通常国会23日召集、解散観測で与野党に不協和音

by nicoxz

はじめに

2026年1月13日、木原稔官房長官が衆参両院の議院運営委員会理事会に出席し、通常国会を23日に召集する方針を正式に伝達しました。しかし、通常であれば提示される施政方針演説など政府4演説の日程は示されませんでした。

この異例の対応の背景にあるのは、高市早苗首相による通常国会冒頭での衆院解散検討です。野党は「過去に全く例のない異常な事態」と強く反発し、与野党間の不協和音が広がっています。

本記事では、通常国会召集をめぐる動きと、解散観測が政局に与える影響について解説します。

議院運営委員会理事会での異例の展開

演説日程が提示されず

通常国会では例年、召集日に首相の施政方針演説、外務大臣の外交演説、財務大臣の財政演説、経済財政政策担当大臣の経済演説という「政府4演説」が実施されます。その後に各党代表質問が行われ、本格的な国会論戦が始まります。

しかし1月13日の議運理事会で、与党側はこれらの日程を提案しませんでした。自民党は「衆院解散について事実関係を確認してから審議日程を協議したい」との立場を示しています。

野党の強い反発

立憲民主党の吉川元野党筆頭理事は、政府4演説の提案がなかったことについて「過去に全く例のない異常な事態だ」と述べました。

野党側は理事会で、首相が国会冒頭で解散するつもりかを木原官房長官に質しましたが、同氏は「首相の専権事項なので、申し上げられない」と回答するにとどまりました。

与党内でも協議継続

自民党の梶山弘志国対委員長と日本維新の会の遠藤敬国対委員長は、議運理事会に先立ち国会内で会談しました。梶山氏は「解散を検討していることについて具体的な指示は下りていない」と話し、冒頭解散の可能性を念頭に置きながら与党間で協議を続けることを確認しています。

冒頭解散とは何か

現行憲法下で4例の前例

国会召集日に論戦を経ないまま首相が衆院を解散する「冒頭解散」は、現行憲法下で4例あります。1966年の「黒い霧解散」や1986年の「寝たふり解散」などがその例です。

これらの選挙では、いずれも自民党が善戦もしくは勝利しています。高市首相が冒頭解散を選択肢として検討している背景には、こうした過去の成功体験があると見られます。

1992年以降は前例なし

ただし、通常国会の召集が1月になった1992年以降、冒頭で解散した例はありません。予算審議を優先してきたためです。

冒頭解散を実施すれば、2026年度予算案や税制改正関連法案の3月末までの成立が困難になります。この点が政府・与党内で慎重論が出ている理由の一つです。

2026年通常国会の概要

会期と提出法案

2026年通常国会は1月23日に召集され、会期は6月21日までの150日間となる予定です。政府が提出を予定している法案は61本、条約承認案は12本です。

注目法案としては、インテリジェンス(情報の収集・分析)機能を強化する「国家情報局」設置法案などが想定されています。

高市首相初の施政方針演説

冒頭解散が見送られた場合、高市首相は就任後初の施政方針演説に臨むことになります。2026年の政権運営の基本方針を明らかにする重要な機会です。

首相は1月中に韓国の李在明大統領、イタリアのメローニ首相との会談も予定されており、これらの外交日程を終えてから最終判断を下すとの見方もあります。

与野党の思惑と政局の行方

高市政権の判断材料

高市首相が早期解散を検討する背景には、70%超の高い内閣支持率があります。読売新聞の世論調査では12月時点で73%と高水準を維持しており、与党内には「高市人気」を追い風に議席増を狙う声があります。

一方、解散には予算成立の遅れというリスクが伴います。「政策最優先」を掲げてきた首相にとって、解散の大義をどう説明するかが課題となっています。

国民民主党との関係悪化

冒頭解散検討の報道を受け、国民民主党の玉木雄一郎代表は予算案への賛成を「確約できない」と表明しています。2025年12月の「年収の壁」合意で築かれつつあった協力関係が、揺らぎ始めています。

与党は衆院で過半数を確保していますが、参院では少数の「ねじれ国会」状態です。野党との関係悪化は、選挙後の政権運営にも影響を及ぼす可能性があります。

注意点・今後の展望

解散の最終判断時期

高市首相がいつ最終判断を下すかが焦点です。1月20日のトランプ米大統領就任式など、外交日程を終えた後に決断するとの観測があります。

冒頭解散となった場合、衆院選は「1月27日公示・2月8日投開票」または「2月3日公示・15日投開票」が候補となります。2月の衆院選は36年ぶりの「真冬の総選挙」となります。

予算成立への影響に注意

解散が実施された場合、2026年度予算案の年度内成立は困難になります。これは「年収の壁」見直しによる減税や物価高対策の実施時期にも影響を及ぼします。

国民生活への影響を考慮すれば、解散の是非は政治的な思惑だけでなく、経済政策の観点からも慎重に判断される必要があります。

まとめ

通常国会の23日召集が正式に決まりましたが、高市首相の冒頭解散検討により、与野党間に緊張が走っています。与党が演説日程を提示しない異例の事態は、解散の可能性を強く示唆するものです。

今後、高市首相が解散に踏み切るのか、それとも予算審議を優先するのか、政治の行方が注目されます。国民生活に直結する問題であるだけに、首相の判断に関心が集まっています。

参考資料:

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