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by nicoxz

フランスがNATOグリーンランド演習を要請、トランプ対策の狙い

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はじめに

2026年1月、フランスが北大西洋条約機構(NATO)に対し、デンマーク自治領グリーンランドでの軍事演習実施を正式に要請しました。これは、トランプ米大統領がグリーンランドの「完全な購入」を求めて圧力を強める中での動きです。

この要請の背景には、欧州諸国による「北極持久作戦(Operation Arctic Endurance)」と呼ばれる合同軍事演習が既に進行中であるという事実があります。フランス、ドイツ、イギリス、スウェーデンなど8カ国が兵員を派遣し、デンマークの主権を支持する姿勢を示しています。

この記事では、フランスのNATO演習要請の意図、欧州諸国の対応、そしてグリーンランドを巡る地政学的緊張の全体像を解説します。

欧州8カ国による「北極持久作戦」の展開

作戦の発動と参加国

2026年1月15日、トランプ大統領によるグリーンランド併合の脅威に対応するため、欧州のNATO加盟国が「北極持久作戦」を開始しました。デンマーク主導のこの演習には、フランス、ドイツ、イギリス、スウェーデン、ノルウェー、オランダ、フィンランドの7カ国が参加しています。

各国は軍事計画担当者をグリーンランドの首都ヌークに派遣し、有事の際の防衛体制を整備しています。デンマーク自身も1月19日までに200名の追加兵力をグリーンランドに送り込みました。

フランスの積極的な姿勢

マクロン大統領は「フランスは欧州およびその他の地域における国家の主権と独立に尽力している」とX(旧Twitter)で表明し、デンマーク主導の演習への参加を決定しました。フランス国防省は、NATO枠組みでの正式な演習実施を提案し、参加の用意があることを明らかにしています。

「最初のフランス軍部隊は既に移動中です。後続部隊も続きます」とマクロン大統領は述べ、欧州の結束を示す姿勢を強調しました。

トランプ大統領の対抗措置と関税脅威

10%関税の発表

トランプ大統領は1月17日、グリーンランドに軍を派遣した8カ国に対し、10%の追加関税を課すと発表しました。対象国はデンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フランス、ドイツ、イギリス、オランダ、フィンランドです。

関税は2026年2月1日に発効し、6月1日までに合意に達しない場合は25%に引き上げるとしています。トランプ大統領はTruth Socialで「これら8カ国がグリーンランドに集結したのは、目的不明の非常に危険な状況だ」と投稿しました。

ダボス会議での軟化

しかし、1月21日のダボス会議(世界経済フォーラム)での演説で、トランプ大統領は初めて軍事力行使を否定しました。「即時交渉」を呼びかけつつも、武力は用いないと明言したのです。

さらに、NATOのマルク・ルッテ事務総長との会談後、「将来の合意に向けた枠組み」について話し合ったとして、関税脅威を撤回する姿勢を示しました。

グリーンランドの地政学的重要性

北極圏の戦略的要衝

グリーンランドは領土の3分の2以上が北極圏内に位置し、第二次世界大戦以降、北米防衛において重要な役割を果たしてきました。米国は1951年の防衛条約に基づき、グリーンランド北西部のピトゥフィック宇宙基地を運用しています。この基地はミサイル警戒、ミサイル防衛、宇宙監視の任務を担っています。

また、グリーンランドはNATOが北大西洋におけるロシア海軍の動きを監視する「GIUKギャップ」(グリーンランド・アイスランド・英国間の海域)の一部を押さえています。冷戦期にはソ連潜水艦の大西洋進出を捕捉するチョークポイントとして機能し、近年再び注目されています。

レアアース資源と北極航路

気候変動により北極海の氷が減少する中、グリーンランドの戦略的重要性は増しています。新たな北極航路の開通が見込まれるほか、携帯電話やコンピューター、電池に不可欠なレアアース鉱物の豊富な供給源としても注目されています。

中国は2018年に自国を「近北極国家」と位置づけ、「極地シルクロード」構想を打ち出しています。米中ロ三国による北極圏の覇権争いの焦点となっているのです。

欧州の結束とNATOの行方

デンマークの断固たる姿勢

デンマークのフレデリクセン首相は「もし米国がNATO加盟国への軍事攻撃を選択すれば、第2次大戦後に築かれた安全保障のすべてが停止する」と警告しています。グリーンランドは売却対象ではないと繰り返し表明しつつも、米軍のプレゼンス拡大については協議する用意があるとしています。

デンマーク政府は、グリーンランドを含む北極圏の軍事力強化に146億デンマーク・クローネ(約3200億円)を投入する計画を発表しました。新たな艦艇3隻や長距離ドローン2機の導入が予定されています。

8カ国共同声明

フランス、ドイツ、イギリスなど8カ国の首脳は共同声明で「関税脅威は大西洋間関係を損ない、危険な下方スパイラルを招く」と批判しました。「我々は引き続き団結し、主権を守る」と宣言しています。

マクロン大統領はダボス会議で「国際法がますます無視されている」と警鐘を鳴らし、「唯一重要なのは最も強い者の法だ」という風潮を批判しました。

注意点・今後の展望

NATOの結束への試練

今回の事態は、NATO内部の亀裂を露呈しています。同盟の中核である米国が、加盟国デンマークの領土を獲得しようとするという前例のない状況です。集団防衛を原則とするNATOにとって、存立に関わる危機と言えます。

一方で、欧州諸国の迅速な対応は、米国抜きでも一定の防衛協力が可能であることを示しました。フランスがNATO枠組みでの演習を求めたのは、同盟の機能を維持しつつ、欧州の主体性を示す狙いがあります。

今後の注目点

トランプ大統領はダボスで軍事力行使を否定しましたが、「交渉」への圧力は継続しています。6月1日の関税引き上げ期限、そして11月の米中間選挙を控え、情勢は流動的です。

グリーンランド自治政府の動向も重要です。デンマークからの独立を求める声が高まる中、米国の圧力がどのような影響を与えるかが注目されます。

まとめ

フランスによるNATOグリーンランド演習の要請は、トランプ大統領の獲得圧力に対する欧州の結束を示す重要な動きです。既に8カ国が「北極持久作戦」に参加し、デンマークの主権を支持する姿勢を明確にしています。

グリーンランドは北極圏における戦略的要衝であり、レアアース資源を含む経済的価値も高まっています。トランプ大統領は軍事力行使を否定しつつも交渉圧力を維持しており、今後の米欧関係とNATOの行方に大きな影響を与える可能性があります。

北極圏を巡る地政学的競争が激化する中、日本を含むアジア諸国にとっても、この動向を注視することが重要です。

参考資料:

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