衆院選公示:高市政権「積極財政」が審判へ
はじめに
2026年1月27日、第51回衆議院議員総選挙が公示されました。小選挙区289、比例代表176の計465議席を争い、1285人が立候補。2月8日の投開票に向けた12日間の選挙戦がスタートしています。
今回の選挙は、2025年10月に発足した高市早苗政権にとって初の国政選挙となります。「責任ある積極財政」を掲げる高市政権への信任、そして自民党と日本維新の会による新たな連立政権の評価が問われます。
本記事では、選挙の背景、高市政権の政策、各党の主張、そして有権者が注目すべきポイントを解説します。
「未来投資解散」の背景
冒頭解散という決断
高市首相は1月23日、通常国会の開会直後に衆議院を解散しました。いわゆる「冒頭解散」で、現行憲法下では1966年の「黒い霧解散」や1986年の「死んだふり解散」に続くものです。
首相は1月19日の記者会見で「抜本的な政策転換の是非について堂々と審判を仰ぐ」と述べ、解散を「未来投資解散」と名付けました。危機管理や成長投資を進めていく路線について、国民の信を問う姿勢を示しています。
進退をかけた勝負
高市首相は勝敗ラインを「自民党と維新で過半数」と設定。下回った場合は「即刻退陣する」と明言しています。首相としての進退をかけた選挙となります。
1月に解散し2月に投開票が行われるのは、現行憲法下で3回目という異例のスケジュールです。各党は準備期間が短い中での選挙戦を強いられています。
高市政権の政策路線
「責任ある積極財政」とは
高市首相が掲げる「責任ある積極財政」は、これまでの財政政策からの大きな転換を意味します。
具体的には、様々なリスクを最小化する「危機管理投資」と、先端技術を開花させる「成長投資」を柱としています。これらの投資により雇用と所得を増やし、税率を上げずとも税収が増加する「強い経済」の実現を目指すという考え方です。
財政規律とのバランス
「積極財政」という言葉に対しては、財政規律が緩むことへの懸念も存在します。高市首相は2026年度当初予算について、プライマリーバランス(基礎的財政収支)を28年ぶりに黒字化したことや、新規国債発行額をリーマンショック後2番目に低い水準である29.6兆円に抑えたことを強調しています。
ただし、市場は懐疑的な見方も示しており、政権成立後は長期金利の上昇や円安の進行が見られました。
消費税減税の方針
高市首相は「物価高に苦しむ中所得・低所得の皆さまの負担を減らす」として、軽減税率が適用されている飲食料品について、2年間に限り消費税の対象としない方針を表明しています。
この方針は連立パートナーの維新との政策協議で合意されたもので、「国民会議」で財源やスケジュールを検討するとされています。
自維連立の経緯と評価
自公連立の終焉
2025年10月、26年間続いた自民党と公明党の連立政権が解消されました。公明党は企業・団体献金の規制強化で自民党と折り合えず、連立を離脱する決断を下しました。
維新との新たな連立
自民党は政策面で親和性のある日本維新の会と新たな連立を組みました。2025年10月20日、高市総裁と維新の吉村洋文代表、藤田文武共同代表が連立政権の合意書に署名しています。
合意では、憲法改正や安全保障改革、統治機構改革など中長期にわたる構造改革の推進が盛り込まれました。また、飲食料品の消費税2年間0%、高校無償化、議員定数1割削減なども合意事項に含まれています。
「閣外協力」という形態
維新は閣僚や副大臣、政務官を出さない「閣外協力」を選択しました。連立政権の一翼として政策実現に関与しつつも、内閣に議員を送り込まないため責任は限定的です。この形態は「半身の連立」とも評されています。
各党の主張と争点
消費税をめぐる争い
今回の選挙で最大の争点となっているのが消費税の扱いです。各党の立場は以下の通りです。
- 自民党・維新:食料品について2年間0%
- 中道改革連合:食料品について恒久的に0%
- 国民民主党:一時的に一律5%
- 共産党:一律5%、その後廃止
- れいわ新選組:速やかに廃止
- 参政党:段階的に廃止
公示前の党首討論会では多くの党が消費税の減税や廃止を訴えましたが、財源をどう確保するかも重要な論点となっています。
安全保障政策
外交・安全保障も重要な争点です。高市政権は台湾有事への対応について踏み込んだ発言をしており、中国との関係が緊張しています。
自維連立の合意では、国家情報局の創設(2026年通常国会)や対外情報庁の創設(2027年度末まで)が盛り込まれており、安全保障体制の強化が進む見通しです。
政治改革
「政治とカネ」の問題も引き続き焦点となっています。企業・団体献金については、献金元と受け手双方のあり方を議論する協議体を設置し、高市総裁の任期中に結論を得ることで合意しています。
中道改革連合の挑戦
立憲と公明の合流
公明党の連立離脱後、立憲民主党と公明党は新党「中道改革連合」を結成しました。2026年1月22日の結党大会で、野田佳彦・斉藤鉄夫両共同代表が就任しています。
所属国会議員は165人で、衆院で議席数最多の「比較第1党」を目指しています。
「生活者ファースト」を掲げて
中道改革連合は「対立を煽り、分断を深める政治ではなく、中道政治の力が求められている」と綱領で訴えています。生命・生活・生存を最大に尊重する人間主義を理念に掲げ、高市政権との対立軸を明確にしています。
注意点と選挙の見どころ
投票率の行方
衆院選の投票率は近年低下傾向にあります。投票率が上がれば無党派層の動向が結果を大きく左右する可能性があり、各党は投票率向上にも注力しています。
世論調査の見方
現時点の世論調査では、高市内閣の支持率は70%台を維持しています。比例投票先では自民党が21%でトップ、中道改革連合が8%と続いています。ただし、選挙戦中に情勢が変化する可能性は十分にあります。
選挙後の政局
どの結果になっても、選挙後の政局は流動的になる可能性があります。自維が過半数を維持しても議席減となれば、維新の発言力が増すことが予想されます。一方、過半数割れとなれば政権交代か、新たな連立の組み換えが必要になります。
まとめ
第51回衆院選は、高市早苗政権の「責任ある積極財政」路線と自維連立への信任を問う選挙です。消費税減税、安全保障、政治改革など、日本の将来を左右する重要な争点が並んでいます。
1285人の候補者が465議席を争う中、有権者一人ひとりの選択が政治の行方を決めます。2月8日の投開票に向けて、各党の主張をしっかりと見極めることが重要です。
参考資料:
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