純利益上振れ期待ランキング、ホンダ首位の理由とメガバンクの好調
はじめに
日経平均株価が最高値圏で推移する中、2026年3月期の企業業績に対する上振れ期待が高まっています。市場予想(QUICKコンセンサス)が会社予想を上回った額が最も大きかったのはホンダでした。アジアを中心に二輪事業が好調なことが背景にあります。
さらに、金利上昇で利ざやが改善するメガバンクも上位にランクインしています。上場企業全体の2026年3月期純利益は5年連続で過去最高を更新する見通しです。この記事では、上振れ期待の高い企業の背景と、投資家が注目すべきポイントを解説します。
ホンダが首位——二輪事業の圧倒的な強さ
二輪事業が過去最高を更新
ホンダが純利益上振れ期待の首位となった最大の理由は、二輪事業の好調です。2026年3月期の第3四半期累計(4〜12月)で、二輪事業は販売台数・営業利益・営業利益率のすべてで過去最高を記録しました。
特にインドとブラジルを中心とするアジア・南米市場での販売が堅調です。二輪事業の営業利益は前年同期比9%増の5465億円に達しています。新興国の経済成長に伴うモビリティ需要の拡大が、ホンダの二輪事業を力強く押し上げています。
四輪事業の赤字を二輪がカバー
一方、四輪事業は厳しい状況が続いています。半導体供給不足の影響で約1500億円の減益要因が織り込まれ、四輪事業の営業損益は通期で赤字になる見通しです。中国市場の低迷やEVシフトへの対応コストも重荷となっています。
会社全体の純利益予想は3000億円(前年比64.1%減)ですが、市場予想はこれを大幅に上回っています。二輪事業の上振れ余地が大きいと見られているためです。「四輪がなければ赤字」と評される厳しい構図ですが、裏を返せば二輪事業の収益力がいかに強いかを物語っています。
メガバンクが上位に——金利上昇の恩恵
3メガバンク合計で過去最高の4.2兆円
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループの3メガバンクは、2026年3月期の連結純利益合計が前期比8.0%増の4兆2400億円と過去最高を更新する見通しです。
個社では、MUFGが2兆1000億円、三井住友FGが1兆5000億円、みずほFGが1兆1300億円の純利益を見込んでいます。いずれも過去最高益の水準です。
利ざや改善が収益エンジンに
メガバンクの好業績を支えているのは、日銀のマイナス金利解除以降の金利上昇です。国内貸出金利回りは前年同期の0.83%から1.11%へと大幅に改善しました。膨大な預金基盤を持つメガバンクにとって、わずかな利ざやの改善でも収益へのインパクトは絶大です。
加えて、政策保有株の売却益も業績を押し上げています。企業統治改革の流れを受けて、銀行が保有する取引先株式の売却が進んでおり、これが一時的な利益として計上されています。
上場企業全体の業績動向
5年連続の最高益更新へ
上場企業全体の2026年3月期純利益は前期比1%増と、当初予想の2%減から上方修正される見通しです。これにより5年連続での過去最高益更新となります。
期初の保守的な予想から一転、上方修正が相次いでいる背景には複数の要因があります。AI投資需要の拡大、非中核事業売却による資本効率の改善、そして利益率の過去最高水準への改善などが企業業績を支えています。
上方修正候補は32社以上
アナリストの分析によると、上半期(4〜9月)の決算で上方修正を発表した企業の多くは、修正後のガイダンスすら保守的と見られています。実績ペースから判断して「再上方修正」の可能性がある候補として、32社以上が挙げられています。
注意点・展望
トランプ関税リスク
