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by nicoxz

中国が英国産ウイスキー関税半減、脱「氷河期」へ

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はじめに

2026年1月29日、スターマー英首相が8年ぶりとなる英国首相として中国を訪問し、習近平国家主席と会談しました。この訪問で中国は英国産ウイスキーの輸入関税を10%から5%に半減することに合意し、英国人に対する短期滞在ビザの免除措置も発表されました。

近年「氷河期」と呼ばれるほど冷え込んでいた中英関係が、大きく動き出した形です。この記事では、今回の合意の具体的な内容とその経済的インパクト、そして関係改善の背景にある国際情勢について解説します。

ウイスキー関税引き下げの中身と経済効果

関税率10%から5%へ

中国は英国から輸入するスコッチウイスキーにかかる関税を10%から5%に引き下げることで合意しました。英国政府はこの措置により、今後5年間で約2億5,000万ポンド(約530億円)の経済効果が見込まれると発表しています。

スコッチウイスキーは英国にとって重要な輸出品目です。中国市場は世界有数のウイスキー消費市場として成長しており、関税引き下げにより英国メーカーの価格競争力が高まることが期待されます。

EUとの比較で見る意味

注目すべきは、中国がEU産ブランデーに対して暫定的な反ダンピング関税を課している中で、英国産ウイスキーの関税を引き下げた点です。EU離脱後の英国が、通商面で独自の関係を構築できることを示す象徴的な合意と言えます。

中国としても、トランプ米政権との貿易摩擦が激化する中で、欧州諸国との個別の経済関係を強化する狙いがあると見られます。

ビザ免除と人的交流の拡大

英国人に対する短期滞在ビザ免除

中国は英国市民に対して、ビジネスや観光を目的とした30日未満の短期滞在についてビザを免除することで合意しました。中国は2024年以降、日本を含む複数の国に対してビザ免除措置を段階的に拡大しており、英国もその対象に加わった形です。

この措置により、英国からのビジネス渡航や観光が活性化することが期待されます。中国側にとっても、海外からの投資や観光収入の拡大につながる施策です。

約60社・団体が同行

今回のスターマー首相の訪中には、大手企業など約60社・団体が同行しました。ヘルスケア、金融・専門サービス、法務サービス、教育、スキル分野を中心に、両国政府および企業間のパートナーシップ拡大が議論されました。

経済界の大規模な同行は、英国政府が今回の訪中を単なる外交儀礼ではなく、実質的な経済関係の再構築と位置づけていることを示しています。

中英関係の「氷河期」とは何だったのか

香港問題で急速に悪化

中英関係は2020年頃から急速に悪化しました。直接的な契機は香港の国家安全維持法をめぐる対立です。英国は同法を批判し、香港市民への特別ビザ制度を設けるなどの対応を取りました。これに対し中国は「内政干渉」として強く反発し、両国関係は冷え込みました。

さらに通信機器大手ファーウェイの5Gネットワークからの排除、新疆ウイグル自治区の人権問題をめぐる対立、スパイ疑惑事件なども重なり、関係悪化に拍車がかかりました。

「黄金時代」からの転落

振り返れば、2015年に習近平国家主席が英国を国賓訪問した際には、中英関係は「黄金時代」と呼ばれていました。キャメロン首相(当時)の下で中国からの投資を積極的に受け入れ、経済面で緊密な関係を築いていた時期です。

そこからわずか数年で「氷河期」に転落したことを考えると、今回の関係改善がどこまで持続的なものになるかは慎重に見る必要があります。

注意点・今後の展望

米国の視線

今回の中英接近は、トランプ米政権の動向と密接に関連しています。トランプ大統領が貿易や安全保障面で欧州への圧力を強める中、英国は中国との関係安定化を図ることで外交的な選択肢を広げようとしています。

ただし、米国との「特別な関係」を重視する英国が、中国との関係深化をどこまで進められるかには限界もあります。安全保障分野では依然として対中警戒が根強く、経済と安全保障のバランスが今後の課題です。

AI・新エネルギー分野での協力

習近平国家主席は会談で、金融やAI、新エネルギー分野での連携と交流拡大に意欲を示しました。特にAI分野では、英国が2023年のAI安全サミットを主催するなど国際的なルール作りをリードしてきた経緯があります。

両国がこれらの先端分野でどのような具体的な協力枠組みを構築していくかが、今後の中英関係の方向性を占う試金石となります。

人権問題という根本的な課題

経済関係の改善が進む一方で、香港の自由や新疆ウイグル自治区の人権状況といった構造的な問題は解消されていません。英国内では対中関係の改善に慎重な意見も根強く、スターマー政権は国内世論とのバランスも求められます。

まとめ

スターマー首相の8年ぶりの訪中は、中英関係が「氷河期」から一歩踏み出す転機となりました。ウイスキー関税の半減やビザ免除といった具体的な成果は、両国の経済関係再構築への意志を示すものです。

背景にはトランプ米政権の影響で各国が外交戦略を見直す動きがあり、中国・英国双方にとって関係改善のインセンティブがある状況です。ただし、安全保障や人権問題といった根本的な課題は残されており、今後の関係がどこまで深まるかは予断を許しません。国際情勢の変化の中で、中英関係の行方を注視する価値は大いにあります。

参考資料:

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