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by nicoxz

英王室、洋上風力で収入急増。アンドルー元王子が執着した特権の実態

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はじめに

2025年10月、英国のチャールズ国王は弟アンドルー王子の称号を剥奪しました。エプスタイン事件の性的虐待疑惑に揺れるアンドルー氏は、最後まで称号と特権に執着していましたが、最終的に「アンドルー・マウントバッテン・ウィンザー」という一般人の名に戻されました。この騒動をきっかけに、英国王室の裕福ぶりに改めて注目が集まっています。土地の賃料や個人投資に加え、多くの海底と海岸線を管理していることから、洋上風力発電ブームでリース料収入が急増。2025年度の王室助成金は過去最高の1億3200万ポンド(約259億円)に達する見込みです。本記事では、英国王室の収入構造と、洋上風力発電が王室財政にもたらす恩恵を詳しく解説します。

アンドルー元王子の称号剥奪騒動

エプスタイン事件と性的虐待疑惑

ヴァージニア・ジュフリー氏は、17歳だった時を含め3回にわたり、性犯罪者ジェフリー・エプスタインによってアンドルー王子との性行為を強要されたと訴えました。エプスタインは大富豪として知られ、未成年女性の人身売買で起訴された人物です。2025年4月に41歳で自死したジュフリー氏は、生前に自伝「Nobody’s Girl」を執筆し、同年10月に出版されました。

開示された裁判書類には、エプスタインが開催した乱交パーティーで未成年の少女たちとアンドルー王子が性交するように命じられたという証言が含まれています。ジュフリー氏はエプスタインから15,000ドル(約210万円)を受け取ったと証言しています。

称号剥奪までの経緯

アンドルー氏は疑惑を強く否定し、ジュフリー氏に会ったこともないと主張していましたが、2022年には民事訴訟の和解金として数百万ドルを支払ったと報じられました。2019年11月には王室公務から退き、2025年10月17日に自ら称号を返上する声明を出しました。

2025年10月30日、チャールズ国王は正式にアンドルー氏の「王子」を含むすべての王室称号を剥奪しました。さらに12月1日にはガーター勲章とロイヤル・ヴィクトリア勲章も取り消され、登録簿から名前が抹消されました。これにより、アンドルー氏は完全に王室の肩書きを失いました。

特権への執着が浮き彫りに

称号剥奪の過程で明らかになったのは、アンドルー氏の特権への強い執着です。称号を失うことは、王室の財産や収入へのアクセスを失うことも意味します。この騒動により、王室メンバーが享受する莫大な経済的恩恵が改めて世間の注目を集めることになりました。

英国王室の収入構造

過去最高の王室助成金

2025年度、英国王室が財務省から受け取る「王室助成金」は前年より4500万ポンド(約88億円)多い1億3200万ポンド(約259億円)となり、過去最高額に達しました。この増額には、君主制廃止を求める市民団体「リパブリック」が「恥ずべきこと」と批判し、減額を求める声も上がっています。

土地からの賃料収入

チャールズ国王とウィリアム皇太子は、それぞれ公領からの収入を得ています。2024年度、チャールズ国王はランカスター公領から2740万ポンド(約53億8100万円)、ウィリアム皇太子はコーンウォール公領から2360万ポンド(約46億3400万円)の収入を得ました。

ランカスター公領にはランカシャーやヨークシャーの地域、ロンドン市内の不動産、1万8000ヘクタールの土地が含まれ、2023/24年度には約2,000万ポンド(約38億3215万円)の利益を生み出しました。

国民からの批判

2024年11月の英国『チャンネル4』のドキュメンタリー番組は、王室が国民保険サービス(NHS)や軍隊、慈善団体から不動産賃貸料を徴収し、それが王室メンバーの私的収入になっていることを紹介しました。公的機関や慈善団体から賃料を取る仕組みに対し、国民からの批判が高まっています。

洋上風力発電ブームと王室収入

The Crown Estateの役割

英国では、海岸線の沖合12海里(22.2km)の距離までの大半を国王が所有しています。洋上風力発電所を建設するには、王室の資産を管理する公営企業The Crown Estateから海域をリースしなければなりません。イングランド、ウェールズ、北部諸島周辺の海域はThe Crown Estateが、スコットランド周辺はCrown Estate Scotlandが管理しています。

