Tech Research Lab

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by nicoxz

日伊首脳会談でデブリ除去など宇宙協力へ合意

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はじめに

2026年1月16日、高市早苗首相とイタリアのメローニ首相が東京で首脳会談を行い、宇宙開発分野での技術協力に向けた新たな協議枠組み「宇宙協議」の設置で合意する見通しです。人工衛星や宇宙ごみ(スペースデブリ)の除去技術など、最新技術の共有を進めます。

今年は日伊外交関係樹立160周年にあたり、両国関係を新たな高みに引き上げる象徴的な合意となります。米中の宇宙開発競争が激化する中、米国主導の宇宙開発に参加する日伊が連携を深め、技術力で猛追する中国に対抗する狙いがあります。

日伊首脳会談の概要

メローニ首相の来日

イタリアのメローニ首相は2026年1月15日午後、政府専用機で羽田空港に到着しました。メローニ氏の来日は岸田政権時の2024年2月以来、3回目となります。高市首相との対面での二国間会談は今回が初めてです。

会談の主要議題

16日の首脳会談では、ウクライナや中東、東アジアを含む国際情勢について意見交換を行います。日英伊3か国で共同開発を進める次期戦闘機(GCAP)についても議題となる予定です。経済や安全保障など幅広い分野での協力を議論し、共同声明をまとめる見通しです。

両首脳の関係

高市首相とメローニ首相は2025年11月、南アフリカで開催されたG20サミットで初めて対面しました。G20では18人の首脳・代表と会話し、メローニ首相とは抱擁を交わすなど親密な関係を築いています。同じ女性首脳として、日本政府内では両国関係の深化への期待が高まっています。

宇宙協議の内容

新たな協議枠組み

日伊両政府は「宇宙協議」と呼ばれる新たな協議の枠組みを設置します。共同声明では「宇宙空間の平和的で、責任ある、持続可能な利用」を掲げる見込みです。

技術協力の分野

協力の対象となるのは、人工衛星技術や宇宙ごみ除去技術などです。両国が持つ最新技術を共有し、相互の宇宙開発能力の向上を図ります。

中国への対抗

宇宙開発分野では米中の競争が激しさを増しています。中国は独自の宇宙ステーション「天宮」を運用し、月探査でも着実に成果を上げています。米国主導の宇宙開発プロジェクトに参画する日伊が連携を強化することで、技術面で中国に対抗する体制を整える狙いがあります。

スペースデブリ問題の現状

増加する宇宙ごみ

スペースデブリは地球周回軌道上を秒速約8キロメートル(時速約28,000キロメートル)で飛行しています。JAXAによると、直径1.3センチメートルのアルミニウム球(重さ約3グラム)でも、この速度で衝突すると厚さ5センチメートルのアルミニウム板を貫通します。

衝突回避の実態

JAXAが運用する人工衛星は、一般的に年間約5回の衝突回避運用を行っています。国際宇宙ステーション(ISS)は1999年から2022年の23年間で30回の衝突回避マヌーバを実施しました。デブリの増加に伴い、この数は今後さらに増える見込みです。

日本のデブリ除去技術

JAXAのCRD2プログラム

JAXAは「商業デブリ除去実証(CRD2)」プログラムを推進しています。これは民間企業と協力して日本由来の大型デブリを除去する取り組みです。軌道上のデブリ除去技術は世界のどの国も確立しておらず、前例のない技術的挑戦となっています。

アストロスケールとの連携

2024年8月、JAXAはアストロスケール・ジャパンとCRD2フェーズIIの契約を締結しました。契約額は約132億円で、大型デブリの捕獲・除去を実証します。成功すれば、民間企業による世界初の大型デブリ除去となります。打ち上げは2026年度以降を予定しています。

技術的アプローチ

JAXAが想定するデブリ除去の流れは以下の通りです。まず非協力的な物体であるデブリに接近・ランデブーし、捕獲します。次に結合状態での姿勢制御を確立し、小型・高効率の推進システムで軌道高度を下げます。最終的にデブリを廃棄軌道に投入するか、地上への安全な再突入を行います。

国際的な取り組み

日本の国際ルール提案

日本政府は2026年3月までに、ロケット破片や機能停止した衛星などのデブリ除去に関する法的・手続き的枠組みを専門家とともに策定する予定です。この提案は2026年の国連宇宙空間平和利用委員会(COPUOS)での議論に向けて準備されています。

イタリアの宇宙投資

イタリアは2022年12月の欧州宇宙機関(ESA)閣僚級会合で31億ユーロの拠出を表明しました。2026年までに宇宙分野へ合計約73億ユーロの投資を予定しており、宇宙開発に積極的な姿勢を示しています。

欧州のデブリ除去計画

欧州ではClearSpace-1ミッションが2026年後半以降に打ち上げ予定です。ロボットアームでデブリを把持し、除去衛星とともに大気圏再突入させて焼却する計画です。

注意点・今後の展望

技術的課題

デブリ除去は世界のどの国も実用化に至っていない難易度の高い技術です。非協力的な物体への接近・捕獲には高度な軌道制御技術が必要であり、失敗すれば新たなデブリを生む危険性もあります。

国際協力の重要性

デブリ問題は一国だけで解決できる課題ではありません。JAXAは世界中の宇宙機関と協力し、デブリ低減に関する国際標準や政策への効果的な提案を行っています。日本と国連はデブリに関する共同声明に署名し、国際社会との研究共有を進めています。

宇宙ビジネスへの影響

デブリ除去技術は今後の宇宙ビジネスの基盤となります。軌道環境の維持なくして、衛星通信や測位サービス、宇宙ステーション運用は持続できません。日伊の技術協力は、両国企業の競争力強化にもつながる可能性があります。

まとめ

日本とイタリアの宇宙協力合意は、デブリ除去を含む宇宙開発の新たな局面を象徴しています。外交関係樹立160周年を迎える両国が、宇宙という最先端分野で連携を深めることは、両国関係の発展にとって重要な一歩です。

米中の宇宙開発競争が激化する中、同志国間の技術協力は戦略的意義を持ちます。日本はデブリ除去技術で世界をリードする立場にあり、イタリアの宇宙投資拡大と組み合わせることで、相乗効果が期待できます。高市・メローニ両首相の合意が、宇宙の持続可能な利用に向けた国際協力の加速につながることが期待されます。

参考資料:

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