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by nicoxz

チョコレートと頭痛の意外な関係を医学的に解説

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はじめに

2月14日のバレンタインデーを前に、チョコレートを贈ったり楽しんだりする機会が増える季節です。チョコレートに含まれるカカオポリフェノールの健康効果が注目される一方、頭痛やめまいの持病がある方にとっては注意が必要な食品でもあります。

特に近年、医学界で注目されている「前庭性片頭痛」という疾患では、チョコレートが症状の誘発因子となることが指摘されています。片頭痛の拍動性の激しい頭痛発作の後にめまいが起こるこの疾患は、頭痛とめまいが深く関連する代表的な病気です。

本記事では、チョコレートに含まれる成分が頭痛やめまいにどのように作用するのか、最新の医学的知見をもとに解説します。

チョコレートに含まれる頭痛誘発物質

チラミンの血管収縮・拡張作用

チョコレートやカカオには「チラミン」という物質が含まれています。チラミンはポリフェノールの一種で、体内に取り込まれると交感神経を刺激し、ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)の放出を促します。

このノルエピネフリンの放出により、まず血管が収縮します。その後、反動で血管が急激に拡張することで、片頭痛特有のズキズキとした痛みが生じます。チラミンはチョコレートのほかにも、チーズ、赤ワイン、ココアなどに多く含まれています。

フェニルエチルアミン(PEA)の影響

チョコレートには「フェニルエチルアミン」(PEA)という神経活性物質も含まれています。PEAはドーパミンやノルエピネフリンの放出と再取り込みに影響を与え、神経系を過度に興奮させる可能性があります。

この神経系の過興奮が、脳の片頭痛閾値を下げ、頭痛発作を起こしやすくする要因の一つと考えられています。

テオブロミンとカフェイン

カカオに含まれるテオブロミンやカフェインなどのメチルキサンチン類も、片頭痛や吐き気を誘発する物質として知られています。これらは中枢神経を刺激し、血管の拡張を引き起こすことがあります。

カカオポリフェノールの二面性

健康効果と血管拡張作用

カカオポリフェノールには、抗酸化作用により活性酸素を除去し、動脈硬化を防ぐ効果があります。血管を拡張させることで血流を改善し、血圧を下げる効果も報告されています。

しかし、この「血管拡張作用」こそが、片頭痛持ちの方にとっては問題となります。片頭痛は脳の血管が拡張し、三叉神経が刺激されることで起こる疾患です。ポリフェノールによる血管拡張が、片頭痛発作の引き金になる可能性があるのです。

片頭痛のメカニズムとの関連

片頭痛が起こる詳しいメカニズムは次のとおりです。三叉神経が刺激を受けると、セロトニンなどの神経伝達物質が血液中に一気に放出され、脳の血管は一時的に収縮します。その後、セロトニンが代謝されて減少すると、逆に脳血管が拡張し、周囲に炎症が起こります。この過程で、ズキズキとした拍動性の頭痛が生じます。

カカオポリフェノールの血管拡張作用は、このメカニズムを促進する方向に働く可能性があり、片頭痛の方にとってはリスク因子となりえます。

前庭性片頭痛とは

めまいと頭痛が連動する疾患

前庭性片頭痛は、めまいを主症状とする片頭痛の一種です。2012年に診断基準が確立された比較的新しい疾患概念で、頭痛の後にめまいが続く、あるいはめまいと頭痛が同時に起こるのが特徴です。

症状の持続時間は5分から72時間と幅広く、日常生活に支障が出る程度の強いめまい発作が起こります。めまいの前兆として、音や光への過敏さや、キラキラした光やジグザグの線が目の前に見える「閃輝暗点」が出現することもあります。

チョコレートが誘発因子に

前庭性片頭痛の誘発因子として、チョコレート、赤ワイン、チーズなどの食品が挙げられています。これらに共通するのは、チラミンやポリフェノールなど、血管に作用する物質を含んでいる点です。

前庭性片頭痛を持つ方は、疲労、睡眠不足や睡眠過多、強い光や音の刺激、においの刺激、飲酒に加えて、チョコレートの摂取にも注意が必要です。

診断と治療

前庭性片頭痛の診断には、少なくとも5回以上のめまい発作があり、そのうち50%以上に片頭痛の兆候を伴うことが基準となっています。治療は片頭痛と同様に、生活改善と薬物療法が中心です。

軽度の場合は通常の鎮痛薬が有効ですが、症状が強い場合はトリプタン製剤が使用されます。また、バルプロ酸は脳の過敏状態を抑え、めまいを抑制する効果があるとされています。

注意点・展望

高カカオチョコレートに特に注意

カカオ含有量80%以上のハイカカオチョコレートは、片頭痛を誘発するリスクが高いとされています。近年の健康ブームで高カカオチョコレートの人気が高まっていますが、片頭痛やめまいの持病がある方は摂取量に注意が必要です。

1日あたりの適切な摂取量は30gまでが目安です。一度に大量に食べるのではなく、少量をこまめに食べる方が体への負担が少ないとされています。

ミルクチョコレートは比較的安全

一方、ミルクチョコレートやホワイトチョコレートはカカオ含有量が少ないため、片頭痛を誘発するリスクは比較的低いとされています。また、チョコレートに含まれるブドウ糖は、低血糖時に生じる頭痛を和らげる可能性もあります。

個人差が大きい

チョコレートと片頭痛の関係には大きな個人差があることも重要な点です。研究では、チョコレートが片頭痛の直接的な原因であるという十分な科学的根拠はまだ確立されていないとする見解もあります。自分の体の反応をよく観察し、チョコレートを食べた後に頭痛が起こりやすいかどうかを記録しておくことが大切です。

まとめ

バレンタインシーズンに欠かせないチョコレートですが、片頭痛やめまいの持病がある方は注意が必要です。カカオに含まれるチラミン、フェニルエチルアミン、テオブロミン、そしてポリフェノールの血管拡張作用が、片頭痛や前庭性片頭痛の誘発因子となる可能性があります。

特に高カカオチョコレートはリスクが高いため、1日30gまでを目安に楽しむようにしましょう。ミルクチョコレートやホワイトチョコレートは比較的安全ですが、個人差があるため、自分の体調との関係を観察することが重要です。頭痛やめまいが頻繁に起こる場合は、頭痛外来や脳神経外科などの専門医への相談をおすすめします。

参考資料:

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