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by nicoxz

AI半導体の対中輸出は「核兵器販売と同等」アンソロピックCEOが警告

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はじめに

「これは北朝鮮に核兵器を売るようなものだ」——AI開発の米新興企業アンソロピック(Anthropic)のダリオ・アモデイCEOが、スイス・ダボスで開催中の世界経済フォーラム年次総会で、AI半導体の中国輸出について強烈な批判を展開しました。

トランプ政権は2026年1月、バイデン政権時代の輸出規制を緩和し、NVIDIAのAI半導体「H200」の中国向け輸出を条件付きで承認しました。この決定に対し、AIの最前線で開発を進めるアンソロピックのトップが異例の警告を発したことで、技術と安全保障を巡る議論が再燃しています。

トランプ政権のH200輸出承認

バイデン時代の規制を転換

2026年1月14日、トランプ政権はNVIDIA製AI半導体「H200」の中国向け輸出を正式に承認しました。H200は2025年1月、バイデン政権の「AIディフュージョン・ルール」によって対中輸出が全面禁止されていた先端チップです。

新たな規制枠組みでは、輸出申請は「原則拒否」ではなく、「ケースバイケース」で審査されることになりました。これにより、H200は中国に合法的に輸出できる最も高性能なAI半導体となります。

輸出の条件と「トランプ・サーチャージ」

承認には複数の条件が付されています。

まず、中国向け輸出量は米国内顧客への販売量の50%を上限とします。次に、全てのH200出荷は台湾で製造後、米国内の第三者機関で物理的に検証を受けなければなりません(「U.S.ルーティング」)。

さらに注目すべきは、売上高の25%を米国政府に納付する「トランプ・サーチャージ」が課されることです。トランプ大統領はこれを「25%の関税」と表現しており、輸出規制の緩和と引き換えに政府収入を確保する形となっています。

中国企業はすでに200万個以上のH200を発注していますが、NVIDIAの在庫は70万個程度とされ、需要が供給を大きく上回っています。

アモデイCEOの痛烈な批判

「クレイジーな決定」

アモデイCEOはダボス会議でブルームバーグのインタビューに応じ、トランプ政権の決定を「クレイジーだ」と断じました。

「これは北朝鮮に核兵器を売るようなものだ」——この強烈な比喩には、AI技術が持つ潜在的な危険性についての深い懸念が込められています。

アモデイ氏は「信じられないほどの国家安全保障上の意味がある」と指摘し、「チップ製造能力において、我々は中国より何年も先を行っている」と強調しました。

輸出規制の重要性

アンソロピックのCEOがAI半導体の輸出規制を支持するのは今回が初めてではありません。アモデイ氏は以前からトランプ政権に対し、輸出制限を維持するよう働きかけてきました。

「中国にチップを売らないことは、AIが制御不能になる事態に備える時間を確保するために我々ができる最も重要なことの一つだ」とアモデイ氏は主張しています。

AI開発の最前線にいる経営者として、先端技術が悪用された場合のリスクを誰よりも理解しているという自負が、この強い発言の背景にあるといえます。

議会・専門家からも批判の声

安全保障専門家の懸念

輸出規制の緩和に対しては、議会や安全保障専門家からも即座に批判の声が上がりました。

2026年1月14日、元国家安全保障担当補佐官のマット・ポッティンガー氏は下院外交委員会で証言し、この決定は「北京の軍事近代化を加速させる」と警告しました。

外交問題評議会(CFR)も、H200の輸出がもたらす影響について分析レポートを公表し、先端AI技術の流出リスクを指摘しています。

民主党の反発

民主党は、トランプ政権がNVIDIAのH200輸出を中国との貿易交渉の「バーゲニング・チップ」(交渉材料)として利用していると批判しています。

「短期的な経済的利益を国家安全保障よりも優先している」という指摘は、今後の政治的議論において繰り返し提起されることが予想されます。

米中AI競争の現状

技術格差は何年?

アモデイ氏が「我々は中国より何年も先を行っている」と述べたチップ製造能力の格差は、米国の対中政策における重要な論点です。

TSMCは2025年に2ナノメートル(nm)チップ、2026年に1.6nmチップの量産を開始する計画です。一方、中国は米国の輸出規制により最先端の製造装置を入手できず、先端プロセスでの遅れが指摘されています。

しかし、中国は国内自給率向上とAI分野への巨額投資を進めており、長期的には技術格差が縮小する可能性もあります。

中国国内の動向

米国の輸出規制は中国国内に深刻な影響を与えています。先端チップ不足により、中国政府が国内ファウンドリー最大手の供給配分に直接介入する事態も報じられています。

現場ではNVIDIA製チップの密輸や、性能の低いチップを数千個束ねて代用する「力任せ」の打開策も見られるとされています。

NVIDIAのロビー活動

H200輸出承認の背景には、NVIDIAの積極的なロビー活動がありました。2025年12月、NVIDIAのジェンスン・フアンCEOがワシントンでトランプ大統領と直接会談したことが報じられています。

会談後まもなく、トランプ大統領は承認済み顧客への中国向けH200販売を許可する意向を公に表明しました。業界のロビー活動が政権の最高レベルに届いたことを示す事例となっています。

今後の展望と注意点

規制をめぐる攻防は続く

H200の輸出承認は、より高性能な半導体には適用されていません。NVIDIAの最新の「Blackwell」プロセッサや、開発中の「Rubin」モデルは輸出対象外です。

しかし、一度規制が緩和された前例ができたことで、今後さらなる緩和を求める圧力が強まる可能性があります。

AIガバナンスの課題

アモデイCEOの発言は、AI技術そのものの危険性に対する警告でもあります。先端AI半導体の輸出管理は、単なる貿易問題ではなく、AIが社会に与えうる影響をどうコントロールするかというガバナンスの問題と密接に関わっています。

AI開発企業のトップが輸出規制を支持する立場を明確にしたことは、技術開発と安全保障のバランスをどう取るべきかという議論において重要な一石を投じたといえます。

まとめ

アンソロピックのアモデイCEOによる「北朝鮮への核兵器販売と同等」という発言は、AI半導体輸出をめぐる安全保障上の懸念を端的に表現したものです。

トランプ政権は経済的利益と国家安全保障のバランスを取りながらH200輸出を承認しましたが、議会や専門家からは批判の声が上がっています。

米中のAI・半導体をめぐる技術覇権争いは長期化が避けられません。日本を含む各国企業にとっても、地政学リスクを踏まえた事業戦略の見直しが求められる局面が続きそうです。

参考資料:

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