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by nicoxz

仮想通貨ETF、2028年に日本解禁へ 金融庁が制度整備を本格化

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はじめに

日本で2028年にも暗号資産(仮想通貨)で運用する上場投資信託(ETF)が解禁される見通しとなりました。金融庁が制度整備を進め、野村ホールディングスやSBIホールディングスなどの大手金融機関が商品開発に乗り出しています。

米国では2024年1月にビットコイン現物ETFが承認され、市場に大きなインパクトを与えました。日本でもETF解禁により、個人投資家や機関投資家がより手軽に仮想通貨投資にアクセスできるようになります。本記事では、解禁に向けた動きと投資家にとっての意味を解説します。

金融庁が進める制度整備

2028年解禁の背景

金融庁は、暗号資産ETFの解禁を2028年1月に行う方針で調整を進めています。この時期が選ばれた理由は、暗号資産税制の「申告分離課税」への移行と同時期に合わせるためです。

現行の仮想通貨課税は「雑所得」扱いで、最高55%の税率が課されます。これが個人投資家の参入障壁となり、市場の流動性を阻害してきました。新制度では、ETFを通じた投資利益を申告分離課税(約20%)に一本化する予定です。

ETFのみが先行解禁された場合、現物取引は雑所得・総合課税のまま最大55%の税負担が残る一方、ETFには20%の税率が適用されることになり、投資家間で不公平が生じる懸念がありました。そのため、税制改正とETF解禁を同時に実施する方針となっています。

投資信託法の改正

金融庁は投資信託法の施行令を改正し、投資信託の投資先を定める「特定資産」に仮想通貨を追加する方針です。現行法では、投資信託が投資できる資産は有価証券や不動産などに限定されており、仮想通貨は含まれていません。

この法改正により、資産運用会社は正式にビットコインなどの仮想通貨をファンドに組み入れることが可能となります。東京証券取引所が上場を承認すれば、個人投資家は証券会社の口座を通じて、株式や金のETFと同様に売買できるようになります。

大手金融機関の商品開発動向

野村・SBIを含む6社が検討

日本で初めて暗号資産を組み入れた投資信託の開発に向け、大手運用会社が動き出しています。野村アセットマネジメント、SBIグローバルアセットマネジメント、大和アセットマネジメント、アセットマネジメントOne、アモーヴァ、三菱UFJアセットマネジメントの6社が商品投入を検討していることが判明しています。

これらの企業は「国内暗号資産ETF勉強会」に参加し、2024年10月に「国内における暗号資産ETF等の組成等に向けた提言」を公表しました。提言では、制度改革の必要性や投資家保護のあり方などが議論されています。

SBIの具体的な商品計画

SBIホールディングスは、2025年7月の決算資料で暗号資産を組み入れた投資信託・ETFの商品開発を進めていることを明らかにしました。具体的には、以下の2つの商品案が示されています。

第1の商品案は「SBI Fund of 仮想通貨ETFs」と呼ばれる国内公募投信です。これは金(ゴールド)と仮想通貨を組み合わせた構成で、ゴールドETFに51%以上、ビットコインETF等の仮想通貨ETFには49%以下の配分とする計画です。

第2の商品案は、ビットコイン(BTC)やXRPなどを組成して東京証券取引所での上場を目指すETFです。SBIは米資産運用大手フランクリン・テンプルトンと共同で資産運用の新会社を設立し、暗号資産を組み入れたETFやデジタル資産の運用商品開発を目指しています。

米国の先行事例から学ぶ

2024年のビットコインETF承認

米証券取引委員会(SEC)は2024年1月10日、ビットコインの現物ETF11本を承認しました。ブラックロック、フィデリティ、アーク・インベストメンツなどの大手資産運用会社が運用するETFが、NYSEアーカ、ナスダック、Cboe BZXに上場しました。

承認の背景には、2023年にグレースケール・インベストメンツが起こした訴訟でSECが敗訴したことがあります。裁判所は、SECが承認しない理由を十分に説明できていないと判断しました。

