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by nicoxz

ミランFRB理事がCEA委員長を辞任、兼務解消でFRB留任へ

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はじめに

米連邦準備理事会(FRB)のスティーブン・ミラン理事が2026年2月3日、大統領経済諮問委員会(CEA)委員長の職を辞任しました。かねてより批判されていた政府高官とFRB理事の兼務を解消し、FRB理事としての職務に専念する形となります。

ミラン氏のFRB理事としての任期は1月31日に満了していますが、後任が上院で承認されるまで現職を続けることが法的に認められています。今回の辞任は、上院への約束を果たすとともに、FRB理事として留任するための措置とみられています。

この人事は、トランプ政権下でFRBの独立性がどのように維持されるのか、そして金融政策の方向性に大きな影響を与える重要な出来事です。

ミラン氏のFRB理事就任と兼務問題

異例の人事の背景

ミラン氏は2024年12月にトランプ大統領からCEA委員長に指名され、2025年3月に上院で承認されました。その後、同年8月にクーグラー元FRB理事が辞任したことを受け、トランプ大統領はミラン氏を後任のFRB理事に指名しました。

通常、FRB理事に就任する際には政府の職を辞任するのが慣例です。しかしミラン氏は、CEA委員長を休職扱いとしてFRB理事に就任するという異例の対応を取りました。この「兼務」状態は、FRBの政治からの独立性を損なうものとして、民主党議員を中心に強い批判を受けていました。

上院での約束と辞任

ミラン氏は2025年9月の上院承認時に、FRB理事としての任期が1月を超えて延長される場合は、正式にCEA委員長を辞任すると約束していました。今回の辞任は、この約束を履行するものです。

ミラン氏は辞表の中で「1月以降も理事会にとどまることになれば、正式に委員会を去ると上院に約束した」と述べ、「自分の言葉に忠実であり続けることが重要だ」と説明しています。

ミラン理事の金融政策スタンス

大幅利下げの主張

ミラン氏はFRB理事として、一貫して大幅な利下げを主張してきました。2025年の連邦公開市場委員会(FOMC)では4回にわたり反対票を投じ、0.25ポイントの利下げではなく0.5ポイントの大幅利下げを支持しました。

2025年11月には「労働市場の軟化とインフレ率の低下を踏まえ、0.5ポイントの利下げを行うべきだ」と発言しています。また、政策金利を現在より2ポイント近く低い2.5%まで引き下げるよう求めており、2026年には合計で1%超の利下げを追求していく考えを示しています。

トランプ政権の政策との整合性

ミラン氏の主張は、トランプ大統領がFRBに求める積極的な利下げ姿勢と軌を一にしています。ミラン氏は、トランプ政権がもたらす移民減少、政府借入の削減、規制緩和がいずれも長期金利の低下要因になると論じています。

一方で、ミラン氏は上院公聴会で「FRBの独立性を維持し、能力の限り米国の人々に奉仕する」と述べており、政治的な圧力に屈しない姿勢も示しています。

次期FRB議長人事と今後の展望

ウォーシュ氏の議長指名

トランプ大統領は2026年1月30日、5月に任期満了を迎えるパウエルFRB議長の後任として、ケビン・ウォーシュ元FRB理事を第17代議長に指名しました。ウォーシュ氏は2006年から2011年までFRB理事を務め、2008年の金融危機時には重要な役割を果たした人物です。

市場では、ウォーシュ氏がまずミラン氏の空席となったFRB理事ポストに就任し、その後5月にパウエル氏の後任として議長に昇格するシナリオが有力視されています。

FRBの独立性をめぐる懸念

トランプ政権下では、FRBの独立性に対する懸念が高まっています。2025年8月には、トランプ大統領がクック理事の解任を試みる事態も発生しました。FRBの111年の歴史の中で、理事を解任しようとした大統領はいませんでした。

この動きに対し、ノーベル賞受賞者を含む約600名の経済学者が反対の書簡を公開し、「中央銀行の独立性という根本原則を脅かす」と警告しています。

金融市場への影響

ウォーシュ氏の議長指名が発表された1月30日、米国株式市場ではダウ平均株価が一時600ドル超下落しました。為替市場でも、当面の利下げ期待の後退からドル高が進み、ドル円レートは152円台から154円台へと上昇しました。

ウォーシュ氏は従来、より厳格な金融政策を支持することで知られていますが、最近は政策金利の引き下げを主張しており、トランプ大統領の利下げ要求と一定の整合性を見せています。

注意点・展望

FRBの独立性維持が焦点

今後の最大の焦点は、トランプ政権下でFRBがどこまで独立性を維持できるかです。中央銀行の政府からの独立性は、長い歴史の中で生み出された「人類の英知の産物」とも言われています。政府が金融政策に強く関与すれば、緩和的な政策に偏りやすくなり、インフレを通じて国民生活を損ねるリスクがあります。

利下げペースの行方

ミラン氏が主張する大幅利下げが実現するかどうかは、今後のインフレ動向と労働市場の状況次第です。ウォーシュ氏が議長に就任した場合、どのような金融政策運営を行うかが注目されます。

まとめ

ミラン氏のCEA委員長辞任は、FRBの独立性をめぐる議論に一つの区切りをつけるものです。政府高官との兼務という異例の状態は解消されましたが、トランプ政権によるFRBへの政治的介入の懸念は依然として残っています。

今後は、ウォーシュ氏の議長承認プロセスと、FRBの金融政策の方向性に注目が集まります。投資家や市場関係者は、FRBの独立性が維持されるかどうかを注視しながら、金融政策の変化に備える必要があります。

参考資料:

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