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by nicoxz

トランプ関税に違憲判決、還付金1750億ドルの行方

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はじめに

2026年2月20日、米連邦最高裁判所はトランプ大統領が国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づいて課した関税について、6対3で違憲との判決を下しました。この判決は「Learning Resources, Inc. v. Trump」事件として知られ、トランプ政権の通商政策の根幹を揺るがす歴史的な判断です。

判決を受け、米商工会議所をはじめとする経済団体は迅速な関税還付を求める声明を発表しました。一方、日本企業の米国子会社を含む1,000件以上の訴訟が既に提起されており、還付金の総額は最大1,750億ドル(約26兆円)に達する可能性があります。本記事では、判決の内容と今後の影響を詳しく解説します。

最高裁判決の核心:IEEPA関税はなぜ違憲か

ロバーツ長官の多数意見

ジョン・ロバーツ最高裁長官が執筆した多数意見は、IEEPAが大統領に関税を課す権限を与えていないと明確に判断しました。ロバーツ長官は「IEEPAは大統領に関税を課す権限を付与していない」と述べ、議会が関税権限を大統領に委譲する際には、他の関税法で行ってきたように明示的に規定するはずだと指摘しました。

さらに注目すべきは、ロバーツ長官がIEEPAの「規制する」という文言に関税を含める解釈をした場合、IEEPA自体が部分的に違憲になると論じた点です。IEEPAは輸出入の「規制」権限を大統領に与えていますが、合衆国憲法は輸出への課税を明確に禁じています。つまり、「規制」に課税を含めると、輸出への課税も許容されることになり、憲法に抵触するという論理です。

判決の適用範囲

この判決が無効とした関税には大きく2つのカテゴリーがあります。1つは国別の「相互関税」で、中国に対する34%から他国に対する10%のベースラインまで幅広い税率が設定されていました。もう1つは、カナダ、中国、メキシコからの一部商品に課されていた25%の関税で、これらの国がフェンタニルの流入を抑制できていないことを理由に課されたものです。

一方、IEEPAに基づかない既存の関税、例えば通商法301条に基づく対中関税などは引き続き有効です。

関税還付を巡る混乱と法廷闘争

1,750億ドルの還付問題

判決の最大の焦点は、企業が既に支払った関税の還付です。最高裁は判決の中で還付の可否について直接言及しませんでした。この「空白」が今後の混乱の種となっています。

反対意見を書いたカバノー判事は、判決の即時的な影響が「重大」になる可能性を指摘しました。政府は「IEEPA関税を支払った輸入業者に数十億ドルを還付する義務が生じる可能性がある。たとえ一部の輸入業者が既にコストを消費者に転嫁していたとしても」と述べています。

CNBCの報道によると、還付金の総額は最大1,750億ドルに達する可能性があります。この巨額の還付が実現すれば、連邦政府の財政に大きな影響を与えることは避けられません。

日本企業も訴訟に参加

判決に先立ち、トヨタ通商やリコー、住友化学など少なくとも9社の日本企業の米国子会社が、ニューヨークの米国際貿易裁判所(CIT)に訴訟を提起していました。これらの企業は、IEEPA関税として支払った追加関税の全額還付を求めています。

日本企業だけでなく、米国内では1,000件を超える還付訴訟が既に提起されています。専門家は、還付プロセスが完了するまでに数年を要する可能性があると警告しています。

米商工会議所の立場

米商工会議所のニール・ブラッドリー最高政策責任者は、判決を歓迎する声明を発表しました。ブラッドリー氏は「過去1年間、商工会議所はIEEPA関税により大幅なコスト増加やサプライチェーンの混乱に見舞われた中小企業と協力してきた」と述べ、「違法な関税の迅速な還付は、国内20万社以上の中小輸入業者にとって重要であり、今年の経済成長を後押しするだろう」と訴えました。

さらに「政権がこの機会を利用して、より大きな経済成長、労働者の賃金上昇、家庭のコスト低下につながる方向で関税政策全体をリセットすることを望む」と付け加えました。

トランプ政権の対抗措置

新たな10%グローバル関税

トランプ大統領は判決直後、最高裁判事を「恥だ」と批判し、別の法的根拠を用いた新たな関税を発表しました。具体的には、1974年通商法第122条に基づく10%の「グローバル関税」を大統領令で発動すると表明しました。

通商法第122条は、大統領が「大規模かつ深刻な」国際収支赤字に対処するため、最大150日間、最大15%の関税を課す権限を認めています。ただし、この関税は期間限定であり、IEEPAに基づく関税ほど広範な権限ではありません。

法的リスクの継続

新たな関税についても法的な課題が指摘されています。第122条の適用要件である「大規模かつ深刻な国際収支赤字」の認定が妥当かどうか、今後の法廷での争点となる可能性があります。また、150日間という期限があるため、恒久的な通商政策としては限界があります。

注意点・展望

今回の判決は画期的ですが、いくつかの重要な注意点があります。まず、還付プロセスの長期化です。最高裁が還付について明確な判断を示さなかったため、個別の訴訟を通じて還付の可否が判断されることになります。専門家は完了までに数年かかると見ています。

次に、トランプ政権が別の法的根拠で関税を課し続けている点です。通商法第122条に基づく新関税は、IEEPA関税ほどの規模ではないものの、企業にとっては引き続きコスト負担となります。

今後の焦点は、国際貿易裁判所での還付訴訟の行方と、トランプ政権が追加的な通商措置を講じるかどうかです。議会での新たな関税立法の動きにも注目が集まっています。

まとめ

米連邦最高裁によるIEEPA関税の違憲判決は、大統領の通商権限に歴史的な制約を課すものとなりました。ロバーツ長官率いる6名の多数派は、関税を課す権限は議会に属するという憲法の原則を再確認しました。

米商工会議所は20万社以上の中小輸入業者のために迅速な還付を要求し、日本企業を含む多数の企業が訴訟を通じて還付を求めています。一方、トランプ政権は別の法的根拠で新たな関税を課す姿勢を示しており、通商政策を巡る法廷闘争は今後も続く見通しです。企業にとっては、自社が支払った関税がIEEPAに基づくものかどうかを確認し、還付請求の準備を進めることが重要です。

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