市場への大きな影響

ビットコイン現物ETFの承認は、暗号資産市場に大きな影響を与えました。ETFでは暗号資産を直接保有しなくても証券口座を通じて取引が可能となるため、投資家の参入が大幅に増加しました。

上場後3日間で約9億ドルの資金が流入し、ビットコイン価格は大きく上昇しました。アンケート調査によれば、暗号資産に投資していない機関投資家の45%が今後3年以内に投資を開始する可能性があると回答しています。

特にブラックロックのiShares Bitcoin Trust(IBIT)は、驚異的なペースで資金を集め、ETF史上最も成功したローンチの一つと評価されています。

アルトコインETFへの拡大

2024年のビットコイン・イーサリアム現物ETF承認を受け、2025年9月にはSECが新たな一般上場基準を導入しました。これにより、ソラナやXRP、ドージコインなど複数のアルトコインETFが相次いで承認されています。

日本の投資家にとっての意味

投資のハードルが大幅に低下

現在、日本で仮想通貨に投資するには、暗号資産交換業者に口座を開設し、自らウォレット管理やセキュリティ対策を行う必要があります。ETF解禁後は、既存の証券口座を通じて株式と同様に売買でき、投資のハードルが大幅に低下します。

また、ETFは運用会社が資産の管理・保管を行うため、ハッキングリスクや秘密鍵の紛失といった個人での仮想通貨保有に伴うリスクを軽減できます。

税制面での優遇

2028年の税制改正が実現すれば、仮想通貨投資の税率は現行の最大55%から約20%の申告分離課税に一本化されます。これは株式投資と同等の税率であり、投資家にとって大きなメリットとなります。

さらに、損益通算や繰越控除といった株式投資で利用可能な税制優遇措置が、仮想通貨投資にも適用される可能性があります。

機関投資家の参入拡大

ETF解禁により、これまで仮想通貨への直接投資が困難だった年金基金や保険会社などの機関投資家も、ポートフォリオに仮想通貨を組み入れやすくなります。機関投資家の参入は、市場の流動性向上と価格の安定化につながる可能性があります。

注意点・今後の展望

正式決定ではない点に留意

現時点で注意すべきなのは、2028年解禁というスケジュールが正式決定したわけではないという点です。いずれも政府関係者や業界関係者の見通しをもとにした報道段階であり、今後の税制改正大綱や国会審議の内容によっては変更される可能性があります。

仮想通貨特有のリスク

ETFという「投資しやすい」形態になっても、仮想通貨の本質的なリスクは変わりません。価格変動の激しさ、規制環境の不確実性、技術的なリスクなどは引き続き存在します。

投資を検討する際は、仮想通貨が伝統的な株式や債券とは異なる資産クラスであることを理解し、自身のリスク許容度に応じた投資判断が求められます。

厳しい管理体制の必要性

金融庁は、暗号資産を有価証券に並ぶ金融商品として位置づける方向で検討を進めています。これに伴い、情報開示規制やマネーロンダリング対策など、厳しい管理体制が運用会社に求められることになります。

投資家保護の観点から適切な規制は必要ですが、過度な規制が商品の多様性や競争力を損なわないよう、バランスの取れた制度設計が求められています。

まとめ

2028年の暗号資産ETF解禁は、日本の投資家にとって資産運用の選択肢を大きく広げる転換点となります。野村やSBIなど大手金融機関が商品開発を進めており、米国での成功事例を参考にした多様な商品が登場する見通しです。

ETF解禁により、仮想通貨投資のハードルは大幅に低下し、税制優遇も期待できます。ただし、正式な制度決定を待つ必要があること、仮想通貨特有のリスクは変わらないことを理解した上で、投資判断を行うことが重要です。「貯蓄から投資へ」の流れが進む中、新たな投資機会として注目される一方、十分な情報収集と慎重な判断が求められます。

参考資料:

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