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by nicoxz

欧州首脳が相次ぎ訪中、米国不信が生む中国接近の構図

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はじめに

2025年12月から2026年1月にかけて、欧州の首脳が相次いで中国を訪問しています。フランスのマクロン大統領、アイルランドのマーティン首相、フィンランドのオルポ首相、そして英国のスターマー首相と、わずか2カ月間で4人の欧州首脳が北京を訪れました。

この異例の「訪中ラッシュ」の背景には、トランプ米政権の一方的な行動に対する欧州側の不信感があります。米国との関係に不安を覚えた欧州各国が中国に接近する一方、中国は西側の分断を自国の利益に転じようとしています。この複雑な三角関係の構図を読み解きます。

相次ぐ欧州首脳の訪中

スターマー英首相の8年ぶり訪中

英国のスターマー首相は2026年1月28日から中国を訪問し、習近平国家主席と首脳会談を行いました。英国首相の訪中は2018年以来、8年ぶりです。60人以上の経済界代表が同行し、スターマー氏は「世界2位の経済大国である中国とのビジネスチャンスを無視できない」と述べ、貿易関係の深化に意欲を示しました。

香港問題や人権問題で冷え込んでいた英中関係ですが、2024年の政権交代を機にスターマー政権は対中関係の修復に舵を切っています。スターマー氏の側近は「歴代首相が中国を訪問しなかったのは職務怠慢だった」とまで述べたと報じられています。

マクロン大統領からオルポ首相まで

2025年12月にはフランスのマクロン大統領が4度目の訪中を行い、経済関係の強化を打ち出しました。2026年1月にはアイルランドのマーティン首相、続いてフィンランドのオルポ首相が20社以上の企業幹部を伴って4日間の訪中を実施しています。

さらにドイツのメルツ首相も近い将来の訪中が取り沙汰されており、欧州主要国がこぞって中国との関係強化に動いている状況です。

トランプ政権が生む「中国への磁力」

一方的な行動への不信感

欧州首脳の訪中ラッシュの最大の要因は、トランプ政権の一方的な外交・通商政策に対する不安です。同盟国との協調よりも自国の利益を優先する姿勢が、欧州各国に独自の外交ルートを模索させる動機を与えています。

ドイツ・マーシャル財団の分析によれば、トランプ政権の行動は「孤立主義ではなく、19世紀型の日和見的帝国主義」と表現されており、同盟国を不安にさせる十分な理由があります。従来の協力枠組みが揺らぐなか、欧州は中国との直接対話の重要性を改めて認識しています。

イデオロギーから実利外交へ

欧州の対中アプローチは、価値観やイデオロギーに基づく外交から、より実利的で多角的な方向に転換しつつあります。人権問題への懸念は維持しつつも、経済面での協力拡大を優先する姿勢が鮮明になっています。

特に、米中対立の激化によってサプライチェーンの再編が進むなか、欧州企業にとって中国市場の重要性は依然として大きく、政治的なデカップリングが経済的な利益を損なうリスクへの警戒感が高まっています。

中国の分断戦略

EUよりも二国間関係を重視

注目すべきは、中国が欧州連合(EU)全体ではなく、各加盟国との二国間関係を重視する姿勢を強めている点です。フランスの外交官によれば、中国高官は訪問者に対し「EU委員会との交渉にはもはや関心がない。加盟国個別に対応する」と伝えているといいます。

これは、EUの結束を弱めて個別交渉で有利な条件を引き出す戦略といえます。各国が個別に中国との経済連携を進めれば、EUとして統一的な対中政策を打ち出すことが困難になります。

西側の亀裂を利用する外交

中国にとって、米欧関係の亀裂は外交的な好機です。トランプ政権と距離を置く欧州諸国に対し、貿易や投資の機会を提示することで、西側陣営の結束を弱める効果が期待できます。北京とワシントンがそれぞれEUの分断を図る構図のなかで、欧州各国が個別に行動すればするほど、中国の交渉力は高まります。

注意点・展望

欧州の結束が試される

ドイツ・マーシャル財団は「北京とワシントンがEUの分断を図ろうとする世界では、欧州の首都同士が連携を維持することがこれまで以上に重要になる」と警告しています。各国が個別に中国と取引を進めることで、EUの対中交渉力が低下するリスクがあります。

日本への影響

スターマー首相は訪中後の1月31日に来日し、高市早苗首相との会談が予定されています。英国が中国との関係を深める一方で、日本との経済安全保障や防衛分野での協力も強化するという、バランス外交の姿勢がうかがえます。日本としても、欧州の対中接近の動向を注視しつつ、自国の外交戦略に反映していく必要があります。

まとめ

欧州首脳の相次ぐ訪中は、トランプ政権への不信感という共通の動機に支えられています。しかし、各国が個別に中国と接近することは、EUの結束を弱め、中国に「分断して統治する」機会を与えるリスクがあります。

米中欧の三角関係が複雑化するなかで、欧州が経済的な実利を追求しつつも、価値観に基づく外交を維持できるかが問われています。日本を含むインド太平洋諸国にとっても、欧州の対中スタンスの変化は安全保障に直結する重要なテーマです。

参考資料:

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