トヨタが国内EV販売で初の首位——日産15年の牙城崩れる
はじめに
日本の国内EV(電気自動車)市場に、歴史的な転換点が訪れました。2025年10〜12月の四半期で、トヨタ自動車が国内EV販売首位を獲得したのです。これはトヨタにとって四半期ベースで初めての快挙となります。
約15年間にわたりトップの座を守ってきた日産自動車は2位に転落しました。日産といえば「リーフ」で世界のEV市場を切り拓いたパイオニア。その牙城が崩れたことは、国内EV市場の構図が大きく変わりつつあることを示しています。
トヨタ躍進の原動力は、10月に一部改良したSUV(多目的スポーツ車)「bZ4X」です。一方、日産は「サクラ」「リーフ」「アリア」のいずれも販売が低迷。両社の明暗がくっきりと分かれる結果となりました。
トヨタ、bZ4Xで首位奪還
2025年11月に過去最多を更新
2025年11月のトヨタのEV販売台数は3,238台に達しました。これは前年同月の1,743台から85.77%の大幅増加で、トヨタとして過去最多の月間販売台数を更新しました。
特に好調だったのが「bZ4X」です。同月だけで1,580台を販売し、車種別ランキングでも上位に食い込みました。2024年4月以来19カ月ぶりのトップ奪還となります。
bZ4X一部改良の効果
トヨタは2025年10月にbZ4Xを一部改良し、航続距離の延長や装備の充実を図りました。価格競争力も改善され、これが販売増に直結しました。
bZ4Xは2022年の発売当初、リコール問題などもあり苦戦していました。しかし、改良を重ねることで商品力が向上し、ようやくトヨタのEV戦略が軌道に乗り始めた格好です。
トヨタのEV戦略
「EVには慎重」とされてきたトヨタですが、実際にはハイブリッド、プラグインハイブリッド、燃料電池車、EVという「全方位戦略」を掲げています。EV専用プラットフォーム「e-TNGA」の開発も進めており、今後もラインナップを拡充する方針です。
2025年後半にはbZ4Xに加え、コンパクトSUVタイプのEVも投入予定とされています。
日産、長期低迷の兆候
販売台数が大幅減少
一方、日産の2025年11月のEV販売台数は730台にとどまりました。前年同月の2,498台から70.78%もの減少で、2021年6月以来の低水準です。
車種別に見ると、軽EV「サクラ」は前年の1,731台から594台に減少。登録車の「リーフ」と「アリア」の合計も767台から136台に落ち込みました。
サクラの失速
「サクラ」は2022年の発売以来、日本のEV市場を牽引してきた存在です。軽自動車という手頃なサイズと価格で、初めてのEVとして多くのユーザーに選ばれてきました。
しかし、発売から3年が経過し、新鮮味が薄れています。競合車種も増える中、販売減少に歯止めがかかっていません。
リーフ・アリアも苦戦
日産EVの象徴である「リーフ」は、モデル末期に入っており、販売は低迷しています。上位モデルの「アリア」も期待ほどの販売を記録できていません。
日産はホンダとの経営統合に向けた協議を進めていますが、EV戦略の立て直しも喫緊の課題となっています。
国内EV市場の現状
シェアは依然として低水準
日本の新車販売に占めるEVのシェアは、2025年11月時点で2.9%にとどまっています。欧州や中国と比較すると大幅に低い水準です。
ハイブリッド車が普及している日本では、「すでにエコカーに乗っている」という意識から、EVへの乗り換え意欲が低いという特徴があります。充電インフラの不足も普及の障壁となっています。
輸入車が市場を牽引
日本のEV市場では、テスラやBMW、メルセデス・ベンツなど輸入車のプレゼンスが高まっています。登録車(軽自動車を除く)のEV販売では、輸入車比率が約9割に達する月もありました。
国産メーカーの車種が限られる中、選択肢の多さで輸入車が支持を集めています。
2026年の展望
BYD参入で競争激化
2026年は中国のBYD(比亜迪)が安価なEVを日本市場に投入する見込みです。すでにBYDは日本進出を果たしていますが、さらにラインナップを拡充し、価格競争力のあるモデルを投入する方針です。
2024年の国内EV販売では、BYDがトヨタを上回る実績を挙げており、その勢いは無視できません。
国産メーカーの対応
トヨタ、日産、ホンダなど国産メーカーも、2026年以降に新型EVの投入を予定しています。しかし、価格面で中国メーカーに対抗するのは容易ではありません。
ブランド力やアフターサービス、安全性といった付加価値で差別化を図る戦略が求められます。
充電インフラの整備
EV普及のカギを握るのが充電インフラです。政府は2030年までに公共充電器を30万基に増やす目標を掲げていますが、現時点では目標との乖離があります。
充電待ちの解消や急速充電器の増設が進まなければ、EV購入をためらうユーザーは多いままでしょう。
注意点
四半期の数字は変動しやすい
今回のトヨタ首位は四半期ベースの話であり、通年で見ると日産が依然として優位な可能性もあります。新型車の発売タイミングやキャンペーンによって、四半期ごとの数字は大きく変動します。
軽EVと登録EVの違い
日本のEV市場は、軽EV(サクラなど)と登録EV(bZ4X、リーフなど)で傾向が異なります。軽EVは地方での利用が多く、登録EVは都市部でのセカンドカー需要が中心です。
市場を分析する際は、この違いを踏まえて見る必要があります。
まとめ
2025年10〜12月の国内EV販売で、トヨタが四半期ベース初の首位を獲得しました。新型bZ4Xが牽引し、約15年間トップだった日産を逆転しました。
日産は主力のサクラ、リーフ、アリアのいずれも販売が低迷し、2021年以来の低水準に沈んでいます。ホンダとの経営統合協議を進める中、EV戦略の立て直しが急務です。
2026年はBYDの本格参入で競争が激化する見込みです。日本のEV市場はシェア3%程度と低水準ですが、各社の攻勢によって活性化が期待されます。
参考資料:
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