福井県知事に35歳石田氏、全国最年少で前知事セクハラ後の県政を担う
はじめに
2026年1月25日に投開票された福井県知事選挙で、元外務省職員の石田嵩人(いしだ・たかと)氏が初当選を果たしました。35歳という若さで、現役知事としては全国最年少となります。
この選挙は、前知事の杉本達治氏がセクハラ問題で辞職したことに伴う異例の事態で実施されました。保守分裂選挙という混乱の中、石田氏はSNSを駆使した選挙戦で急速に支持を広げ、僅差で勝利を収めました。本記事では、石田新知事の人物像と、就任後に直面する県政課題について解説します。
石田嵩人氏の経歴と人物像
外務省での国際経験
石田嵩人氏は1990年生まれ、福井市出身です。外科医の父の仕事で幼少期を英国ロンドンで過ごし、小学6年生の時にアメリカ同時多発テロ事件を目撃したことで国際関係に興味を持つようになりました。
北陸高等学校を卒業後、米国パシフィック大学に留学。2015年に外務省に入省し、北米局での勤務やジョージタウン大学への留学を経験しました。2018年からはザンビア共和国日本大使館に書記官として赴任し、外務政務官や総理特使の通訳を担当するなど、国際舞台での経験を積んできました。
出馬表明から当選まで
石田氏が出馬を表明したのは告示のわずか2週間前、2025年12月25日のことでした。この「出遅れ」は選挙戦において不利とみられていましたが、結果的には逆風を跳ね返しての当選となりました。
保守分裂選挙という異例の構図の中、石田氏は約13万4620票を獲得。対立候補の山田賢一氏を約4330票差で破り、僅差ながらも勝利を収めました。投票率は46.29%でした。
選挙戦の特徴
SNSを駆使した情報発信
石田氏の選挙戦で特筆すべきは、SNSを活用した情報発信です。動画投稿サイト「YouTube」で毎日動画を配信し、若い有権者への浸透を図りました。
35歳という若さを前面に打ち出し、子育て政策の拡充やU・Iターンの促進といった政策を訴えました。地元福井市で4度開いた個人演説会には、毎回300人以上が集まる盛況ぶりでした。
参政党の支援と潮目の変化
選挙戦の潮目を変えたのが、参政党による石田氏支援の表明でした。中盤の情勢調査では山田氏が先行していましたが、石田氏は終盤に驚異的な追い上げを見せました。
福井市議会の保守系会派が石田氏を支援に回り、県人口の約3分の1を占める福井市内での票固めに成功したことも勝因の一つです。
前知事セクハラ辞職の経緯
約20年にわたるセクハラ行為
今回の知事選は、前知事・杉本達治氏のセクハラ問題による辞職を受けて実施されました。2025年10月に県職員からセクハラ被害の通報があり、11月25日に杉本氏は辞職を表明。12月4日付で辞職しました。
杉本氏は4人の女性職員に対し、卑猥なテキストメッセージを1000件以上送っていたことが明らかになりました。セクハラ行為は2007年頃から約20年近く継続していたとされ、県政史上初の任期途中の辞職となりました。
県政への影響
杉本前知事は2024年3月の北陸新幹線県内開業を「100年に一度の好機」と位置づけ、精力的に活動していました。北陸新幹線の建設促進同盟会会長も務めていた中での突然の退場は、県政に大きな混乱をもたらしました。
石田新知事が直面する課題
北陸新幹線の敦賀以西延伸
石田氏が取り組むべき最重要課題の一つが、北陸新幹線の敦賀から新大阪への延伸です。石田氏は現行の小浜・京都ルートを支持する立場を明らかにしており、「止まっている議論を前に進める」と意気込んでいます。
しかし、このルートは京都府内での地元調整が難航しており、着工のめどは立っていません。前知事が担っていた同盟会会長としての役割を引き継ぐかどうかも含め、調整力が問われます。
原子力政策への対応
福井県は全国有数の原発立地県です。杉本前知事は2021年に運転開始から40年超となっていた関西電力美浜原発3号機と高浜原発1、2号機の再稼働に同意し、原発の積極活用で全国に先駆けていました。
石田氏は「日本のエネルギー安全保障の問題。安全を大前提に関係者と一丸となって進めていく」と述べています。使用済み核燃料の県外搬出問題など、難しい判断を迫られる場面も予想されます。
県政イメージの回復
前知事のセクハラ辞職により、福井県のイメージは大きく傷つきました。石田新知事にとって、県政への信頼回復は最優先課題といえます。
また、保守分裂選挙の後遺症として、対立候補を支援した勢力との融和も必要です。35歳という若さゆえに、県議会や各種団体との関係構築に時間を要する可能性もあります。
注意点・展望
行政手腕は未知数
石田氏は外務省での経験はあるものの、地方行政の実務経験はありません。国際的な視野と交渉力は強みとなりますが、県庁組織のマネジメントや議会対応など、学びながら進めていく部分も多いでしょう。
石田氏自身も「長いスパンで県政を前に進める」と述べており、拙速な成果を求めるよりも、着実な県政運営が期待されています。
若さが生み出す可能性
一方で、35歳という若さは大きな可能性も秘めています。最重要政策として掲げる子育て支援は、同世代の当事者目線で具体化されることが期待されます。
U・Iターンの促進や、SNSを活用した情報発信など、若い感性を活かした施策にも注目が集まります。全国最年少の知事として、他の地方自治体にも影響を与える存在となるかもしれません。
まとめ
福井県知事選で元外務省職員の石田嵩人氏が初当選し、35歳の全国最年少知事が誕生しました。前知事のセクハラ辞職という異例の事態を受けた選挙で、SNSを駆使した選挙戦で僅差の勝利を収めました。
就任後は、北陸新幹線の敦賀以西延伸、原子力政策、そして県政への信頼回復という重要課題に取り組むことになります。外務省での国際経験を活かしながら、地方行政のリーダーとしてどのような手腕を発揮するか。若き知事の舵取りに注目が集まります。
参考資料:
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