オービック4〜12月期営業最高益、22年連続更新へ配当も増額
はじめに
独立系システムインテグレーターのオービックが、2025年4〜12月期の営業利益で22年連続の過去最高益更新を見込んでいます。人手不足を背景としたシステム投資需要の拡大が追い風となり、新規顧客の開拓も順調に進んでいます。
年間配当計画も引き上げる見通しで、2026年1月26日の決算発表に注目が集まります。主力製品である統合基幹業務システム(ERP)「OBIC7」は国内市場でトップシェアを誇り、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進の波に乗っています。
本記事では、オービックの最新業績動向と、同社を取り巻くERP市場の環境、今後の成長展望について解説します。
4〜12月期は22年連続で最高益更新へ
営業利益は1割増の650億円強
オービックの2025年4〜12月期の連結営業利益は、前年同期比約1割増の650億円強となった公算が大きいと報じられています。同期間での最高益更新は22年連続という驚異的な記録です。
人手不足を背景にしたシステム投資需要の拡大が業績を押し上げています。企業の業務効率化・省力化ニーズが高まる中、ERPシステムへの投資意欲は衰えていません。新規顧客の開拓も順調に進んでおり、成長基調が続いています。
上期(4〜9月期)も好調
2025年4〜9月期の連結決算では、純利益が前年同期比16%増の373億円となり、同期間として5年連続の最高益を記録しました。売上高は11%増の657億円、営業利益は13%増の436億円と、いずれも好調でした。
経常利益は前年同期比17.3%増の522億円に達し、通期計画973億円に対する進捗率は53.7%と、5年平均の49.3%を上回るペースで推移しています。
通期予想と増配
2026年3月期通期の業績予想は、営業利益で前期比10%増の862億円を据え置いています。堅調な進捗を踏まえると、上方修正の可能性もあります。
年間配当については、従来計画の74円(前期比4円増)をさらに引き上げる見通しです。株主還元にも積極的な姿勢を示しています。決算発表は2026年1月26日を予定しています。
オービックとOBIC7の強み
国内ERPシェアトップ
オービックの主力製品「OBIC7」は、累計導入社数で19年連続1位を獲得しています。中堅・大手市場(年商100〜1,000億円)における売上高ランキングでも28.9%のシェアで第1位です。
シリーズ全体で累計28,000社以上に導入されており、250業種という幅広い業界をカバーしています。1997年の登場以来、28年間にわたって国内ERPのスタンダードとしての地位を築いてきました。
自社開発・直接販売へのこだわり
オービックの強みは「自社開発」と「直接販売」へのこだわりにあります。コンサルティングからシステム企画・設計、開発、稼働、導入後のサポートまでを自社で一貫して提供する「ワンストップ・ソリューション・サービス」が特長です。
お客様と直接向き合うことで業界や企業固有の課題・ニーズを把握し、常に最適なソリューションを提供しています。外部に頼らず全工程を自社で手掛けるからこそ、ノウハウの蓄積と活用が可能になっています。
高い利益率の秘密
オービックは営業利益率50%超を実現しており、システム業界では異例の高収益企業として知られています。この高い利益率を支えているのが、業界に特化したパッケージングです。
各業界に必要な機能群を事前に用意しておくことで、導入時はセミカスタマイズレベルの調整で済みます。フルスクラッチ開発と比べて工数が大幅に削減され、結果として高い利益率につながっています。
日本企業に特化した設計
海外製ERPと比較したOBIC7の優位性は、日本の商習慣や法制度に特化した設計にあります。経費精算のワークフローや人事業務の異動管理など、日本企業特有の業務プロセスに対応した機能が標準で搭載されています。
クラウド型、オンプレミス型の両方から選択できる柔軟性も、多様なニーズに応える強みとなっています。
ERP市場を取り巻く環境
市場規模は拡大基調
日本のERP市場は着実に成長しています。2023年度の売上金額は2,027億円で前年度比17.7%増となり、2024年度も同18.2%増と2桁成長が見込まれています。2026年度には2,420億円規模に達するとの予測もあります。
この成長を牽引しているのは、インボイス制度や電子帳簿保存法などの法改正対応、そしてDX推進に伴う老朽化システムのリニューアル需要です。
「2025年の崖」とシステム刷新
経済産業省が警鐘を鳴らした「2025年の崖」は、日本企業のDX停滞による経済損失が年間12兆円規模に拡大する可能性を指摘しています。多くの企業が基幹システムの老朽化問題を抱えており、刷新の必要性に迫られています。
