柏崎刈羽原発が再稼働、東電原発で福島事故後初の稼働
はじめに
2026年1月21日、東京電力ホールディングスは新潟県にある柏崎刈羽原子力発電所6号機を再稼働させました。2011年に発生した福島第一原発事故以来、東京電力の原発が稼働するのは実に約14年ぶりのことです。
柏崎刈羽原発は総出力821万キロワットを誇る世界最大級の原子力発電所であり、その再稼働は首都圏の電力供給や東電の経営再建に大きな影響を与えます。一方で、安全性や避難計画に対する懸念の声も根強く残っています。
本記事では、再稼働の経緯から今後の見通しまで詳しく解説します。
再稼働の経緯
地元同意への道のり
柏崎刈羽原発6号機と7号機は、2017年に原子力規制委員会の新規制基準に基づく安全審査に合格しました。しかし、その後も運転員のIDカード不正使用など核セキュリティ上の問題が相次いで発覚し、2021年には原子力規制委員会から事実上の運転禁止命令が出されました。
この命令は2023年12月に解除されましたが、地元の同意を得るには長い時間を要しました。
新潟県知事の決断
2025年11月21日、新潟県の花角英世知事は臨時記者会見を開き、柏崎刈羽原発の再稼働を容認する意向を表明しました。花角知事は、県技術委員会が2025年2月に公表した報告書で安全性が「確認された」と結論づけたことを根拠に挙げました。
12月22日には新潟県議会が花角知事を信任する決議案を可決。翌23日、花角知事が赤澤経済産業大臣に再稼働の地元同意を正式に伝達し、再稼働に向けた手続きは最終段階に入りました。
1日遅れの再稼働
東京電力は当初、2026年1月20日の再稼働を予定していました。しかし、1月17日に原子炉から制御棒を引き抜く試験を行った際、本来鳴るべき警報が鳴らない不具合が発生。安全確認のため、再稼働は1日延期されました。
21日午後7時2分、東電は制御棒を引き抜いて原子炉を起動。午後8時28分には核分裂反応が連続して発生する「臨界」状態に達したことが確認されました。
柏崎刈羽原発とは
世界最大級の原子力発電所
柏崎刈羽原子力発電所は、新潟県柏崎市および刈羽郡刈羽村にまたがる東京電力の原子力発電所です。1号機から7号機までの7基の原子炉を有し、合計出力は821万2千キロワットで、1サイトとしては世界最大の原子力発電所となっています。
今回再稼働した6号機は出力約136万キロワットの改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)で、1996年に営業運転を開始しました。
首都圏への電力供給
発電された電気は、100万ボルト送電が可能な新新潟幹線および南新潟幹線の2系統により、一旦群馬県の西群馬開閉所に収容され、そこから首都圏に送電されます。
東日本大震災後、再稼働した原発は14基に上りますが、そのほとんどが西日本に集中しており、東日本では東北電力女川2号機のみでした。柏崎刈羽6号機の稼働は、首都圏の電力需給安定に大きく寄与することが期待されています。
東電の経営再建への影響
収支改善効果
東電にとって、柏崎刈羽原発の再稼働は経営再建の鍵を握っています。原発1基の運転で年間約1,000億円の収支改善効果があるとされています。
東電は福島第一原発の廃炉と事故後の賠償で年間5,000億円を拠出し続ける必要があり、この負担は今後も長期間続きます。経営再建との両立には、再稼働による収支改善が欠かせません。
長期的な経営目標
東電は柏崎刈羽の再稼働を視野に入れ、2020年代に経常利益で3,000億円を稼ぎ、2030年度以降に純利益で4,500億円を目指す方針を掲げています。
ただし、読売新聞は「東電綱渡りの経営 再稼働でも改善厳しく」と報じており、福島第一原発事故の賠償や廃炉費用が巨額なため、再建への道のりは依然として厳しいとの見方も示されています。
今後のスケジュール
営業運転への道のり
再稼働後、約14年ぶりの運転となるため、東電はプラント設備の健全性確認を慎重に進めています。作業が順調に進めば、2026年2月26日に営業運転に移行する予定です。
起動から営業運転開始までの間に、発電機と送電系統を接続する「並列」、出力を徐々に上げていく「出力上昇試験」などの工程が予定されています。
7号機の再稼働見通し
6号機に続いて、7号機の再稼働も視野に入っています。7号機も新規制基準の審査に合格しており、技術的には再稼働可能な状態です。ただし、具体的なスケジュールはまだ公表されていません。
注意点・展望
安全性への懸念
柏崎刈羽原発は新規制基準に適合していますが、柏崎市も認めているように「たとえ世界一厳しい基準に則した安全対策を行ったとしても、原子力発電所における事故発生の可能性をゼロにすることはできない」のが現実です。
東電には過去の不祥事を踏まえ、安全文化の徹底が求められています。
避難計画の課題
原発事故に備えた避難計画については、依然として課題が残されています。新潟県は2026年度に、原発から30キロ圏内にある屋内退避施設約24カ所の設計を進める方向で調整しています。
住民からは「道路が混雑渋滞することは必至」「社会的弱者の具体的避難方法が未だ決まっていない」といった懸念の声も上がっています。
地元へのメリット
朝日新聞は「電力は首都圏に送られ、新潟県民にはメリットがないとの見方も根強い」と報じています。一方で、政府は原発周辺自治体への財政支援を半径10キロ圏内から30キロ圏内に広げる方針を示し、避難道の整備費用を全額負担することも明言しています。
まとめ
柏崎刈羽原発6号機の再稼働は、福島第一原発事故から約14年を経て実現しました。東京電力にとっては経営再建の重要な一歩であり、首都圏の電力供給安定にも寄与することが期待されています。
一方で、安全性や避難計画に対する懸念は完全には解消されておらず、東電には万全の安全管理が求められます。2月26日の営業運転開始に向けて、今後も慎重な作業が続きます。
原発再稼働を巡る議論は今後も続くと予想されますが、福島の教訓を忘れることなく、安全を最優先にした運転が行われることが何より重要です。
参考資料:
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