インフルエンザ再び警報水準、2度超えは史上初
はじめに
厚生労働省は2026年2月6日、1月26日から2月1日までの1週間に全国約3,000の定点医療機関から報告されたインフルエンザ患者数が11万4,291人、1機関あたり30.03人だったと発表しました。警報レベルとされる30人を再び超え、前週(16.64人)の約1.8倍に急増しています。
今シーズンは一度警報レベルに達した後、いったん下回っていました。1シーズンに2度、警報レベルを超えるのは、少なくとも過去10シーズンで初めての異例の事態です。本記事では、この異常な流行パターンの原因、B型ウイルスの特徴、そして必要な対策を解説します。
「2度目の警報」が意味するもの
2025-2026シーズンの異例の流行経過
今シーズンのインフルエンザは、例年より約1か月早い2025年10月に全国的な流行が始まりました。これは1999年の現行統計開始以来、2番目に早い流行入りです。
流行の初期はA型(H1N1型)が主流で、11月から12月にかけて急速に患者数が増加しました。第45週(11月3日〜9日)に警報水準を突破し、12月にかけてピークを迎えました。その後、年末年始にかけて患者数は減少し、1月上旬には警報レベルを下回りました。
しかし1月下旬から再び患者数が増加に転じ、2月第1週に再び警報水準を超えました。4週連続の増加です。この「二山型」の流行パターンは過去に例のない現象です。
22県で警報レベル超え
全国47都道府県のうち、22県で定点あたりの報告数が警報レベルの30を超えました。大分県が52.48と最も多く、鹿児島県49.60、宮城県49.02と続いています。東京都でも2度目の警報が発令されており、1シーズンに2度の警報発令は1999年の統計開始以来初めてです。
B型ウイルスが引き起こす「第2波」
なぜ流行が再燃したのか
2度目の流行拡大の最大の原因は、インフルエンザB型ウイルスの急増です。1月26日から2月1日に定点医療機関から報告されたウイルス型の約90%がB型でした。流行当初はA型が主流でしたが、年明け以降はB型に置き換わっています。
A型とB型はウイルスの構造が異なるため、A型に感染して得た免疫ではB型を防ぐことができません。つまり、A型に一度かかった人でも、B型に再感染する可能性があります。11月にA型にかかり、その後B型にもかかるという「二度感染」のケースが実際に報告されています。
A型とB型の違い
インフルエンザA型とB型には、いくつかの重要な違いがあります。
A型は高熱(39〜40度台)が出やすく、全身症状が強いのが特徴です。変異が速く、大きな遺伝子変異により世界的大流行(パンデミック)を引き起こすこともあります。人だけでなく鳥や豚にも感染します。
B型は従来、A型と比べて症状が軽いとされてきました。しかし、2025-2026シーズンのB型は38度台から39度台の発熱を呈する患者も少なくなく、従来のイメージとは異なりA型と同程度の症状を示すケースが見られます。B型は下痢や嘔吐などの消化器症状を伴いやすい点も特徴です。
B型は人の間だけで循環するウイルスで、A型ほどの大きな遺伝子変異は起こしません。そのため過去の感染やワクチン接種による免疫が比較的有効です。ビクトリア系統(小児に多い)と山形系統(成人・高齢者に多い)の2つの系統があります。
予防と対策のポイント
ワクチンの効果と限界
今シーズンのインフルエンザワクチンは4価ワクチンで、A型2種類とB型2種類のウイルス株に対応しています。ワクチンは感染を完全に防ぐものではありませんが、重症化のリスクを大幅に減らす効果があります。
B型はA型に比べて変異が遅いため、ワクチンの株が一致しやすく、ワクチンの効果が得られやすい傾向にあります。まだワクチンを接種していない方は、今からでも接種を検討する価値があります。
基本的な感染対策の徹底
インフルエンザの基本的な感染対策は、A型もB型も共通です。手洗い・うがいの徹底、マスクの着用、十分な睡眠と栄養摂取、適度な湿度の維持(50〜60%)が重要です。特に冬場は空気が乾燥しやすく、ウイルスが活性化しやすい環境になります。
治療薬について
タミフル、ゾフルーザ、リレンザなどの抗インフルエンザ薬はA型・B型いずれにも有効です。ただし、高い効果を得るためには発症から48時間以内の投与が必要です。高熱やひどい倦怠感が出た場合は、早めに医療機関を受診することが重要です。
特に注意が必要なのは、小児、高齢者、持病のある方(糖尿病、心臓病、呼吸器疾患など)です。これらの方々は重症化のリスクが高いため、症状が出たら速やかに受診してください。
注意点・展望
今シーズンの流行がいつまで続くかは予測が難しい状況です。通常、インフルエンザの流行は2月下旬から3月にかけて収束に向かいます。しかし、B型による第2波が発生している現在の状況では、例年より流行期間が長引く可能性があります。
韓国でもB型の感染拡大が報告されており、東アジア全体でB型が優勢となる傾向が見られます。日本の流行パターンが世界的な傾向と一致しているかどうか、国際的な監視も重要です。
また、今シーズンの異例の流行パターンは、将来のインフルエンザ対策の見直しにもつながる可能性があります。従来の「1シーズン1ピーク」を前提とした対策だけでなく、複数の型が入れ替わりで流行する場合の備えが必要です。
まとめ
2025-2026シーズンのインフルエンザは、A型による早期流行の後、B型の急増により再び警報水準を超えるという過去に例のないパターンを示しています。1シーズンに2度警報レベルを超えるのは過去10シーズンで初めてです。
A型に感染しても、B型への免疫は得られません。今シーズンの残りの期間も引き続き、手洗い・うがい、マスク着用などの基本的な感染対策を徹底してください。発熱などの症状が出た場合は、48時間以内の早期受診が重要です。
参考資料:
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