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by nicoxz

中国GDP成長率5.0%達成も内需低迷とデフレが深刻化

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はじめに

2026年1月19日、中国国家統計局は2025年通年の国内総生産(GDP)成長率が実質で前年比5.0%増だったと発表しました。これは政府が掲げた「5%前後」という目標をぎりぎり達成した数字です。

しかし、この数字の裏には深刻な構造的問題が隠れています。不動産不況による内需の低迷、3年連続となる名目GDPと実質GDPの逆転現象、そして輸出に過度に依存した「いびつな成長」の実態があります。

本記事では、中国経済の現状を多角的に分析し、2026年以降の見通しについて解説します。投資家や企業経営者にとって、世界第2位の経済大国の動向を理解することは不可欠です。

2025年GDP成長率の詳細分析

四半期ごとの成長率推移

2025年の中国経済は、年間を通じて減速傾向が顕著でした。四半期別の成長率を見ると、第1四半期から第3四半期までは5%台を維持していましたが、第4四半期(10〜12月期)には4.5%まで落ち込みました。これは第3四半期の4.8%からさらに0.3ポイント低下したもので、2022年以来の低水準です。

この減速の主因は、政府による消費刺激策の効果が一巡したことにあります。家電や自動車への買い替え補助金が2025年前半に大きく奏功しましたが、後半にはその反動減が表れ始めました。

名実逆転が示すデフレの深刻さ

中国経済を語る上で見逃せないのが、「名実逆転」と呼ばれる現象です。これは名目GDP成長率が実質GDP成長率を下回る状態を指し、物価が下落していることを意味します。

2025年の名目GDP成長率は4.0%にとどまり、実質の5.0%を1ポイント下回りました。この名実逆転は3年連続であり、GDPデフレーターは10四半期連続でマイナスを記録しています。生活実感に近い名目ベースでは、中国経済の成長は見かけほど力強くないのです。

デフレは消費者の購買意欲を減退させ、企業の収益を圧迫します。物価下落が続くと「今買わなくても後で安くなる」という期待が広がり、消費がさらに冷え込む悪循環に陥ります。

不動産不況と内需低迷の実態

止まらない不動産市場の下落

中国経済の最大の重荷となっているのが不動産市場の長期低迷です。2025年の不動産開発投資は前年比17.2%減となり、4年連続のマイナスを記録しました。下落幅は2024年の10.6%減からさらに拡大しており、底打ちの兆しは見えません。

住宅や商業施設の販売面積も8.7%減少しました。建設中の住宅在庫は販売面積の約5倍に達しており、2019年水準(2.8倍)まで正常化するには約2年を要すると推計されています。

不動産セクターは中国GDPの約3割を直接・間接的に占めるとされ、その低迷は建材、家電、金融など幅広い産業に波及しています。

消費者マインドの冷え込み

小売売上高は前年比3.7%増と、プラス成長を維持しました。しかし、これは政府の補助金政策による「かさ上げ」の側面が強く、消費者の本来の購買意欲を反映したものとは言いがたい状況です。

中国の消費者マインドは3年以上にわたって低迷を続けています。不動産価格の下落による逆資産効果、雇用への不安、将来の社会保障への懸念などが複合的に作用し、消費者は財布のひもを固く締めています。

特に若年層の失業率の高さは深刻で、成長期待が中長期的に下方屈折したともいえる状況にあります。

輸出依存経済の功罪

史上初の貿易黒字1兆ドル突破

内需が振るわない中、中国経済を支えたのは輸出でした。2025年の貿易黒字は1兆1,890億ドルと、初めて1兆ドルの大台を突破しました。これは人類史上、単一国家が記録した年間貿易黒字として過去最高です。

輸出は前年比5.5%増の3兆7,718億ドルを記録しました。トランプ米政権との激しい関税戦争にもかかわらず、東南アジアやアフリカへの輸出を大幅に伸ばすことで、対米輸出の減少を補いました。

輸出先の多角化と迂回貿易

2025年の輸出では、東南アジア諸国連合(ASEAN)向けが大きく成長しました。ただし、ゴールドマン・サックスの分析によれば、増加分の約7割は中国から第三国を経由して米国に至る「迂回貿易」とされています。

また、中国が主導する「一帯一路」参加国への輸出が貿易黒字全体の4割を占めるようになり、米国を上回りました。中国企業は関税回避やリスク分散のため、ベトナムやインドネシアなどに生産拠点を移転する動きも加速しています。

デフレの輸出という懸念

巨額の貿易黒字は、中国国内の過剰生産能力を映し出しています。内需が低迷する中でも供給能力の拡大が続き、その余剰分が安価な輸出品として世界市場に流れ込んでいます。

この「デフレの輸出」に対しては、欧米をはじめ世界各国から懸念の声が上がっています。国際通貨基金(IMF)も、中国の過度な輸出依存に警告を発しており、保護主義の高まりを招くリスクが指摘されています。

注意点と今後の展望

公式統計への疑問

中国の公式GDP統計に対しては、以前から信頼性を疑問視する声があります。米国のシンクタンク、ロジウム・グループは、2025年の実質GDP成長率を2.5〜3.0%と推計しており、公式発表のほぼ半分です。

一方、米連邦準備制度理事会(FRB)の調査では、中国の公式GDP統計は他の経済指標とおおむね整合的であり、大幅な過大評価とは言えないとの分析もあります。いずれにせよ、中国の経済指標を解釈する際には、こうした議論を念頭に置く必要があります。

2026年の見通し

2026年の中国経済は減速がさらに強まると予想されています。大和総研やニッセイ基礎研究所などの主要シンクタンクは、2026年の実質GDP成長率を4.4%前後と予測しています。

減速の主因としては、耐久消費財への補助金政策の一巡による反動減、不動産市場の低迷継続、人口減少と少子高齢化の進展などが挙げられます。デフレからの脱却も困難との見方が大勢です。

中長期的な構造問題

今後10年程度の長期視点では、中国の成長力は大きく低下するとの見方が専門家の間で広がっています。その背景には、人口減少と急速な高齢化、住宅需要の構造的減退、過剰債務問題、「国進民退」(国有企業の拡大と民間企業の後退)といった複合的な課題があります。

まとめ

2025年の中国GDP成長率5.0%は、政府目標をかろうじて達成した数字ではありますが、その内実は厳しいものでした。輸出に依存した「いびつな成長」であり、内需の回復は道半ばです。

投資家や企業にとって重要なポイントは以下の3点です。

  1. デフレ圧力の継続: 名実逆転は3年連続であり、消費者マインドの回復には時間を要する
  2. 不動産市場の正常化には2年程度: 在庫調整が進むまで関連産業への影響は続く
  3. 輸出依存のリスク: 保護主義の高まりにより、輸出主導の成長モデルは持続困難

中国経済の動向は、サプライチェーンや輸出入を通じて日本経済にも大きな影響を与えます。今後の政策動向や経済指標を注視していく必要があるでしょう。

参考資料:

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