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by nicoxz

パウエルFRB議長が反撃 刑事捜査に「威嚇だ」と異例声明

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はじめに

2026年1月、米国の金融政策をめぐり前代未聞の事態が発生しています。トランプ政権の司法省が、連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長に対する刑事捜査を開始したのです。

これに対しパウエル議長は、異例のビデオ声明を発表し、「政治的圧力による威嚇」だと真っ向から反論しました。中央銀行の独立性を守るための「反撃」として、金融界から広く支持を集めています。

本記事では、刑事捜査の経緯、パウエル議長の反論、そしてFRBの独立性をめぐる対立が経済に与える影響について詳しく解説します。

刑事捜査の経緯

大陪審召喚状の送達

2026年1月9日金曜日、米司法省はFRBに対して大陪審召喚状を送達しました。ジャニーン・ピロ米連邦検事が担当するこの捜査は、パウエル議長が昨年6月に上院銀行委員会で行った証言に関するものとされています。

表向きの捜査対象は、総額25億ドル規模に及ぶFRB本部の建て替えプロジェクトです。議会での証言において虚偽の内容があった疑いがあるというのが司法省の主張です。

トランプ大統領の圧力の歴史

しかし、この捜査は突然始まったものではありません。トランプ大統領は就任当初から、パウエル議長に対して利下げを求める圧力をかけ続けてきました。「愚か者」や「パットができないゴルファー」などと公然と批判し、解任の可能性まで示唆していました。

第2次トランプ政権では、この批判がさらに激化しました。利下げを求める圧力は数カ月にわたって続き、FRB理事のリサ・クック氏を解任しようとする動きもありました。

パウエル議長の反撃

異例のビデオ声明

パウエル議長は1月11日日曜日の夜、FRBのウェブサイトを通じてビデオ声明を発表しました。これは、FRB議長がこのような形で直接国民に訴えかける極めて異例の対応です。

声明の中でパウエル議長は、以下のように述べています。

「私は法の支配と民主主義における説明責任を深く尊重しています。FRB議長を含め、誰も法の上にはいません。しかし、この前例のない行動は、政権の脅迫と継続的な圧力というより広い文脈で見るべきです」

「この新たな脅威は、私の昨年6月の証言やFRB建物の改修についてではありません。議会の監督機能についてでもありません。FRBは証言やその他の公開情報を通じて、改修プロジェクトについて議会に情報提供する努力をしてきました。これらは口実です。刑事告発の脅威は、FRBが大統領の意向ではなく、国民に最も貢献するという我々の最善の判断に基づいて金利を設定したことの結果です」

FRBの独立性を守る決意

パウエル議長は、「金融政策が政治的圧力や威嚇によって方向付けられるのか、証拠と経済状況に基づいて設定されるのか」が問われていると強調しました。そして、「上院で承認された自らの職務を、誠実さと米国民への奉仕への決意を持って遂行し続ける」と宣言しました。

ウォール街と元高官からの支持

歴代FRB議長・財務長官の声明

パウエル議長を支持する声が金融界から相次いでいます。FRB議長を務めたジャネット・イエレン氏、ベン・バーナンキ氏、アラン・グリーンスパン氏の3氏と、元財務長官のティモシー・ガイトナー氏、ジェイコブ・ルー氏、ヘンリー・ポールソン氏、ロバート・ルービン氏の4氏は、共同声明を発表しました。

この声明では、司法省によるパウエル議長捜査を強く非難し、中央銀行の独立性を損なうと警告しています。

経済学者からの批判

ミシガン大学の経済学教授、ジャスティン・ウォルファーズ氏は、「金融政策の実施を犯罪化しようとするのは許しがたい。すべての米国民がこれに反対すべきだ。経済・政治・法の支配・市場に悪影響をもたらす」と断じました。

ウォール街の見方

ウォール街では、トランプ政権のこの動きが「裏目に出る」との見方が広がっています。FRBに圧力をかけて利下げを実現しようとする狙いは、むしろ逆効果になる可能性があるとの分析です。

中央銀行の独立性への攻撃は、長期金利の上昇、市場のボラティリティ増大、消費者の不確実性拡大につながりかねないとコロンビア大学のブレット・ハウス教授は指摘しています。

共和党内からの反発

ティリス上院議員の警告

FRBを監督する上院銀行委員会の有力メンバーであるトム・ティリス上院議員(共和党)は、この問題が解決するまで、トランプ大統領が指名するFRBの新議長人事に反対すると表明しました。これは、共和党内からも今回の捜査への懸念が出ていることを示しています。

ベッセント財務長官の忠告

スコット・ベッセント財務長官も、トランプ大統領に対し、この捜査は混乱を招き金融市場に悪影響を及ぼしかねないと忠告したと報じられています。

金融市場への影響

株式市場の反応

捜査のニュースを受け、ダウ工業株30種平均は一時400ポイント以上下落しました。ただし、その後の下げ幅は限定的で、最高値圏に近い水準を維持しています。

金価格の高騰

トランプ政権とFRBの対立が意識される中、市場ではリスク回避姿勢が強まり、金(ゴールド)は一時、1トロイオンス=4,600ドル超という史上最高値を更新しました。

金利見通しへの影響

この法的対立により、FRBが今年中に利下げを行う可能性は低下したとの見方が広がっています。複数のアナリストは、FRBは2026年を通じて金利を据え置くと予想しています。

1月27日〜28日に予定されている次回の連邦公開市場委員会(FOMC)では、CMEのFedWatchツールによると、現在の政策金利(3.5%〜3.75%)が据え置かれる確率は97.2%となっています。

パウエル議長の任期と今後

議長任期は5月まで

パウエル議長の議長としての任期は2026年5月に満了します。しかし、FRB理事としての任期は2028年1月まで残っています。

理事職継続の可能性

エバーコアISIのクリシュナ・グハ副会長は、今回の召喚状により「パウエル議長が議長任期終了後もFRB理事として残り、FRBを守ろうとする可能性が高まった」と分析しています。

ドイツ銀行のジム・リード氏も、「パウエル議長が理事として残る理由を探しているなら、これがその理由になり得る」と指摘しました。

ポトマック・リバー・キャピタルのマーク・スピンデル最高投資責任者は、「5月に議長任期が終わったら辞任すると確信していたが、今は確信が薄れた」と述べています。

今後の展望と注意点

FRBの独立性の行方

今回の捜査は、中央銀行の独立性という民主主義の根幹に関わる問題です。FRBの独立性が損なわれれば、インフレ抑制への信認が失われ、長期金利の上昇や通貨価値の下落につながるリスクがあります。

住宅ローン金利への影響

FRBの独立性への攻撃は、皮肉にも、トランプ大統領が望む低金利とは逆の結果をもたらす可能性があります。住宅ローン金利は政策金利よりも10年国債利回りと連動しており、インフレ懸念が高まれば国債利回りが上昇し、住宅ローン金利も上がることになります。

次回FOMC会合に注目

1月27日〜28日のFOMC会合は、パウエル議長がこの圧力の中でどのような姿勢を示すかを占う重要な機会となります。金融市場関係者の注目が集まっています。

まとめ

トランプ政権によるパウエルFRB議長への刑事捜査は、中央銀行の独立性を脅かす前代未聞の事態です。パウエル議長の異例のビデオ声明による「反撃」は、歴代FRB議長や元財務長官、ウォール街から広く支持を集めています。

この対立の行方は、米国経済の先行きだけでなく、民主主義における制度の独立性という根本的な問題に関わります。5月のパウエル議長任期満了、そして次回FOMC会合での判断に注目が集まります。

参考資料:

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