東証プライム95%が値下がり、イラン情勢で歴史的リスクオフ
はじめに
2026年3月3日の東京株式市場は、イラン情勢の緊迫化を受けて歴史的な全面安となりました。東証プライム市場で値下がりした銘柄の割合は94.9%に達し、2025年4月7日の米相互関税ショック(99.45%)以来の高水準を記録しています。
日経平均株価は前日比1778円19銭(3.06%)安の5万6279円05銭で取引を終え、下げ幅は一時1900円を超える場面もありました。直前まで6万円の大台を視野に入れていた日本株市場に、中東の地政学リスクが冷水を浴びせた形です。
3月3日の市場動向
ほぼ全面安の異常事態
東証プライム市場で値下がりした銘柄の割合は94.9%と、36業種のうちガスを除く35業種が値下がりする異常な状況でした。これは2025年4月7日にトランプ大統領が相互関税を発表した際、日経平均が急落した時(値下がり率99.45%)以来の高い水準です。
唯一上昇したガスセクターは、原油高の恩恵を受ける銘柄として買いが集まりました。一方、下落率が最大だったのは空運業で、日本航空(JAL)が前日比6%安、ANAホールディングスも3%安と大きく売られました。原油価格の急騰が燃料費の増加を通じて航空会社の収益を圧迫するとの懸念が広がったためです。
日経平均1778円安の衝撃
日経平均株価は前日比1778円19銭安の5万6279円05銭で取引を終えました。朝方には下げ幅が一時1900円を超える場面もあり、投資家のパニック的な売りが広がりました。
前日の3月2日にはすでに793円安(1.35%)と大幅に下落し、5万8057円で取引を終えていました。2営業日連続の大幅下落で、わずか2日間で2500円以上の下落となった計算です。
前日の海運・石油株の反動
注目すべきは、前日(3月2日)に上昇していた海運株や石油関連株が3月3日には一転して下落したことです。2日には「原油高の恩恵を受ける」として買われたこれらのセクターが、3日には「原油高の長期化は世界経済全体を冷え込ませる」との見方に変わり、売りが優勢となりました。
大和証券のアナリストは「双方の報復激化の可能性が重視され、原油価格の高止まりが経済に悪影響を与えるとの懸念が広がっている」と分析しています。
イラン情勢が日本株に与える影響
原油高が企業収益を圧迫
原油先物相場は3月2日に一時1バレル75ドルと前週末比12%上昇しました。原油高は日本の輸入企業にとってコスト増加要因となり、特に以下の業種への影響が懸念されています。
空運業はジェット燃料の価格上昇が直接的なコスト増につながります。陸運業も燃料費の増加が収益を圧迫します。化学や素材産業は原材料コストの上昇に直面します。一方、小売や外食産業はエネルギーコストの上昇が消費者の購買力低下を通じて間接的に影響を受けます。
リスクオフの円買いは限定的
通常、地政学リスクが高まると「安全資産」としての円が買われる傾向がありますが、今回は円安が同時に進行するという異例の展開となりました。原油の輸入コスト増が日本の貿易赤字を拡大させるとの思惑から、円買いよりも円売り圧力が勝った形です。
株安と円安の同時進行は、日本の投資家にとって「二重のパンチ」となっており、外貨建て資産からのリターンも目減りする状況が生まれています。
2025年4月の相互関税ショックとの比較
今回の下落を2025年4月7日の相互関税ショックと比較すると、いくつかの違いがあります。相互関税ショックでは99.45%の銘柄が値下がりしましたが、その後は関税交渉の進展への期待から比較的早期に株価は回復しました。
一方、今回のイラン情勢による下落は、軍事衝突の先行きが見通しにくく、回復の時期を予測することが困難です。停戦交渉が実現するまでは、不透明感が市場を覆い続ける可能性があります。
注意点・展望
今後の注目ポイント
市場参加者が注目しているのは以下の3点です。第一に、米国とイランの停戦交渉の行方です。外交的な解決の糸口が見えれば、株価の反発要因となります。
第二に、原油価格の推移です。1バレル100ドルを超える水準が定着すると、企業収益への影響が本格化し、株価のさらなる下落圧力となります。
第三に、日本政府の対応です。石油備蓄の放出やエネルギー関連の緊急対策が打ち出されれば、市場心理の安定につながる可能性があります。
投資家が注意すべき点
短期的には急落した銘柄への押し目買いの誘惑がありますが、地政学リスクが解消されない限り、さらなる下落の可能性も否定できません。過去の地政学ショック時の経験からは、事態の推移を見極めてから行動することが重要です。
まとめ
3月3日の東京株式市場は、イラン情勢の緊迫化を受けて東証プライム銘柄の95%が値下がりするという歴史的な全面安を記録しました。日経平均は1778円安の大幅続落となり、2営業日で2500円以上を失いました。
原油高による企業収益の圧迫と、軍事衝突の先行き不透明感が市場を覆っています。停戦交渉の行方や原油価格の動向が、今後の株式市場の方向性を左右する最大の焦点です。
参考資料:
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