業績の上振れ期待が高まる一方で、最大のリスク要因はトランプ政権の関税政策です。メガバンク各社も見通しを保守的に据え置いている背景には、関税による景気停滞リスクがあります。自動車セクターも関税の直接的な影響を受ける業種であり、ホンダの四輪事業にとっては追加的なマイナス要因となる可能性があります。
為替変動のリスク
2026年初以降、円高方向への振れが見られる局面もあり、輸出企業にとっては為替が業績の下振れ要因になる可能性もあります。メガバンクについても、海外事業の円換算額が減少するリスクがあります。
金利上昇の持続性
日銀の追加利上げ観測が続く中、金利上昇がどこまで続くかも注目ポイントです。金利が上昇しすぎれば景気を冷やすリスクもあり、メガバンクの貸出需要に影響する可能性があります。
まとめ
2026年3月期の純利益上振れ期待でホンダが首位に立ったのは、アジア・南米での二輪事業の圧倒的な強さが背景です。四輪の苦戦を二輪がカバーする構図は、ホンダの事業ポートフォリオの底力を示しています。
メガバンクも金利上昇の恩恵で過去最高益を更新する見通しであり、日本の上場企業全体として5年連続最高益が射程に入っています。トランプ関税や為替変動といったリスク要因には注意が必要ですが、日本企業の収益力改善のトレンドは着実に進んでいると言えるでしょう。
参考資料:
関連記事
決算上振れ期待ランキング、ホンダ首位の理由を解説
2026年3月期の純利益上振れ期待が高い企業ランキングでホンダが首位に。アジアの二輪事業好調と金利上昇で恩恵を受けるメガバンクの強さ、日経平均最高値圏の背景にある企業業績を分析します。
銀行株の時価総額114兆円、13年ぶり高水準で自動車超え
2026年1月、銀行株の時価総額が全体の1割超に達し、自動車株や商社株を上回る。金利上昇による貸出利ざや改善と堅調な資金需要が背景。メガバンク株は10年来の高値を更新。
銀行の株売りが23年ぶり高水準、債券含み損の穴埋めか
銀行による日本株の売越額が23年4カ月ぶりの高水準を記録。金利急上昇で膨らんだ債券の含み損を株式の利益確定で埋め合わせる動きを解説します。
信用買い残5兆円突破、金利上昇が日本株需給に与える影響
日本株市場で信用買い残が20年ぶりの高水準に達しています。日銀の利上げによる金利負担増加が投資家心理に与える影響と、今後の需給バランスの変化について解説します。
3メガバンク純利益4兆円超え、利上げ効果で3年連続最高益
三菱UFJ、三井住友、みずほの3メガバンクグループの2025年4〜12月期決算が過去最高を更新しました。日銀の利上げによる利ざや改善が業績を押し上げています。
最新ニュース
中国全人代を前に習近平の軍粛清が止まらない理由
3月の全人代開催を控え、習近平政権による軍高官の粛清が加速しています。張又侠の失脚、100人超の将校排除の背景と、人民解放軍への深刻な影響を解説します。
「ECの死」到来か、AIショッピングエージェントの破壊力
「SaaSの死」に続き「ECの死」が叫ばれています。AIショッピングエージェントがECビジネスをどう変えるのか、AmazonとWalmartの異なる戦略から読み解きます。
ハイアット東京を1260億円で取得、REIT最大規模
ジャパン・ホテル・リートがハイアットリージェンシー東京を国内REIT史上最大の1260億円で取得。好調なインバウンド需要を背景に、ホテル投資市場が過去最高を更新する中での大型案件を解説します。
メキシコが週40時間労働へ憲法改正、残業超過で3倍賃金の衝撃
メキシコが週40時間労働への憲法改正を承認。残業超過で3倍賃金の義務化が日本企業の製造拠点に与える影響と対応策を、段階的スケジュールとともに解説します。
楽天グループが金融3社統合へ、10月めど再編の全容
楽天グループが楽天銀行・楽天カード・楽天証券の金融3社を2026年10月をめどに統合する再編計画を発表。金利上昇時代の競争激化を背景に、エコシステム強化とコスト削減を狙う大型再編の詳細と課題を解説します。