など)は通常通り利用できました。全国約1500の店舗で窓口取引が停止したことで、給与振り込みや取引先への支払いなど、企業や個人の資金移動に影響が出ました。
復旧の経緯と対応
段階的な復旧
全信組連は障害発生後、直ちに復旧作業を開始しました。正午頃から順次復旧が進み、午後3時までに全てのシステムが正常に稼働していることが確認されました。障害の発生から完全復旧まで、約11時間を要したことになります。
全信組連は「多大なるご迷惑をおかけし、心よりおわびする」とコメントを発表しました。各信用組合も、いわき信用組合のように個別に顧客向けのお詫び文書を公開するなどの対応を取っています。
金融庁の対応
金融庁は全信組連に対し、障害の原因分析や再発防止策など、状況の詳細な報告を求めています。金融インフラの安定性に関わる問題として、監督当局も重要視している姿勢がうかがえます。
共同システムの構造的な課題
集中管理のメリットとリスク
信用組合の共同システムは、個々の組合では負担しきれないシステム投資を共同で行うことで、コスト効率を高めるメリットがあります。しかし今回の障害が示したように、システムが一極集中しているため、1カ所の障害が全国に波及するリスクも内包しています。
銀行業界でも、みずほ銀行が2021年に相次ぐシステム障害を起こし、大きな社会問題となりました。金融機関のシステム障害は顧客の資金移動に直結するため、他の業種以上に高い信頼性が求められます。
内部プログラムのエラーという原因
今回の障害原因は「内部プログラムのエラー」と発表されています。サイバー攻撃などの外部要因ではなく、システム内部の不具合が原因です。深夜のバッチ処理は翌日の営業に向けたデータ更新や集計を行う重要な工程であり、ここでのエラーが連鎖的に後続処理を止めてしまいました。
バッチ処理の失敗に対するフェイルセーフの仕組みや、障害発生時の早期検知・自動復旧の体制が十分だったかどうかが、今後の検証ポイントです。
注意点・展望
信用組合の存在意義と課題
信用組合は、銀行や信用金庫とは異なり、組合員の相互扶助を目的とした協同組織の金融機関です。地域密着型の金融サービスを提供しており、大手銀行がカバーしにくい中小企業や個人への融資で重要な役割を果たしています。
全国に約140の信用組合があり、組合員数は数百万人に上ります。これだけ多くの利用者に影響を及ぼす可能性があるシステムだけに、信頼性の確保は最優先の課題です。
再発防止に向けて
金融庁への報告を踏まえ、全信組連には原因の徹底究明と再発防止策の策定が求められます。バッチ処理のエラー検知の強化、障害発生時の復旧手順の改善、そしてシステムの冗長性の向上など、複数の対策を講じる必要があるでしょう。
まとめ
2026年1月29日に発生した全国140信用組合のシステム障害は、深夜のバッチ処理における内部プログラムのエラーが原因でした。約1500の店舗で振り込みや窓口取引が一時停止し、午後3時に正常化しています。
共同システムの効率性と、一極集中に伴うリスクのバランスは、信用組合に限らず金融業界全体の課題です。今回の障害を教訓に、金融インフラの信頼性向上に向けた取り組みが進むことが期待されます。
参考資料:
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