日経平均151円安、弱いGDPと好決算で局地戦の展開に
はじめに
2026年2月16日午前の東京株式市場で、日経平均株価は前週末比151円安の5万6,790円で午前の取引を終えました。取引開始前に発表された2025年10〜12月期のGDP速報値が市場予想を大きく下回り、相場の重荷となりました。
一方で、18日に召集される特別国会で本格始動する第2次高市早苗内閣への期待は根強く、売り急ぐ動きは限定的です。三井金属やサンリオなど好決算を発表した個別銘柄には買いが集まり、全体としては「局地戦」の様相を呈しています。
この記事では、GDP速報値の内容と株式市場への影響、好決算銘柄の動向、そして高市内閣の経済政策に対する市場の期待について詳しく解説します。
GDP速報値が市場予想を大きく下回る
実質GDP年率0.2%増にとどまる
内閣府が2月16日に発表した2025年10〜12月期のGDP速報値は、実質で前期比0.1%増、年率換算で0.2%増となりました。2四半期ぶりのプラス成長には転じたものの、市場予想の前期比0.4%増、年率1.6%増を大幅に下回る結果です。
7〜9月期がマイナス成長だったことを考えると、プラスに転じたこと自体は前向きな材料です。しかし、その回復力の弱さが投資家の失望を招きました。日本経済の回復テンポが想定よりも緩やかであることが改めて確認された形です。
内訳:個人消費は底堅いが輸出が足を引っ張る
GDP速報値の内訳を見ると、景気の明暗が分かれています。
個人消費は前期比0.1%増で、エアコンなどの家電製品やスマートフォンの販売が堅調でした。賃上げの効果が徐々に消費に波及し始めている兆しがみられます。
設備投資は前期比0.2%増で、2四半期ぶりにプラスに転じました。AI関連の投資需要が引き続き堅調で、半導体製造装置や自動化設備への支出が増加しています。人手不足への対応として省力化投資が拡大している点も見逃せません。
住宅投資は前期比4.8%増と大きく回復しました。前期の大幅減からの反動に加え、住宅ローン金利の先高観から駆け込み需要が発生したとみられます。
一方で輸出は前期比0.3%減と2四半期連続のマイナスでした。特に自動車の輸出が落ち込み、米国の関税政策を巡る不透明感が企業の輸出戦略に影響を与えていると考えられます。
好決算銘柄に買い集中、局地戦の展開
三井金属:AI需要で業績上方修正
全体相場が軟調ななか、好決算を発表した個別銘柄には選別的な買いが入っています。三井金属は2026年3月期の通期業績予想を3度目の上方修正し、営業利益は従来予想の780億円から1,170億円へと大幅に引き上げました。
業績を牽引しているのは、AI関連の需要です。AIサーバー向けの高周波基板用電解銅箔や極薄銅箔への需要が急増しており、機能材料セグメントが大きく伸びています。さらに、金属価格の上昇と円安による収益改善も追い風となりました。期末配当も30円増額して140円とする計画で、株主還元の強化も買い材料です。
サンリオなど好業績銘柄への物色
サンリオも好決算を受けて注目を集めた銘柄の一つです。グローバルでのキャラクタービジネスの拡大が収益を押し上げており、投資家の関心を引きつけています。
このように、全体相場が方向感に欠けるなかでも、個別の好材料を持つ銘柄には資金が流入しています。決算シーズン終盤にあたるこの時期は、業績の優劣が株価に直接反映されやすく、銘柄選別が一段と重要になります。
高市内閣への期待が下支え
衆院選圧勝で安定政権への期待
2月8日の衆議院選挙で自民党は単独で3分の2を超える316議席を獲得し、歴史的大勝を収めました。この圧勝を受けて、日経平均株価は選挙前の5万4,000円台から5万7,000円台まで上昇しています。
18日には特別国会が召集され、第2次高市早苗内閣が正式に発足する見通しです。高市首相は「責任ある積極財政」を掲げており、総合経済対策に伴う補正予算の一般会計歳出規模は17.7兆円に達します。政府はこれらの対策による実質GDP押し上げ効果を、今後3年程度で1.4%と見込んでいます。
外国人投資家も注目する「高市トレード」
衆院選での自民党圧勝後、外国人投資家を中心に日本株への買い意欲が高まっています。単独で衆議院の3分の2を確保したことで、参議院で否決された法案も衆議院で再可決できる体制が整いました。政策の実行力が高まるとの見方が、外国人投資家の買い安心感につながっています。
防衛関連株をはじめとする「高市銘柄」への物色も活発で、積極財政路線への期待が市場全体の下支えとなっています。ガソリン税の暫定税率廃止や電気・ガス料金の支援策など、家計への直接的な負担軽減策も消費回復への期待を高めています。
注意点・今後の展望
GDP回復の遅れが金融政策に影響する可能性
GDP成長率が市場予想を大きく下回ったことで、日銀の追加利上げ観測がやや後退する可能性があります。景気回復のペースが緩やかなままでは、金融正常化の道のりも慎重にならざるをえません。今後発表される消費者物価指数(CPI)や賃金統計が注目されます。
米国の関税政策と輸出への影響に警戒
輸出の減少が続いている背景には、米国の通商政策を巡る不透明感があります。トランプ政権の関税政策が日本の自動車産業をはじめとする輸出企業に与える影響は、引き続き市場のリスク要因です。為替動向とあわせて注視が必要です。
まとめ
2月16日の東京株式市場は、弱いGDP速報値と好決算銘柄の物色が交錯する「局地戦」の展開となりました。GDP成長率は年率0.2%増と市場予想を大きく下回りましたが、第2次高市内閣の積極財政路線への期待が相場の下支えとなっています。
投資家にとっては、マクロ経済指標の弱さを過度に悲観せず、個別企業の業績動向を丁寧に分析することが重要です。特別国会の召集後に示される高市内閣の具体的な経済政策と、決算内容を踏まえた銘柄選別が、今後の投資判断の鍵を握るでしょう。
参考資料:
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