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by nicoxz

英国王室が洋上風力マネーで潤う構造と称号剥奪の波紋

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はじめに

英国王室の収入が過去最高水準に達しています。その背景にあるのが、王室が管理する「クラウン・エステート」(王室領地)からの洋上風力発電リース収入の急増です。2024/25年度の純利益は11億5,000万ポンド(約2,200億円)に達し、その大部分を洋上風力関連収入が占めました。

一方、チャールズ国王の弟アンドルー氏が王子の称号を剥奪されるスキャンダルは、王室の裕福ぶりに対する国民の関心を改めて高めています。本記事では、英国王室の収入構造と洋上風力マネーの実態、そしてアンドルー問題の経緯を解説します。

クラウン・エステートと洋上風力マネー

過去最高の利益を記録

クラウン・エステートは2024/25年度に11億5,000万ポンド(約2,200億円)の純利益を計上しました。このうち約10億7,000万ポンドは洋上風力発電の入札ラウンド4(Round 4)からのオプション料によるものです。

クラウン・エステートは英国の海底と海岸線の大部分を管理しており、洋上風力発電事業者がタービンを設置するには、クラウン・エステートからの海底リースが必要です。英国が洋上風力発電の大幅な拡大を進める中で、このリース料が王室の収入を押し上げる構造が生まれました。

王室への還元メカニズム

クラウン・エステートの利益は直接王室に入るわけではありません。利益は英国財務省(HM Treasury)に納められ、その一定割合が「ソブリン・グラント」として王室の運営費に充当されます。

現在のソブリン・グラントの割合は利益の12%に設定されており、2025/26年度の王室への交付額は1億3,200万ポンド(約250億円)に達しました。前年度の8,630万ポンドから大幅に増加しています。

一時的な収入増か

ただし、この収入急増は一時的なものとみられています。クラウン・エステートによると、オプション料は2024/25年度の10億7,000万ポンドから、2026年1月以降は年間約2,500万ポンドに減少する見通しです。洋上風力プロジェクトが建設段階に移行すると、オプション料ではなく継続的なリース料に切り替わるためです。

基礎的な利益(オプション料を除く)は3億6,600万ポンドであり、王室収入が今後大きく減少する可能性があります。

アンドルー元王子の称号剥奪

エプスタイン疑惑と称号の喪失

チャールズ国王の弟アンドルー氏は、米富豪ジェフリー・エプスタイン氏から紹介された未成年女性への性的虐待疑惑を持たれていました。批判が高まる中、チャールズ国王は2025年10月にアンドルー氏から王子の称号を剥奪する決断を下しました。

2025年11月3日に発行された勅許状(Letters Patent)により、「ロイヤル・ハイネス」の称号と「プリンス」の称号が正式に剥奪されました。さらに、インヴァネス伯爵、キリレイ男爵、ガーター勲章、ヴィクトリア勲章ナイト・グランドクロスの称号・勲章も取り消されています。

軍の名誉階級も剥奪

2025年12月13日には、国防省がアンドルー氏の海軍副提督(名誉)の階級を剥奪し、退役中佐の階級に戻されました。かつて英国海軍のヘリコプターパイロットとしてフォークランド紛争に従軍した実績を持つアンドルー氏にとって、軍との結びつきの喪失は大きな打撃です。

続くスキャンダル

2026年1月末に公開されたエプスタイン関連文書には、エプスタイン氏がバッキンガム宮殿での食事に招待されていたことを示すメールや、アンドルー氏の新たな写真が含まれていました。アンドルー氏は現在、ウィンザー城近くの30室あるロイヤル・ロッジからサンドリンガム・エステートの住居への転居を求められており、英国外への移住も検討しているとの報道もあります。

王室財政への国民の視線

「独占的利益」への批判

環境団体グリーンピースは、クラウン・エステートが海底リースの独占的立場を利用して高額な料金を設定し、洋上風力発電のコストを押し上げ、最終的には消費者の電気料金に転嫁されていると批判しています。

王室の収入が洋上風力ブームで急増する一方、英国の消費者はエネルギー価格の高騰に苦しんでいます。アンドルー氏のスキャンダルを機に、王室の財政的特権に対する国民の目が厳しくなっているのは自然な流れです。

注意点・今後の展望

クラウン・エステートの収入構造は今後大きく変化する見通しです。洋上風力のオプション料が激減する一方、建設が完了したプロジェクトからの継続的なリース料が新たな収入源となります。長期的に王室収入がどの水準で安定するかは、英国の再生可能エネルギー政策の進展次第です。

ソブリン・グラントの算定方式についても、12%という割合が適切かどうかの議論が今後活発化する可能性があります。王室の公的役割と財政的特権のバランスは、英国の立憲君主制の根幹に関わる問題です。

まとめ

英国王室は洋上風力発電ブームを通じて過去最高の収入を得ていますが、これは一時的なオプション料に支えられたものであり、持続性には疑問が残ります。アンドルー元王子の称号剥奪スキャンダルは、王室の財政的特権に対する国民の関心と批判を高めるきっかけとなりました。

エネルギー転換と王室制度という二つのテーマが交差する英国の動向は、立憲君主制のあり方を考える上で重要な事例となっています。

参考資料:

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