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by nicoxz

アウトドア市場が映す景気動向 コロナ後も世界で根強い需要

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はじめに

新型コロナウイルス禍で起きたアウトドアブームは、その後どうなっているのでしょうか。米オレゴン州ポートランドに本社を置くアウトドア用品大手、コロンビア・スポーツウェアのティム・ボイル会長兼CEOは「アウトドアはそんなに費用がかからず楽しめるので、不景気でも人気のジャンル」と語ります。

本記事では、コロンビアの業績を通じてアウトドア市場の現状を分析するとともに、日本におけるキャンプブーム終焉後の動向、そしてアウトドア市場と景気の関係性について解説します。

コロンビア・スポーツウェアの最新動向

2025年第2四半期は6%成長

コロンビア・スポーツウェア・カンパニーは2025年7月、第2四半期の決算を発表しました。厳しい市場環境にもかかわらず、純売上高は前年同期比6%増加し、季節的損失も1株当たり0.19ドルと、前年の0.20ドルから若干改善しました。

ブランド別では、主力の「Columbia」ブランドが8%成長した一方、小規模ブランドはすべて減少しました。prAna(-6%)、SOREL(-10%)、Mountain Hardwear(-7%)と苦戦が続いています。

販売チャネル別では、卸売販売が14%増加した一方、直販(DTC)販売は1%減少しました。粗利益率は120ベーシスポイント拡大して49.1%となり、健全な在庫構成とアウトレット販売の減少が寄与しています。

若年層へのアプローチ強化

コロンビアは「ACCELERATE成長戦略」の実行を継続しており、若くよりアクティブな消費者層に焦点を移すことでブランド価値の向上を目指しています。

2025年第3四半期については、純売上高を9億400万ドルから9億2,200万ドルと予想し、希薄化後1株当たり利益は1.00ドルから1.20ドルと予測しています。国際市場での成長が業績を牽引する構図が続いています。

日本のアウトドア市場の現状

キャンプブームの盛衰

日本では1990年代に第一次キャンプブームが起こり、2010年代からは第二次ブームが徐々に広まりました。特にコロナ禍では「密集・密接・密閉」を避けられるキャンプなどの屋外活動が人気を集め、市場は急拡大しました。

『レジャー白書』によると、2020年にコロナの影響で一時的に市場は縮小したものの、翌年には増加に転じてコロナ禍前の2019年を上回りました。2022年には登山・キャンプ用品市場は2,540億円にまで伸長し、ピークを迎えました。

「キャンプバブル」の終焉

しかし、足元ではキャンプ用品を扱う企業の業績が苦戦しています。スノーピークは2023年12月期決算において、売上高が前年比16.4%減となり、純利益も99.9%減という厳しい結果となりました。

カンセキの「WILD-1事業」も2024年2月期決算で売上高が前年比18.3%減となり、営業利益は大幅な赤字転落となっています。

2023年の「登山・アウトドア」市場は2,450億円と、前年から3.5ポイント減少しました。アウトドア用品は耐久消費財であり、一度購入すれば数年は買い替える必要がないため、在庫調整期間がしばらく続くと予測されています。

調整局面からの脱却は道半ば

カンセキの2024年3〜11月期決算短信によると、キャンプ用品の売上はキャンプブーム鎮静化の影響で前年同期を下回りました。一方、行動制限緩和による外出機会の増加により、旅行関連用品やハイキング用品の販売は好調でした。

しかし、「キャンプ用品は調整局面から抜け出せていない」との見方が示されており、市場の正常化にはまだ時間がかかる見通しです。

アウトドアと景気の関係性

「費用がかからないレジャー」としての強み

コロンビアのティム・ボイルCEOは「アウトドアはそんなに費用がかからず楽しめるので、不景気でも人気のジャンル」と指摘しています。ハイキングには良いレインコートとブーツがあれば十分であり、高額な出費を必要としないレジャーとしての側面があります。

これは景気後退局面においても、アウトドア市場が比較的底堅い需要を維持できる理由の一つです。海外旅行やテーマパークといった高額レジャーと比較すると、アウトドア活動は家計への負担が小さいのが特徴です。

関税政策の影響

一方で、トランプ政権の関税政策はアウトドア用品業界にも影響を与えています。米スポーツ用品大手のナイキは2025年6〜8月期決算で5四半期連続の最終減益となり、関税政策によるコスト増が収益の重荷となっています。

日本への相互関税は2025年8月に15%に引き下げられることで合意しましたが、依然として輸入コストの上昇圧力は残っています。アウトドア用品の多くはアジア諸国で生産されており、関税や為替の影響を受けやすい構造があります。

デジタル化時代の「自然回帰」

アウトドア需要が中長期的に高まる背景として、デジタル化の普及により「人間本来の欲求に基づく自然回帰の流れ」が指摘されています。スマートフォンやPCに向き合う時間が増える中、自然の中でリフレッシュしたいというニーズは世界的に高まっています。

この潮流は日本だけでなく世界でも同様に見られ、10年前と比べて世界のアウトドア市場規模は7割、日本は5割増加しています。

今後の展望と課題

ユーザー育成の重要性

今後の市場成長のポイントとして、ユーザー育成の重要性が指摘されています。コロナ禍で初めてキャンプを体験した人のうち、8割弱が再参加意向を持っているとの調査結果があります。

キャンプの良さを伝え、実施頻度を高めてもらうことが市場形成に欠かせません。一過性のブームで終わらせず、継続的なアウトドア愛好者を育てることが業界全体の課題です。

日本市場の成長余地

日本のキャンプ人口はおよそ6〜7%と言われており、欧米諸国と比較するとまだまだ成長余地があります。女性や高齢者、ファミリー層など、これまでアウトドアに縁がなかった層を取り込むことで、市場の裾野を広げる余地は十分にあります。

矢野経済研究所は2025年のアウトドアビジネスについて調査を実施し、2030年度までの将来予測を行っています。短期的な在庫調整局面を経た後、中長期では再び成長軌道に戻る可能性があります。

まとめ

コロンビア・スポーツウェアの業績は、アウトドア市場が調整局面にありながらも底堅い需要を維持していることを示しています。日本では「キャンプバブル」の終焉により、スノーピークやカンセキなど国内企業が苦戦していますが、旅行関連用品やハイキング用品は好調を維持しています。

ティム・ボイルCEOが指摘するように、アウトドアは「費用がかからないレジャー」として、景気変動に対する耐性を持っています。デジタル化時代における自然回帰のトレンドも追い風となり、中長期的には成長が期待できる市場です。

関税政策や為替変動といったリスク要因に注意しながらも、新規ユーザーの獲得と既存ユーザーの定着を図ることが、業界の持続的な成長の鍵となるでしょう。

参考資料:

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