The Crown Estateは英国のオフショア風力発電産業の発展において主要な役割を果たしており、洋上風力発電事業者から徴収されるリース料は王室の重要な収入源となっています。

リース料の仕組み

洋上風力発電の入札は「ラウンド(Round)」と呼ばれ、発電会社が海底のリース権を取得するオークション形式で行われます。2001年から2010年までに5回のラウンドが実施されました。

リース料は「ポンド/MW/年」の単位で各プロジェクトごとに入札され、発電MWあたりの年額として海域使用料が設定されます。洋上風力発電所の運営には長期間を要するため、リース料は継続的な収入源となります。

洋上風力発電の急成長

英国は洋上風力発電で世界をリードしており、2019年時点で洋上風力発電は32TWhの電力を生成しました。The Crown Estateは「Offshore Wind Operational Report」を発行し、洋上風力発電の状況を定期的に報告しています。

洋上風力発電の建設コストにおいて、運営・保守(O&M)費用は36.2%を占めるとされていますが、リース料は別途発生し、The Crown Estateを通じて王室の収入となります。

収入急増の背景

英国政府は脱炭素化政策を推進しており、洋上風力発電の導入が加速しています。新規プロジェクトが増えるほど、The Crown Estateが徴収するリース料も増加し、王室助成金の財源となるThe Crown Estateの収益が拡大します。

王室助成金は、The Crown Estateの純利益の一定割合を王室に交付する仕組みになっています。洋上風力ブームにより、この純利益が急増したことが、2025年度の王室助成金が過去最高に達した一因です。

王室特権への批判と今後の展望

国民の不満と透明性の欠如

王室が公的機関や慈善団体から賃料を徴収し、洋上風力発電という国策事業からも収入を得ている現状に、国民の不満が募っています。特に、医療や軍隊といった公共サービスの予算が厳しい中、王室への助成金が過去最高に達したことは、批判を呼びやすい状況です。

君主制廃止を求める団体だけでなく、一般市民からも「王室特権の見直し」を求める声が上がっています。透明性の向上と公正な配分が求められています。

洋上風力発電の経済性と課題

洋上風力発電は脱炭素化の切り札として期待されていますが、コストや環境への影響といった課題も抱えています。欧州では大手企業が落札事業から撤退する動きも見られ、入札制度の見直しが喫緊の課題となっています。

リース料が高すぎると事業者の負担が増し、プロジェクトの採算性が悪化する可能性があります。The Crown Estateはリース料設定と産業育成のバランスを取る必要があります。

アンドルー元王子騒動の教訓

アンドルー元王子の称号剥奪騒動は、王室特権がいかに大きな経済的価値を持つかを浮き彫りにしました。称号を失うことは、単なる名誉の問題ではなく、莫大な収入と特権へのアクセスを失うことを意味します。

この騒動を契機に、王室の収入構造や特権のあり方について、より広範な議論が求められています。

まとめ

2025年10月のアンドルー元王子の称号剥奪騒動は、英国王室の裕福ぶりに改めて注目を集めました。王室は土地賃料、個人投資、そして洋上風力発電の海底リース料など、多様な収入源を持っています。2025年度の王室助成金は過去最高の259億円に達し、その背景には洋上風力ブームによるThe Crown Estateの収益急増があります。

チャールズ国王とウィリアム皇太子は、それぞれ公領から年間数十億円規模の収入を得ており、The Crown Estateは洋上風力発電事業者からリース料を徴収しています。このリース料は、英国が脱炭素化を進める中で今後も増加が見込まれます。

しかし、王室が公的機関や慈善団体から賃料を徴収し、国策事業からも収入を得ている現状には、国民からの批判も強まっています。透明性の向上と公正な配分を求める声が高まる中、王室は特権のあり方を見直す時期に来ているのかもしれません。

アンドルー元王子が最後まで執着した特権は、単なる名誉ではなく莫大な経済的価値を持つものでした。この騒動が提起した問題は、英国社会における王室の役割と特権の正当性について、今後も議論を呼び続けるでしょう。

参考資料:

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