衆院解散、高市政権の信任問う短期決戦:2月8日投開票の注目点
はじめに
2026年1月23日、衆議院が本会議で解散され、「27日公示・2月8日投開票」の衆院選に向けて事実上の選挙戦に突入しました。高市早苗政権発足から3カ月あまりでの解散・総選挙です。
解散から投開票までは戦後最短の16日間。通常国会冒頭の解散は1966年以来60年ぶり、2月の投開票は1990年以来という異例ずくめの選挙となります。
与野党は289の小選挙区と176の比例代表の計465議席を争います。首相は勝敗ラインを「与党で過半数(233議席)」に設定し、「進退を懸ける」と断言しました。
この記事では、高市政権が短期決戦に踏み切った背景と、選挙の主要争点を解説します。
高市政権の解散判断
高い内閣支持率が背景
高市首相が早期の衆院解散・総選挙に踏み切った最大の背景は、高い内閣支持率です。
日本経済新聞社の世論調査によると、高市内閣の支持率は2025年12月に75%を記録しました。10月の内閣発足から一貫して70%台を維持しており、異例の高水準です。
NHKの調査(2026年1月10〜12日)でも「支持する」が62%、「支持しない」が21%と、安定した支持を得ています。
解散理由:「抜本的な政策転換の審判を」
高市首相は1月19日の記者会見で、解散を決断した理由を説明しました。
「危機管理や成長を後押しする積極投資などを進めていく」とした上で、「抜本的な政策転換の是非について堂々と審判を仰ぐ」と強調しました。また、維新との新たな連立に対しても信を得たいとの考えを示しました。
首相は「進退を懸ける」と断言しており、選挙結果によっては政権の存続にも影響が及ぶ覚悟での決断です。
早期解散の狙い
高市政権が早期解散を選んだ狙いとして、以下の点が指摘されています。
- 高支持率のうちに選挙を実施: 支持率は時間とともに下がる傾向があり、高いうちに信任を得る
- 野党の準備が整う前に: 立憲・公明の新党「中道改革連合」が結成直後で態勢が不十分
- 政権基盤の強化: 選挙で勝利すれば、政権運営がより安定する
選挙の構図
与党:自民党・維新連立
今回の選挙は、自民党と日本維新の会の与党連立として初めて臨む総選挙です。2025年10月の高市政権発足に際し、自民党は連立相手を公明党から維新に組み替えました。
現在、与党は衆院で233議席(過半数ギリギリ)を確保しています。自民会派が199人、維新が34人という内訳です。
野党:中道改革連合の挑戦
一方の野党は、解散直前に立憲民主党と公明党が合流して「中道改革連合」を結成しました。
中道の野田佳彦共同代表は「『生活者ファースト』、平和主義を訴え、賛同してもらえるよう全国を走りたい」と意気込みを語っています。政権批判票の受け皿を目指す構えです。
勝敗ライン
首相が設定した勝敗ラインは「与党で過半数(233議席)」です。
- 与党が過半数維持: 高市政権は継続し、政策を推進
- 与党が過半数割れ: 政権運営が困難に。首相は進退問題に
- 中道が躍進: 政権交代の可能性も
主要な争点
物価高対策と減税
与野党ともに物価高対策を前面に打ち出しています。
自民党・維新(与党):
- 食料品の消費税率ゼロを検討
- 所得税減税と給付の組み合わせ
中道改革連合(野党):
- 食料品の消費税率ゼロ
- 給付付き税額控除
- 社会保険料の負担軽減
興味深いのは、与野党の政策が「似通っている」点です。これは有権者にとって選択の判断材料がわかりにくい状況を生んでいます。
政治とカネ
野党は「政治とカネ」の問題を争点化しています。
- 自民党派閥の裏金事件に関わった候補者の公認問題
- 企業・団体献金の規制強化
公明党が連立を離脱した背景にも、企業・団体献金の規制強化で折り合えなかったことがありました。
外国人政策
外交政策、特に外国人政策も主要な争点となっています。高市政権の保守寄りの政策の是非が問われます。
社会保障改革
中長期的な課題として社会保障改革がありますが、与野党ともに負担軽減を前面に出しており、「痛みを伴う改革」の議論は影をひそめています。選挙後に本格的な議論が始まるかどうかが注目されます。
戦後最短の選挙戦
16日間の攻防
解散から投開票までの16日間は戦後最短です。短期決戦となるため、以下の特徴があります。
- 候補者: 準備期間が限られ、既存の知名度が重要に
- 有権者: 政策を吟味する時間が短い
- 選挙運動: 集中的な街頭活動とメディア露出が鍵
受験シーズンとの重複
2月8日の投開票日は受験シーズンと重なります。東京新聞などでは「受験シーズンど真ん中に選挙カーは街を走り回る」と懸念の声も報じられています。
期日前投票の活用も呼びかけられています。
公明党票の行方
自民党への影響
今回の選挙で注目されるのは、これまで自民党を支えてきた公明党票の行方です。
公明党の組織票は1選挙区あたり約2万票とされており、連立解消により自民党はこの票を失うことになります。試算では、自民党は小選挙区の現職のうち約2割が苦戦する可能性があります。
中道での活用
公明党は中道改革連合に参加し、4つの小選挙区から撤退して比例代表に専念します。組織票を比例で集約し、党勢拡大を狙う戦略です。
注意点と今後の展望
政策論争の深まりに期待
短期決戦では、じっくりとした政策論争が難しくなります。与野党が似通った減税公約を掲げる中、有権者には政策の違いを見極める努力が求められます。
特に社会保障改革など中長期的な課題については、選挙戦で深い議論が行われるかどうかが注目されます。
投票率への影響
短期間の選挙戦と受験シーズンの重複は、投票率に影響を与える可能性があります。期日前投票の活用や、有権者一人ひとりの関心が重要になります。
選挙後のシナリオ
選挙結果によって、日本政治の方向性は大きく変わります。
シナリオ1: 与党過半数維持
- 高市政権は継続、政策を推進
- 積極財政路線が加速
シナリオ2: 与党過半数割れ
- 首相の進退問題が浮上
- 他党との連携模索も
シナリオ3: 中道が躍進
- 政権交代の可能性
- 政策路線の大転換
まとめ
2026年1月23日の衆院解散により、高市政権は発足3カ月で国民の審判を仰ぐことになりました。
選挙の主なポイントは以下の通りです。
- 日程: 27日公示、2月8日投開票(戦後最短16日間)
- 勝敗ライン: 与党で過半数(233議席)
- 首相の覚悟: 「進退を懸ける」と断言
- 主要争点: 物価高対策、減税、政治とカネ、外国人政策
高い内閣支持率を背景にした早期解散ですが、選挙は水物です。短期決戦の結果が、日本政治の今後を左右することになります。
有権者にとっては、限られた時間の中で各党の政策を比較し、判断を下すことが求められます。
参考資料:
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