高市首相、23日解散を正式表明へ 2月8日投開票の見通し
はじめに
高市早苗首相は2026年1月19日午後6時、首相官邸で記者会見を開き、23日に召集する通常国会の冒頭で衆議院を解散すると正式に表明します。衆院選は27日公示、2月8日投開票の日程で実施される見通しです。
解散から投開票までの期間は16日と、戦後最短の短期決戦となります。通常国会での冒頭解散は60年ぶりで、1月召集となった1992年以降では初めてという異例の展開です。
本記事では、高市首相が解散を決断した背景、選挙の争点、各党の動向、そして批判の声について解説します。
解散決断の背景
高い内閣支持率
高市首相が解散を決断した最大の理由は、内閣支持率の高さです。報道各社の世論調査では、内閣支持率は60%台半ばから70%台半ばと軒並み高水準を記録しています。JNNが2025年11月に実施した調査では82.0%に達し、2026年1月第1週の調査でも77.7%を維持しています。
この高支持率を背景に、衆院選で議席増が期待できるという判断が解散決断を後押ししました。「週刊文春」の選挙予測では、解散に踏み切れば自民党の圧勝で、単独過半数(233議席)を上回る試算となっています。
自維連立政権の信を問う
高市首相は解散の理由として、日本維新の会との連立政権合意書に盛り込んだ政策など、前回衆院選で自民党が公約していなかった「国の根幹に関わる重要政策の大転換」を挙げました。
2025年10月21日に発足した高市内閣は、長年連立パートナーであった公明党に代わり、維新と閣外協力する形を取っています。公明党との連立解消は「政治とカネ」の問題を巡る意見の食い違いが原因でした。新たな連立の枠組みについて、国民の審判を仰ぐ必要があるというのが首相の説明です。
進退をかける覚悟
高市首相は記者会見で、衆院解散・総選挙を巡り自身の進退を懸けると言及しました。与党は現在、定数465の衆院で過半数ぎりぎりの233議席を確保しています。首相は「強い経済」「責任ある積極財政」を訴え、与党過半数の維持に全力を挙げる構えです。
選挙の主要争点
積極財政の是非
高市政権の看板政策は「責任ある積極財政」です。戦略的な財政出動により、強い経済の構築を目指すとしています。具体的には以下の政策が打ち出されています。
- ガソリン税と軽油引取税の旧暫定税率の廃止(ガソリンは2025年12月31日、軽油は2026年4月1日から)
- 診療報酬・介護報酬の引き上げ
- 中小企業・小規模事業者、農林水産業の支援
- 食品消費税の2年間ゼロ化を「検討加速」
一方、積極財政への懸念もあります。高市政権成立後、「積極財政」を名目に財政規律が緩むことへの懸念から、長期金利が上昇し、円安も進行しています。経済への悪影響を指摘する声もあり、積極財政の是非は選挙の重要争点となります。
年収の壁問題
高市首相は国民民主党の玉木雄一郎代表と会談し、所得税の課税が始まる「年収の壁」を103万円から178万円に引き上げることで合意しました。パート労働者などの働き控えを解消し、労働力不足の解消と家計所得の向上を図る狙いがあります。
衆院定数削減
自民党と日本維新の会が共同提出した衆院議員定数削減法案は、時事世論調査で賛成56.1%、反対15.7%と支持を集めています。しかし、野党の反対で審議入りさえできず、解散により廃案となる見通しです。
維新との連立維持において、この定数削減は重要な約束事項でした。法案が通らなかったことで両党間はギクシャクしており、選挙後の連立関係にも影響を及ぼす可能性があります。
各党の動向
自民党・維新
自民党と維新は連立与党として選挙に臨みます。維新の吉村洋文代表は「維新と自民党の連立合意の内容は国民の信をまだ得ていない」と述べ、「首相が解散の判断をするのであれば正面から国民に問いたい」と意気込みを語っています。
しかし、維新は財政健全化を重視する立場であり、高市首相の積極財政路線との間には温度差があります。選挙後に政策のすり合わせが課題となる可能性があります。
中道改革連合(立憲民主党・公明党)
立憲民主党と公明党が結成した新党「中道改革連合」は、高市政権への対抗軸として選挙に臨みます。1月19日に発表した綱領では、「生活者ファースト」を掲げ、5つの政策の柱を打ち出しました。
注目されるのは、立憲民主党が従来の安保法制への姿勢を転換し、「合憲」と認めた点です。現実的な外交・安全保障政策を志向する姿勢は、高市政権との差別化を図りつつも、穏健な有権者層へのアピールを狙ったものといえます。
選挙協力では、公明党が小選挙区から撤退し、立民候補を支援することで、接戦区での逆転を目指しています。時事通信の試算では、公明支持層の票が動けば35選挙区で当落が入れ替わる可能性があります。
国民民主党
国民民主党は新党「中道改革連合」に参加せず、独自路線を歩んでいます。玉木代表は「主義、主張の違う政党が選挙のときだけ名簿を1つにするのは国民にわかりやすいのか」と疑問を呈しています。
年収の壁問題での与党との協力により、野党内での独自のポジションを確立しつつあります。
批判と懸念
政治空白への批判
冒頭解散に対しては、政治空白を招くとの批判があります。通常国会で衆議院を解散した場合、2026年度予算の成立が4月以降にずれ込む恐れがあります。
高市政権が最優先課題とする「物価高・低所得世帯支援」の執行が遅れる懸念もあり、自民党内からも慎重論が根強く残っていました。政府関係者によれば、予算不成立による行政機能の停滞を防ぐため、数ヶ月分の必要経費のみを盛り込んだ「暫定予算」の編成検討が始まっています。
解散の「大義」を問う声
政治空白を伴う衆院選の実施には批判もあり、解散の「大義」は何かについて説明を求める声があります。高市首相は記者会見で、自維連立政権の政策について国民の審判を仰ぐ必要性を強調する見通しですが、「選挙のための選挙」との批判を払拭できるかが注目されます。
任期3分の1未満での解散
現在の衆院議員は任期の3分の1にも満たない状況にあります。「7条解散」のケースでは、前回衆院選から戦後最短での解散となり、異例の事態といえます。
今後の見通し
選挙戦の行方
選挙予測では、高い支持率を背景に自民党の優勢が伝えられています。しかし、わずか16日間という短期決戦では、情勢が急変する可能性も否定できません。
中道改革連合の選挙協力がどこまで効果を発揮するか、国民民主党がどのような存在感を示すかも注目点です。
選挙後の政権運営
選挙結果次第では、連立の枠組みが変わる可能性もあります。自民党が単独過半数を獲得すれば、維新との関係における高市首相の交渉力は高まります。一方、過半数割れとなれば、国民民主党など他党との連携模索が必要になるかもしれません。
まとめ
高市首相は1月19日、23日の通常国会冒頭での衆院解散を正式表明します。2月8日投開票という戦後最短の短期決戦で、自維連立と積極財政の是非が問われることになります。
高い内閣支持率を背景にした解散ですが、政治空白や予算成立の遅れへの批判もあります。高市首相がどのように解散の「大義」を説明し、有権者の理解を得られるかが焦点となります。
各有権者は、積極財政、社会保障、外交・安全保障など、各党の政策を比較検討し、投票に臨むことが重要です。2月8日の選挙結果が、日本の政治の行方を大きく左右することになります。
参考資料:
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