日経平均が初の5万4000円台突破、衆院解散観測で高市トレード再燃

by nicoxz

はじめに

2026年1月14日午前、東京株式市場で日経平均株価が前日比864円高の5万4413円で取引を終え、史上初めて5万4000円の大台に乗せました。前日13日には終値で5万3549円と、すでに過去最高値を1000円以上更新していましたが、その勢いはとどまることを知りません。

この急騰の背景には、高市早苗首相による「通常国会冒頭での衆院解散」という観測があります。市場では「選挙は買い」というアノマリー(経験則)と、財政拡張政策への期待から「高市トレード」が再燃しています。

本記事では、今回の株高の要因と「高市トレード」のメカニズム、そして投資家が注意すべきポイントについて詳しく解説します。

「高市トレード」とは何か

財政拡張・金融緩和への期待が生む相場現象

「高市トレード」とは、高市早苗氏の経済政策スタンスが市場心理に影響し、為替・株・債券が同時に動く現象を指すマーケット用語です。具体的には以下のような連動が起きやすいとされています。

まず、積極的な財政出動(景気刺激策)への期待から株価が上昇します。次に、国債増発への懸念から債券が売られ、金利が上昇します。さらに、日銀の利上げ観測が後退することで円安が進行します。

高市首相は2025年10月の自民党総裁選で勝利して以来、拡張的な財政政策を志向する姿勢を示してきました。この路線が衆院選での勝利によってさらに強化されるとの思惑が、投資家の買い意欲を刺激しています。

2025年10月の総裁選後との比較

2025年10月4日に高市氏が自民党総裁に選出された際も、同様のトレードが発生しました。当時は週明けに1ドル=150円まで円安が進む可能性が指摘され、実際に市場は株高・円安・金利上昇の方向に動きました。

今回の「第2幕」では、支持率70%超という高い内閣支持率を背景に、より本格的な財政拡張政策への期待が高まっています。野村證券は2026年末のドル円見通しを140円(従来135円)に円安方向へ修正するなど、金融機関も高市政権の円安許容度を試す展開を予想しています。

「選挙は買い」アノマリーの検証

過去の解散・総選挙と株価の関係

日本の株式市場には「衆議院解散から投開票日に向けて株価が上昇しやすい」という経験則が存在します。このアノマリーの実績を確認してみましょう。

1969年以降に行われた解散・総選挙17回で、日経平均はすべて上昇したという検証データがあります。また、2000年以降に実施された7回の解散・総選挙では、日経平均が7勝0敗と無敗の記録を残しています。

特に注目されるのは2005年の「郵政選挙」と2012年の「政権交代選挙」です。小泉純一郎元首相の下で行われた2005年の選挙では自民党圧勝への期待から株価が大幅上昇しました。2012年は自民党が政権復帰し、その後のアベノミクスへの期待が株価を押し上げました。

なぜ選挙期間中に株価は上がるのか

この現象にはいくつかの要因が考えられます。まず、政権が選挙に勝利することで政策の安定性が高まり、投資家心理が前向きになります。次に、選挙公約として景気対策が打ち出されることへの期待があります。

さらに重要なのは海外投資家の動向です。日本の株式市場で売買代金シェアの6割以上を占める海外投資家が、政治的な安定を好感して買いを入れる傾向があります。今回も海外投機筋が日経平均先物に断続的な買いを入れ、相場を押し上げているとされています。

海外投資家が注目する日本株の魅力

企業の資本効率改善への取り組み

東京証券取引所の「PBR改革」を契機に、日本企業の資本効率改善への意識が高まっています。2024年度の自社株買い枠は過去最高の19兆円に達し、積極的な株主還元姿勢が海外投資家に評価されています。

コムジェスト・アセットマネジメントのリチャード・ケイ氏は「内需株や小型株は短期的に大きな追い風を受けるだろう」と予測し、アベノミクスへの回帰を示す兆しがあれば市場参加者はそれを歓迎するとみています。

デフレ脱却と賃金上昇の好循環

日本経済は「デフレの常態化」からの脱却が現実味を帯びています。賃金上昇と物価上昇が相互に作用する「賃金―物価連動」型への移行が始まりつつあり、企業にとって投資や賃上げを正当化する環境が整いつつあります。

このような構造変化は、長年日本株を敬遠してきた海外投資家にとって、再評価の契機となっています。

注意点・リスク要因

選挙後の株価動向は不透明

「選挙は買い」のアノマリーは確かに存在しますが、投開票後の動向は必ずしも楽観できません。過去のデータを見ると、選挙から半年経過後の日経平均は上昇・下落がまちまちの動きとなっています。

与党が大きく勝利し安定政権となった場合でも、日経平均の下落ケースが散見されます。つまり、衆院総選挙が終われば株価の方向性はそれ以外の材料に左右されることになります。

財政拡張路線の副作用

高市政権の財政拡張政策には懸念の声もあります。地方への交付金拡大や公共事業の拡大は地方経済にはプラスですが、需要刺激を通じてインフレ加速に結びつく可能性があります。

現在、円相場は1ドル=158円台と約1年半ぶりの円安水準にあります。円安が進行すれば輸入物価の上昇を通じて家計を圧迫し、消費マインドを冷やすリスクがあります。

2026年度予算成立の遅れ

1月23日召集の通常国会冒頭で解散すれば、2026年度予算案の審議が4月以降にずれ込む可能性があります。予算成立の遅れは国民生活に悪影響を及ぼすリスクを伴います。市場はこうしたリスクも織り込みながら推移していく可能性があります。

今後の展望

専門家の株価予想

大和証券のチーフテクニカルアナリストは、高市政権が解散・総選挙で勝てば経済政策への期待から半年間の株価上昇が見込めると指摘しています。1月解散なら日経平均株価は7~9月に約3割高い6万8000円に到達するとの予想もあります。

ただし、これはあくまで「勝利」を前提としたシナリオです。与党の過半数確保が難しいと予想される場合には、市場がネガティブに反応する可能性も考慮する必要があります。

投資家が注目すべきポイント

今後の焦点は、1月23日の通常国会召集と解散のタイミング、そして選挙戦の行方です。内閣支持率が70%超を維持できるか、野党の選挙態勢がどうなるかによって、市場の期待感も変化していくでしょう。

まとめ

日経平均株価が史上初の5万4000円台に到達した背景には、高市首相による衆院解散観測と「選挙は買い」のアノマリー、そして財政拡張政策への期待があります。「高市トレード」の再燃により、株高・円安・金利上昇という三位一体の動きが強まっています。

過去の実績を見れば、解散から投開票日までは株価が上昇しやすい傾向があります。しかし、選挙後の動向は別の要因に左右されるため、短期的な相場の過熱には注意が必要です。財政拡張路線が円安・インフレを助長するリスクも念頭に置きながら、冷静な投資判断を心がけることが重要です。

参考資料:

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