SAP ERPの保守サポート期限問題もあり、既存システムからの移行需要が高まっています。オービックにとっては、こうした環境変化が追い風となっています。
クラウドERPへのシフト
ERP市場ではパッケージ型からクラウド型(SaaS型)への移行が加速しています。2023年度のSaaS市場は前年度比29.3%増と高い伸びを示しており、2028年度までの年平均成長率は20.6%が予測されています。
オービックも「オービッククラウド」を2013年から提供しており、クラウドシフトの流れに対応しています。
人手不足がシステム投資を後押し
日本企業は深刻な人手不足に直面しており、業務効率化・省力化のためのシステム投資需要が高まっています。ERPの導入により、従来は人手に頼っていた業務を自動化・効率化できるため、人的リソースの有効活用につながります。
オービックの業績好調の背景には、こうした社会的なニーズの高まりがあります。
今後の展望
中堅・中小企業への浸透
従来、大企業中心だったERP導入は、近年は中堅・中小企業にも広がっています。ITトレンドの調査によると、ERPに関する資料請求の多くが従業員10名以上100名未満の企業から寄せられています。
オービックにとっては、この新たな市場セグメントが成長機会となります。OBIC7の導入実績と業界ノウハウを活かし、中堅・中小企業の開拓を進めることが期待されます。
DX推進の継続
「2025年の崖」を乗り越えた後も、企業のDX推進は継続します。AIの活用など新たな技術トレンドへの対応も求められる中、ERPは企業の基盤システムとして重要性を増しています。
オービックが長年蓄積してきた業界知識とシステム開発力は、今後も競争優位の源泉となるでしょう。
安定成長への期待
22年連続の営業最高益という実績は、オービックのビジネスモデルの堅固さを示しています。ストック型の収益構造と高い利益率、そして拡大するERP市場という好環境が、今後の安定成長を支えると考えられます。
まとめ
オービックの2025年4〜12月期は、22年連続での営業最高益更新が見込まれています。人手不足を背景としたERP需要の拡大が追い風となり、新規顧客開拓も順調です。年間配当も引き上げ予定で、1月26日の決算発表が注目されます。
主力製品「OBIC7」は国内ERPシェアトップを維持し、自社開発・直接販売という独自のビジネスモデルで高い利益率を実現しています。DX推進の波と「2025年の崖」への対応需要が続く中、オービックの成長ストーリーは今後も継続する見通しです。
参考資料:
関連記事
ガースナー氏の遺言が示す日本企業変革への処方箋
IBM再建の立役者ルイス・ガースナー氏が2025年末に死去。CES2026で露呈した日本企業の存在感低下と、巨象を踊らせた経営哲学から学ぶべき教訓を解説します。
NYダウ続落、銀行決算と地政学リスクが市場を圧迫
2026年1月14日のNYダウは銀行株の下落と地政学リスクを背景に続落しました。決算発表が相次ぐ米国銀行株の動向と今後の市場見通しを解説します。
米JPモルガン10〜12月期7%減益、その背景と展望
米金融大手JPモルガン・チェースの2025年10〜12月期決算は純利益が前年同期比7%減でした。減益要因と米国金融業界の動向、今後の見通しについて解説します。
ディスコが一転最高益へ、AI半導体需要が業績をけん引
半導体製造装置大手のディスコが2025年4〜12月期に過去最高益を更新。AI向け先端半導体の需要好調で会社予想を上回り、HBM市場の急拡大が追い風となっています。
メガバンク店舗改革、夜間・休日営業と人材確保の両立戦略
メガバンクが新規出店と営業時間延長に舵を切る中、働き方改革と人繰りの課題に直面。内定者アルバイトやDX活用など、新たな人材確保策を解説。
最新ニュース
麻生副総裁「解散は首相の専権、議席増に全力」
訪韓中の麻生氏が衆院解散を巡り発言。「脇役が言う話ではない」と首相を支持しつつ、事前相談なしへの不満も滲む。
日銀1月会合は据え置き濃厚、成長率見通し上方修正で利上げ継続に布石
日銀は1月22〜23日の会合で政策金利0.75%を維持する見通し。政府の経済対策を反映し2026年度の成長率見通しを引き上げ、段階的利上げ継続への道筋を示します。
立憲民主・公明が新党「中道改革連合」結成へ
2026年1月、立憲民主党と公明党が高市政権に対抗する新党を結成。食品消費税ゼロを掲げ衆院選に挑む。国民民主は参加せず独自路線を選択。
新党「中道改革連合」、反高市路線で政権に対抗
立憲・公明が新党結成。積極財政修正、集団的自衛権全面容認反対など、高市政権との対立軸を鮮明に。家計分配重視にリスクも。
建設業界7割が大型工事受注できず、人手不足が経済成長の足かせに
2026年度に大手・中堅建設会社の約7割が大型工事を新規受注できない見通し。深刻な人手不足が受注余力を制約し、民間設備投資と公共投資に影響を及ぼす現状を解説します。