立民・公明が統一名簿協議、新党結成視野に選挙協力
はじめに
立憲民主党の安住淳幹事長は2026年1月14日、次期衆院選での公明党との選挙協力について、比例代表で両党の候補を同じ名簿に登載する「統一名簿」方式を協議中であることを明らかにしました。
この動きの背景には、2025年10月に26年間続いた自公連立から離脱した公明党と、政権交代を目指す立憲民主党の利害の一致があります。両党は新党結成も視野に入れ、中道勢力の結集を図る構えです。
本記事では、統一名簿方式の仕組み、両党の思惑、そして今後の政局への影響を解説します。
統一名簿方式とは何か
比例代表制の基本
日本の衆議院選挙では、小選挙区比例代表並立制が採用されています。議員定数465名のうち、289名が小選挙区制、176名が比例代表制によって選出されます。
比例代表制では、全国を11のブロックに分け、各ブロックで政党が獲得した票数に応じて議席が配分されます。有権者は政党名を記入して投票し、各党があらかじめ作成した名簿の順位に従って当選者が決まる「拘束名簿式」が採用されています。
統一名簿のメリット
統一名簿方式とは、複数の政党が共同で一つの名簿を作成し、比例代表選挙に臨む方式です。最大のメリットは「死票」を減らせることにあります。
死票とは、落選した候補者や政党に投じられた票のことで、議席に反映されません。小規模政党が単独で比例代表に臨むと、議席獲得に必要な票数(ドント式で計算)に届かず、得票が無駄になるケースがあります。
複数の政党が統一名簿で票を合算すれば、個別では届かなかった議席を獲得できる可能性が高まります。立民と公明が統一名簿を組めば、両党の比例票を合わせることで、単独よりも多くの議席を得られる計算が成り立ちます。
制度上の課題
統一名簿を実現するには、技術的な課題があります。現行の公職選挙法では、比例代表の届出は政党単位で行うことが原則です。複数の政党が一つの名簿を共有するには、新たな政治団体や新党を結成するか、法改正が必要になる可能性があります。
立民と公明が「新党結成も視野」としているのは、この制度上の制約を乗り越える手段として検討されているためです。
立憲民主党と公明党の接近
党首会談で連携を確認
立憲民主党の野田佳彦代表と公明党の斉藤鉄夫代表は1月12日、東京都内で会談し、次期衆院選に向けて「より高いレベルで連携」することで一致しました。野田代表から「選挙でも協力しよう」と要請があり、斉藤代表は「前向きに検討したい」と応じました。
野田代表は会談後、「中道改革路線という国民生活に根ざした現実的な政策を打ち出す」と説明し、公明党について「右に傾き過ぎている状況をただす意味で、一番親和性のある政治勢力だ」と述べました。
公明党の自公連立離脱
公明党が立民に接近した背景には、2025年10月の自民党との連立離脱があります。斉藤代表は高市早苗自民党総裁(当時)に対し、連立政権からの離脱を通告しました。
離脱の直接の原因は、政治資金制度改革をめぐる対立でした。公明党は企業・団体献金の規制強化を求めましたが、自民党との協議がまとまりませんでした。また、自民党派閥の裏金問題への対応をめぐっても、両党の溝は深まっていました。
26年間続いた自公連立の終焉により、公明党は野党の立場となりました。同党は野党間の国会運営や政策協議にも参加する方針を示し、政治資金制度改革法案の成立に向けて野党との連携を進めています。
中道勢力の結集
両党が掲げるのは「中道勢力の結集」です。野田代表は常任幹事会で「政権交代能力を持った中道勢力が結集して、大きな塊を作っていくことを共有できた」と報告しました。
共通政策としては、選択的夫婦別姓制度の導入推進や、裏金問題を受けた政治改革が検討されています。これらは両党の政策的な親和性が高い分野であり、協力の土台となっています。
他党の反応と課題
国民民主党は慎重姿勢
立民は公明党に加え、国民民主党にも統一名簿への参加を呼びかける方針ですが、国民民主党の玉木雄一郎代表は慎重な姿勢を示しています。
玉木代表は「主義、主張の違う政党が選挙のときだけ名簿を1つにするのは国民にわかりやすいのか」と疑問を呈しました。国民民主党は独自路線を重視する傾向があり、参加の見通しは不透明です。
名簿順位の調整
仮に統一名簿が実現する場合、最大の課題は名簿登載順位の調整です。比例代表の当選者は名簿順位で決まるため、どの政党の候補を上位に置くかで激しい駆け引きが予想されます。
新党を結成する場合も、党の運営体制や代表の選出方法など、調整すべき事項は多岐にわたります。1月15日に予定されている党首会談で、詰めの協議が行われる見通しです。
小選挙区での調整
比例代表の統一名簿に加え、小選挙区での候補者調整も焦点となります。公明党は斉藤代表(広島3区)ら現職議員を含め小選挙区から撤退し、全国各地で立民候補を支援する案が浮上しています。
公明党の支持母体である創価学会の組織票は、特定の選挙区で大きな影響力を持ちます。この票を立民候補に振り向けることができれば、小選挙区での勝敗を左右する可能性があります。
今後の展望
衆院解散への対応
高市早苗首相は1月23日召集予定の通常国会冒頭での衆院解散を検討しており、選挙は2月8日を軸に調整されています。立民と公明は時間的な制約の中で、選挙協力の具体策を詰めなければなりません。
政局の流動化
現在の衆院の議席数は、自民党196、立憲民主党148、日本維新の会35、国民民主党27、公明党24となっています。過半数は233議席で、野党が結束すれば政権交代の可能性があります。
立民と公明の連携が実現すれば、野党勢力の議席を合わせて自民党に対抗できる規模となります。ただし、維新や国民民主が独自路線を取れば、野党の足並みは乱れる可能性もあります。
有権者への説明責任
26年間の連立パートナーだった自民党と決別し、かつての野党第一党と組む公明党の路線転換は、有権者にとって大きな変化です。選挙協力を進める両党には、なぜ今、この組み合わせなのかを丁寧に説明する責任があります。
また、統一名簿や新党結成といった手法が、単なる選挙対策なのか、政策実現のための手段なのかも、有権者は注視しています。
まとめ
立憲民主党と公明党は、次期衆院選に向けて比例代表の統一名簿方式を協議しています。新党結成も視野に入れた中道勢力の結集は、2025年10月の自公連立離脱を受けた新たな政治の枠組み作りといえます。
統一名簿は死票を減らし議席を増やす効果が期待できますが、名簿順位の調整や制度上の課題もあります。国民民主党など他の野党の対応も不透明で、野党結集の行方は流動的です。
高市政権への対抗軸を形成できるか、それとも選挙対策にとどまるのか。1月15日の党首会談、そして衆院解散後の選挙戦で、両党の協力の真価が問われることになります。
参考資料:
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