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by nicoxz

FRBが4会合ぶり利下げ見送り、政権圧力も独立性堅持

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はじめに

米連邦準備理事会(FRB)は2026年1月28日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利を3.5〜3.75%に据え置くことを決定しました。利下げの見送りは4会合ぶりとなります。

昨年9月から12月にかけて3会合連続で合計1.0%ポイントの利下げを実施してきたFRBが、ここで一旦立ち止まった形です。トランプ大統領はFRBに対して利下げを強く求めてきましたが、FOMCメンバーの大半は現時点での追加利下げは不要と判断しました。

FRBの独立性が問われるなか、今回の決定は金融政策の方向性を占う重要なシグナルです。本記事では、据え置き決定の背景、反対票の意味、そして今後の見通しを詳しく解説します。

据え置き決定の背景と声明文の変化

インフレ評価の変更

今回のFOMC声明文では、経済活動について「堅調なペースで拡大を続けている」との評価が維持されました。一方で、インフレに関する記述には重要な変化がありました。

前回12月の声明文にあった「インフレは2%の目標に向けて進展を示した」という文言が削除され、代わりに「インフレは幾分高止まりしている」との表現に変更されています。これはFRBがインフレの下振れリスクよりも、物価上昇圧力の持続を意識していることを示唆しています。

労働市場の評価も修正

労働市場については「雇用の増加は低調で、失業率はいくらか安定化の兆しを見せている」と評価されました。前回の声明文にあった「労働市場の弱体化リスクが高まっている」との文言も削除されており、FRBは労働市場の悪化懸念を後退させた形です。

これらの変更は、FRBが現在の政策スタンスを「おおむね中立的」ないし「やや引き締め的」と評価していることと整合的です。パウエル議長自身も記者会見で「政策は緩やかに中立的、あるいはやや引き締め的」と述べています。

異例の反対票2票が示すもの

ミラン理事の4回連続の反対

今回の据え置き決定に対し、スティーブン・ミラン理事とクリストファー・ウォラー理事の2名が反対票を投じ、0.25%ポイントの追加利下げを主張しました。

ミラン理事はトランプ大統領が2025年9月に指名した人物で、着任以降4回連続で反対票を投じています。以前は0.5%ポイントのより大幅な利下げを主張していましたが、今回は0.25%ポイントの利下げ支持に後退しました。なお、ミラン理事の任期は今週末に満了する予定です。

ウォラー理事の動向に注目

もう1人の反対票を投じたウォラー理事は、パウエル議長の後任候補の一人として取り沙汰されています。パウエル議長の任期は2026年5月に終了し、トランプ大統領は近日中に後任を指名する方針とされています。

ウォラー理事のほか、ケビン・ハセット国家経済会議(NEC)委員長やケビン・ウォーシュ元FRB理事なども候補に挙げられています。次期FRB議長の人選は、今後の金融政策の方向性を大きく左右する要素です。

パウエル議長は広範な支持を強調

反対票が2票あったにもかかわらず、パウエル議長は記者会見で「今回の据え置きには委員会の幅広い支持があった」と強調しました。多くのFOMC参加者が「現在のデータを見て、政策が大幅に引き締め的だと言うのは難しい」との見解を共有していると述べています。

トランプ政権によるFRBへの圧力

刑事捜査という異例の手段

トランプ政権はFRBに対して前例のない圧力をかけてきました。2026年1月9日には大陪審による召喚状がFRBに届けられ、パウエル議長に対する刑事捜査が行われていることが明らかになりました。

これに対してパウエル議長は1月11日に異例のビデオ声明を発表し、捜査は利下げを迫るための「口実」に過ぎないと強く反論しました。この異例の対応は金融市場にも波紋を広げました。

最高裁での審理も進行中

さらに、トランプ大統領がFRB理事のリサ・クック氏を解任しようとした問題について、最高裁判所で口頭弁論が行われています。FRB理事の解任権を巡る司法判断は、中央銀行の独立性の根幹に関わる問題です。

こうした政治的圧力にもかかわらず、与党共和党の一部議員からも政権批判の声が上がっており、FRBの独立性を守るべきだとする超党派的な動きも見られます。

今後の見通しと注意点

次回利下げは6月が有力

金融市場では、FRBの次回利下げは2026年6月が最有力視されています。12月のFOMCで示された見通しでは、2026年中の利下げは1回(0.25%ポイント)にとどまるとの予測が中央値でした。

J.P.モルガンは2026年中は据え置きが続くとの見方を示している一方、一部では12月にもう1回の利下げがあり得るとの見方もあります。

関税インフレへの警戒

パウエル議長は、関税による物価上昇について「2026年半ばにはピークアウトする」との見通しを示しました。ただし、関税政策の不確実性が金融政策の見通しを複雑にしていることも認めており、今後の政策判断はデータ次第という姿勢を堅持しています。

逆説的な利下げ遠のきリスク

一部の専門家は、トランプ政権のFRBへの圧力がかえって利下げを遠ざける可能性を指摘しています。FOMCメンバーが政治的圧力に屈したと見られることを避けるため、あえてタカ派的な姿勢を維持する可能性があるためです。

まとめ

FRBは1月FOMCで4会合ぶりに利下げを見送り、FF金利を3.5〜3.75%に据え置きました。トランプ政権からの前例のない圧力にもかかわらず、FOMCの大多数は利下げを急ぐ必要はないと判断しています。

今後の焦点は、5月に任期を迎えるパウエル議長の後任人事と、関税政策がインフレに与える影響です。金融市場参加者は、FRBの独立性が今後も維持されるかどうかを注視しています。次回3月のFOMCでも据え置きが予想されており、利下げ再開は早くても6月になる見通しです。

参考資料:

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