マイクロソフト10〜12月期6割増益、AI投資膨張で株価下落
はじめに
米マイクロソフトが2026年1月28日に発表した2025年10〜12月期(2026会計年度第2四半期)決算は、売上高が前年同期比17%増の812億7,300万ドル(約12兆5,000億円)、純利益が60%増の384億5,800万ドルと好調でした。27%出資する米OpenAIからの持ち分法投資利益が大きく寄与しています。
しかし、好決算にもかかわらず株価は時間外取引で一時7%超下落しました。AI向け設備投資が過去最大に膨らんだことや、Azure(アジュール)クラウドの成長率への懸念が売りを誘いました。
決算の詳細
売上高・利益は市場予想を上回る
売上高812億7,300万ドルは、アナリスト予想の802億7,000万ドルを上回りました。調整後の1株当たり利益(EPS)は4.14ドルで、市場予想の3.97ドルを超えています。
セグメント別では、クラウドを含む「インテリジェント・クラウド」部門の売上高が329億1,000万ドルで29%近い増収となり、市場予想の324億ドルを上回りました。Office、Dynamics、LinkedInを含む「プロダクティビティ&ビジネス」部門も341億2,000万ドルで16%増収です。
一方、Windows PCやゲームを含む「モア・パーソナル・コンピューティング」部門は142億5,000万ドルで3%減収となり、市場予想をやや下回りました。
OpenAIの投資利益
今四半期の特筆すべき要因は、OpenAIへの出資から生じた投資利益です。純利益と希薄化後EPSにそれぞれ76億ドルと1.02ドルの上乗せ効果がありました。OpenAIとの連携はマイクロソフトのAI戦略の中核であり、財務面でも大きな貢献を果たしています。
AIの普及状況
マイクロソフトはAI関連の指標も公表しています。Microsoft 365 Copilotの有料シート数は1,500万に達し、4億5,000万超の商用Microsoft 365有料シートのうちの一部ですが着実に拡大しています。AI機能の月間アクティブユーザーは9億人、Copilotの月間アクティブユーザーは1億5,000万人を超えています。
株価下落の背景
AI設備投資の急膨張
最大の懸念材料は設備投資(CapEx)です。今四半期の設備投資額は375億ドルと過去最高を更新し、年間ベースでは1,000億ドル(約15兆円)規模に達しています。AIデータセンター、いわゆる「AIファクトリー」の建設に巨額の資金が投じられています。
マイクロソフトは2026年度の設備投資は前年度をさらに上回るとガイダンスしており、投資回収までの期間が長期化するとの見方が広がっています。
Azureの成長率への懸念
Azure部門の売上高は38%増と堅調でしたが、市場が期待していた水準には届きませんでした。来期(2026年1〜3月期)のAzure成長率は定額通貨ベースで37〜38%と、大幅な加速は見込まれていません。
エイミー・フッドCFOは、顧客ニーズに対応する十分なデータセンター能力をまだ確保できていないことが売上高に影響していると説明しています。AIへの需要は旺盛ながら、インフラの供給が追いつかない状態が続いています。
DeepSeekの影響
さらに、中国のAIスタートアップDeepSeekが低コストで高性能なAIモデルをリリースしたことで、巨額のAI投資が本当に必要なのかという疑問がウォール街で広がっています。少ない計算資源で高い性能を発揮できるモデルの登場は、大規模インフラ投資の前提を揺さぶるものです。
注意点・展望
好決算にもかかわらず株価が下落した背景には、「AIへの巨額投資はいつ回収できるのか」という市場の根本的な疑問があります。マイクロソフトの商業サービス契約の未履行残高は6,250億ドルと前年比110%増で、将来の収益パイプラインは充実しています。AzureのAIサービスは157%の成長を記録しており、AI需要そのものは力強いです。
問題は、その需要に応えるための投資規模が市場の許容範囲を超えつつあることです。サティア・ナデラCEOのもとで、AIを中核とした成長戦略が中長期的に実を結ぶかどうかが問われています。
まとめ
マイクロソフトの2025年10〜12月期決算は売上・利益とも好調でしたが、年間1,000億ドル規模に達するAI設備投資への懸念から株価は下落しました。Azureの成長率が期待に届かなかったことや、DeepSeekの台頭による投資効率への疑問も重なっています。AIへの需要は旺盛である一方、投資対効果の証明が今後の最大の課題です。
参考資料:
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