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by nicoxz

米為替報告書が日銀利上げ要請を削除した背景と影響

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はじめに

米財務省は2026年1月29日、半期ごとの外国為替政策報告書を公表しました。今回の報告書で注目されたのは、前回明記されていた日本銀行に対する金融引き締め継続の要請が削除された点です。

ベッセント米財務長官はこれまで、円安是正に向けて日銀の利上げ継続を求める姿勢を示してきました。しかし、今回の報告書からその文言が消えたことは、米国の対日為替政策に変化が生じていることを示唆しています。

本記事では、為替報告書の主要な変更点と、その背景にある日米間の為替・金融政策をめぐる駆け引きについて解説します。

米為替報告書の主な変更点

日銀への利上げ要請が消えた理由

前回(2025年6月)の為替報告書には、「日銀は金融引き締め政策を継続すべきであり、それによって対ドルでの円安の正常化が促される」との記述がありました。今回の報告書ではこの表現が完全に削除されています。

米財務省当局者はこの変更について、「半年以上前には喫緊の課題だったが、焦点は他の要因に移っている」と説明しています。日銀は2025年から段階的な利上げを進めており、政策金利は既に引き上げられてきました。米国側が「要請」という形で圧力をかける必要性が薄れたとみられます。

監視リストの拡大と日本の位置づけ

一方で、日本は引き続き「監視リスト」に名を連ねています。今回の監視対象は10カ国・地域で、日本、中国、韓国、台湾、シンガポール、ベトナム、ドイツ、アイルランド、スイスに加え、新たにタイが追加されました。

監視リストに入る基準は、対米貿易黒字、経常収支黒字、為替介入の3つの形式基準です。日本はこのうち複数の基準に該当しているため、引き続き監視対象とされています。ただし、為替操作国には認定されていません。

為替介入への評価

日本の為替介入については、月次での実施有無を公表していることから「透明性を維持している」と評価されました。2022年以降の大規模介入に関しても、「特定の為替水準を目標としない立場を守っている」と一定の理解を示しています。

ベッセント長官の対日スタンスの変化

「裁量に委ねる」発言の意味

ベッセント財務長官は2026年1月の一連の発言で、日本の為替介入について「裁量に委ねる」との姿勢を示しました。これは、米国が直接的に日本の金融政策に注文をつけるのではなく、日本側の判断を尊重する方向にシフトしたことを意味します。

1月28日には、米国が外国為替市場でドル売り・円買い介入を検討しているとの観測を明確に否定し、従来の「強いドル政策」を維持していると強調しました。協調介入の可能性は低いことが改めて確認された形です。

「金融政策で自然と調整される」という基本姿勢

ベッセント長官は一貫して、「日銀がインフレ率や成長率に焦点を当てて金融政策を進めれば、為替レートは自然と調整される」との見解を示しています。つまり、日銀に対する直接的な利上げ要請から、より間接的なアプローチへと転換したといえます。

また、「アベノミクスの導入から12年が経過し、状況は大きく変化している」とも述べており、日本が超金融緩和から正常化へと歩みを進めていること自体は認識しています。

日本の為替・金融政策への影響

高市政権の財政政策と円安

今回の報告書では、高市早苗政権の財政拡大政策が円安の要因として指摘されました。積極的な財政支出が金利上昇圧力を抑制し、結果として円安を助長しているとの見方です。

みずほ銀行チーフマーケット・エコノミストの唐鎌大輔氏は、ベッセント長官が「今の日本は円安か金利上昇かのいずれかを受け入れなければならない」と指摘していると述べています。日本は今後、円安の継続と金利上昇のどちらを選ぶかという難しい判断を迫られる局面にあります。

日銀の金融政策への波及

日銀は2026年1月23日の金融政策決定会合後も追加利上げへの積極姿勢を示しています。米国からの直接的な利上げ要請が消えたことで、日銀はより自律的な判断で金融政策を運営しやすくなったともいえます。

ただし、1月23日の植田和男総裁会見後には米ドル円相場が一時159円台をつけた後、急落して155円を割り込む場面があり、日本当局による為替介入が疑われる値動きも観測されています。

注意点・展望

今回の報告書の変化を「米国が日本の円安を容認した」と解釈するのは早計です。利上げ要請の文言は消えましたが、監視リストへの指定は継続しており、米国は引き続き日本の為替政策を注視しています。

今後の注目点は以下の通りです。まず、日銀がどのようなペースで追加利上げを進めるか。次に、高市政権の財政政策が為替に与える影響をどう管理するか。そして、次回の為替報告書(2026年6月予定)で米国の評価がどう変わるかです。

為替市場では、ベッセント長官の発言一つで大きく動く展開が続いています。米国の対日スタンスの微妙な変化を見逃さないことが、今後の為替動向を読む上で重要になるでしょう。

まとめ

米財務省の2026年1月為替報告書では、日銀への利上げ要請が削除される一方、日本は引き続き監視リストに残りました。ベッセント長官は直接的な政策要請から、「日本の裁量に委ねる」姿勢へと転換しています。

この変化は、日銀の段階的な利上げ進展を反映したものですが、円安問題が解決したわけではありません。日本は今後も金融政策と財政政策のバランスを取りながら、為替の安定を図る必要があります。投資家や企業は、米国の為替政策スタンスの変化を注視しながら、為替リスクへの備えを継続することが求められます。

参考資料:

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