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by nicoxz

ホンダ四輪事業が14年ぶり赤字、EV不振で戦略転換急ぐ

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はじめに

ホンダは2026年2月10日、2025年4〜12月期の連結決算を発表しました。四輪事業の営業損益は1664億円の赤字となり、前年同期の4026億円の黒字から大幅に悪化しています。四輪事業の赤字は14年ぶりのことです。

積極投資を進めてきた電気自動車(EV)市場の鈍化に加え、米国の高関税や中国市場の低迷が重なり、通期では開発中止などに伴う損失として約7000億円を計上する見通しです。本記事では、ホンダが直面している課題と、四輪事業の立て直しに向けた戦略転換の内容を詳しく解説します。

ホンダ四輪事業の赤字要因

EV市場の鈍化と巨額損失

ホンダの四輪事業を直撃した最大の要因は、EV市場の想定外の鈍化です。世界的にEV販売の成長ペースが減速しており、特に米国市場ではEV補助金の見直しや充電インフラの不足が需要を冷やしています。

ホンダはEV関連の一過性費用として2671億円を計上しました。これには、戦略車種として開発を進めていた大型EVのSUV(多目的スポーツ車)の開発中止に伴う損失が含まれています。同社は2025年に入り、主力市場の米国でEV需要が減速すると判断し、この大型SUVの開発を打ち切りました。

ホンダの三部敏宏社長は決算発表の場で「明らかにEV市場が鈍化している。電動化戦略の見直しをしていく」と述べ、戦略転換の必要性を認めています。

米国関税の影響

米国の高関税政策も大きな打撃となりました。四輪事業に対する関税の影響額は2898億円に達しています。米国はホンダにとって最大の市場であり、関税コストの増大は収益を大きく圧迫しています。

ホンダは北米での現地生産比率を高めてきましたが、部品のサプライチェーンは依然として国際的に分散しており、関税の影響を完全に回避することは困難な状況です。

中国市場の低迷

中国市場の低迷もホンダの業績を押し下げています。中国ではBYDをはじめとする地場メーカーが低価格EVで市場を席巻しており、日本メーカーはシェアを大きく落としています。ホンダも中国での販売台数が減少し、収益性の悪化に直面しています。

EV戦略の見直しと開発再編

投資計画の大幅縮小

ホンダは2030年度までのEV関連投資額を、当初計画の10兆円から7兆円に引き下げることを表明しました。同時に、2030年度のEV販売目標も200万台から75万台程度に大幅に下方修正しています。

この投資縮小は、EV市場の見通しが不透明な中での現実的な判断とみられます。一方で、ソフトウェア定義車両(SDV)やハイブリッド車(HV)への投資は維持・強化する方針です。

ハイブリッド車への回帰

EV需要の鈍化を受けて、ホンダはハイブリッド車(HV)の強化に舵を切っています。HVは内燃機関とモーターを組み合わせた技術で、EVへの完全移行までの「つなぎ」として改めて注目されています。

トヨタ自動車がHV戦略で高い収益を上げている中、ホンダもHVラインナップの拡充を急いでいます。消費者のEVに対する航続距離や充電時間への不安が根強い中、HVは現実的な選択肢として需要が堅調です。

新型EVシリーズの投入

一方で、ホンダはEV戦略を完全に放棄するわけではありません。2026年から自社開発の新型EV「ゼロシリーズ」の投入を開始し、2030年までに7車種を展開する計画です。ただし、投入ペースや車種構成は市場の反応を見ながら柔軟に調整していく方針です。

カナダ・オンタリオ州で計画していたEV完成車工場とバッテリー工場の稼働については、約2年の延期を決定しています。当初は2028年の稼働を目指していましたが、市場環境の変化を踏まえた判断です。

日産との統合破談とホンダの孤独な戦い

経営統合交渉の頓挫

ホンダの四輪事業が苦境に立つ中、2024年末に浮上した日産自動車との経営統合は破談に終わりました。2025年2月に統合協議の打ち切りが公表されています。

破談の主な原因は、ホンダが日産に対して子会社化を打診したことに日産側が強く反発したことでした。また、日産自身も2024年度に6700億円あまりの赤字を計上しており、両社の業績悪化が統合交渉を複雑にしました。

四輪事業の独力再建

統合が実現しなかったことで、ホンダは四輪事業の立て直しを独力で進めなければなりません。同社は四輪の開発部門の再編を進め、EV・HV・内燃機関の開発リソースの最適配分を図っています。

通期の純利益予想は3000億円(前年比64%減)に下方修正されていますが、営業利益は5500億円の見通しを維持しています。二輪事業の好調さが全体の業績を下支えしている状況です。

注意点・展望

自動車業界全体の構造変化

ホンダが直面している課題は、同社だけの問題ではありません。EV市場の鈍化、米国関税、中国メーカーの台頭は、日本の自動車メーカー全体が向き合う構造的な課題です。マツダも同時期の決算で赤字を計上しており、業界全体で厳しい経営環境が続いています。

EV市場の先行き

EV市場の成長ペースは鈍化していますが、脱炭素に向けた世界的な流れが反転するとは考えにくい状況です。各国の環境規制は段階的に強化されており、中長期的にはEVへのシフトが進むと見られています。

ホンダにとっての課題は、短期的な市場変動に柔軟に対応しつつ、長期的なEV競争力を維持するバランスです。投資の縮小が将来の競争力低下につながらないよう、戦略的な判断が求められます。

まとめ

ホンダの四輪事業は、EV不振・米国関税・中国市場低迷の三重苦により、14年ぶりの赤字に転落しました。通期で約7000億円の損失計上が見込まれる厳しい状況ですが、同社はEV投資の見直しとHV強化、開発部門の再編により立て直しを図っています。

日産との統合破談後、独力での再建を迫られるホンダの戦略転換が成功するかどうかは、自動車業界全体の今後を占う試金石となります。2026年から投入される新型EV「ゼロシリーズ」の市場での評価が、今後の方向性を大きく左右するでしょう。

参考資料:

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