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by nicoxz

中国GDP5%成長の実態は?専門家が指摘する統計の疑問

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はじめに

中国国家統計局が2026年1月19日に発表した2025年のGDP成長率は、実質で前年比5.0%増でした。政府が掲げた「5%前後」という目標にぴったり一致したこの数字に対し、エコノミストからは懐疑的な声が上がっています。

不動産不況が4年以上続き、デフレ圧力が強まる中での5%成長は本当なのか。経済産業研究所の呉軍華コンサルティングフェローは「実際は5%よりはるかに低い」と指摘しています。本記事では、中国GDP統計の信頼性と実体経済の乖離について、複数の視点から解説します。

公式発表と懐疑論の対立

政府目標とぴったり一致した成長率

中国国家統計局によると、2025年のGDPは140.19兆元(約19.4兆ドル)に達し、実質で前年比5.0%増となりました。四半期別に見ると、第1四半期が5.4%、第4四半期が4.5%と推移し、年間で政府目標を達成しました。

しかし、目標と完全に一致する成長率が発表されたことで、データの信頼性に対する疑念が再燃しています。IMFや欧米の投資銀行アナリストの事前予測では、いずれも5%未満の成長が見込まれていました。

独立系調査機関の異なる推計

米国の調査会社ロジウム・グループは、中国の2025年の実質GDP成長率を2.5%〜3.0%と推計しています。これは公式発表の約半分に過ぎません。同グループは「10四半期連続で持続的なデフレに直面しながら5%の実質GDP成長を記録した経済の前例はない」と指摘し、「中国がその最初の例であるとは考えにくい」と述べています。

一方、米連邦準備制度理事会(FRB)は2025年6月に発表した論考で、独自のGDP推計が公式統計とほぼ一致したと報告しています。ただし、FRBも「何年にもわたる不動産不況とデフレに悩む経済にとって5%成長は非常に高い」と認め、懐疑論が生じる背景に理解を示しています。

統計の信頼性を揺るがす構造的問題

名目GDPと実質GDPの「名実逆転」

中国経済の深刻な問題を示す指標として「名実逆転」現象があります。2025年の名目GDPの増加率は4.0%にとどまり、実質成長率5.0%を下回りました。この逆転現象は3年連続で、10四半期連続となっています。

通常、名目GDPは物価上昇分を含むため実質GDPより高くなります。名目が実質を下回る状況は、デフレが進行している証拠です。生活実感に近いのは名目GDPであり、実質5%成長という数字と国民の実感には大きな隔たりがあります。

李克強指数が示す別の姿

2023年に亡くなった李克強前首相は、現役時代に国家統計局のGDP統計を信用せず、「鉄道貨物輸送量、電力消費量、銀行の新規融資額」の3指標で経済動向を判断していたとされています。この手法は「李克強指数」として知られています。

李克強氏は2007年、遼寧省トップだった当時、在中国米国大使との会談で「GDPは人為的であてにならない」と述べたと伝えられています。地方政府が目標達成のために統計を水増しする構造的問題が、この発言の背景にあります。

統計公開の制限と透明性低下

2020年頃から中国では統計公開が制限されるようになりました。固定資産投資の価格指数、企業所有形態別の銀行融資額、産業別雇用数の公表が停止されました。さらに2023年には、悪化が続いていた若年層(16〜24歳)失業率の公表も停止されています。

統計の国際評価機関「Open Data Watch」は中国の評価ランクを2018年の85位から2024年の159位へ大幅に引き下げました。データの透明性低下は、国際的な信頼を損なっています。

不動産不況の深刻な実態

4年以上続く不動産市場の低迷

中国の不動産不況は2021年から続いており、底打ちの気配は見えません。不動産販売面積はピーク時の半分まで減少しました。波及効果も含めるとGDPの25%を占めるとされた不動産セクターの大規模な調整は、中国経済の内需低調の最大要因となっています。

2025年1月〜11月の不動産開発投資は前年比15.9%減と、2024年の10.6%減からさらに悪化しました。不動産市場の低迷は逆資産効果から消費を弱くさせ、土地財政に頼っていた地方財政を逼迫させています。

国有企業にも波及する危機

2025年の中国経済で顕著だったのは、国有企業の経営危機が増加したことです。象徴的な事例として、「国家チーム」と呼ばれ不動産業界の優等生とされていた万科企業のデフォルト危機があります。万科は2024年度の通期決算で450億元の巨額赤字を計上しました。

報道によると、中央政府は深圳市に対して「万科の債務処理は市場の動向に従って行うように」という指示を出したとされています。これは従来のやり方での不動産市場救済を中国政府が断念したというシグナルと受け止められています。

今後の展望と注意点

2026年はさらなる減速へ

エコノミストの多くは2026年の中国経済がさらに減速すると予測しています。日本経済新聞社と日経QUICKニュースがまとめた中国エコノミスト調査によると、2026年の実質GDP成長率の予測平均値は前年比4.5%増でした。

大和総研は2026年の成長率を4.4%程度と予測し、相対的な需要不足という状況に変化はなく、デフレからの脱却も困難であると見ています。2025年に効果を発揮した家電・自動車への補助金政策が一巡し、反動減が懸念されています。

不動産不況からの脱却は困難

2026年も不動産市場の回復には政府の強力な支援継続が不可欠です。建設工事が中断して引き渡しが済んでいない物件が多く残されており、物件の引き渡し予定日までに完成できない物件は190〜220万戸に達すると見込まれています。

政府の政策も「不動産発展モデルの構築を加速する」といった抽象的な表現にとどまり、具体的な解決策は見えていません。

まとめ

中国が発表した2025年のGDP成長率5.0%に対し、独立系調査機関は実際の成長率を2.5%〜3.0%と推計しています。10四半期連続のデフレ、不動産不況の長期化、名目GDPと実質GDPの逆転現象など、公式統計と実体経済の乖離を示す証拠は少なくありません。

中国経済を見る際には、公式発表の数字だけでなく、名目GDPの推移、不動産投資の動向、消費者物価など複数の指標を総合的に判断することが重要です。2026年は米中関係の不透明感も加わり、中国経済の真の姿を見極めることがさらに難しくなりそうです。

参考資料:

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