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by nicoxz

トランプ「ドンロー主義」の真の狙いは中国封じ込めにある

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はじめに

2026年1月、トランプ米大統領が自ら命名した「ドンロー主義(Donroe Doctrine)」が国際社会で注目を集めています。これは19世紀のモンロー主義をトランプ流に再定義したもので、ベネズエラへの軍事介入、グリーンランド獲得への意欲、キューバへの圧力強化など、一見バラバラに見える政策の底流にある戦略思想です。

その真の狙いは何か。トランプ政権の周辺からは、「中国の弱体化」こそがこの構想の核心だという分析が浮上しています。西半球における米国の絶対的優位を確立することで、中国の影響力拡大を阻止しようという壮大な戦略です。

本記事では、ドンロー主義の内容と、それが日本を含む国際秩序に与える影響を解説します。

ドンロー主義とは何か

モンロー主義の現代版

「ドンロー主義」は、第5代米大統領ジェームズ・モンロー(James Monroe)が1823年に打ち出した「モンロー主義」と、トランプ(Donald)の名前を組み合わせた造語です。

オリジナルのモンロー主義は、欧州諸国に対して南北アメリカ大陸への干渉を控えるよう求め、同時に米国も欧州には介入しないという相互不干渉の原則でした。これは当時の米国が弱小国だった時代の「守りの外交」でした。

より攻撃的な地域覇権主義

ドンロー主義は、このモンロー主義をより攻撃的な形に再定義しています。その核心は「西半球(南北アメリカ大陸)は米国の排他的な勢力圏であり、ここにある資源と安全は米国が独占する」というものです。

トランプ政権が2025年11月に発表した国家安全保障戦略(NSS)は、「長年の怠慢の後、米国はモンロー主義を再確認し施行する。西半球における米国の優位性を回復し、国土と地域全体の重要な地理へのアクセスを保護する」と明記しています。

ベネズエラ軍事介入の衝撃

マドゥロ大統領の拘束

2026年1月3日、米国はベネズエラに大規模な軍事攻撃を実施し、ニコラス・マドゥロ大統領とその妻を拘束してニューヨークに移送しました。麻薬密売と武器に関する容疑で起訴されています。

この作戦後、トランプ大統領は「モンロー主義は非常に重要だが、我々はそれを大幅に書き換えた。これからはそれを『ドンロー主義』と呼ぶ」と宣言しました。さらに「西半球における米国の支配は二度と疑問視されることはない」と強調しました。

「大きな棍棒」外交への回帰

歴史家マイケル・カリナン氏(ディキンソン州立大学セオドア・ルーズベルト研究所長)は、トランプの手法について「ベネズエラでの行動はルーズベルトの手法と非常に似ているが、『穏やかに話す』部分が欠けていた」と分析しています。

セオドア・ルーズベルト大統領は「穏やかに話し、大きな棍棒を持て」という外交方針で知られましたが、トランプは「外交を行う前に大きな棍棒を使った」というわけです。

中国封じ込めという真の狙い

中南米からの中国排除

ドンロー主義の背後にある最大の戦略目標は、中国の封じ込めです。中南米で影響力を強める中国やロシアを「域外勢力」として排除し、インフラや軍事面での他国の介入を断つことで、米国の圧倒的優位を奪還しようとしています。

ベネズエラへの軍事介入は、習近平国家主席に対して「南北アメリカを中心とした西半球に他の超大国の居場所はない」という明確なメッセージを送るものでした。

中国の西半球での活動

米国が警戒する中国の活動には以下のようなものがあります。

  • キューバに監視施設を維持(米国本土からわずか90マイル)
  • 人民解放軍が西半球での戦闘を想定した軍事演習を実施(2025年12月報道)
  • 中南米向けの公式戦略を発表し、より強硬な姿勢を示す
  • パナマ運河周辺での影響力拡大

中国は「米国がパナマ運河を中国が支配しているという嘘を捏造し、運河を支配してモンロー主義的な覇権主義を推進する言い訳にしている」と反発しています。

グリーンランドと北極圏戦略

国家安全保障上の重要性

トランプ大統領は「国家安全保障の観点からグリーンランドが必要だ」と公言しています。デンマーク首相も「米国大統領がグリーンランドを望んでいると言うとき、真剣に受け止めるべきだ」と警告しています。

JDヴァンス副大統領は2025年3月にグリーンランドを訪問しており、政権として獲得に向けた動きを続けています。

拡大する「半球」の定義

ドンロー主義は「半球防衛」の名の下に、地理的範囲を大きく拡大しています。その範囲はアリューシャン列島からグリーンランド、北米北極圏から南極まで、中南米・カリブ海を含む広大な地域に及びます。

ある分析が指摘するように、「グリーンランドと北極圏は別の議論ではなく、同じ一連の主張を氷上で展開しているにすぎない」のです。

キューバ・コロンビアへの圧力

次のターゲット

トランプ大統領はベネズエラ介入後、キューバが「間もなく崩壊する準備ができている」と述べ、コロンビアにもベネズエラと同じ運命が待っている可能性があると公然と警告しました。メキシコも麻薬カルテルとの戦いを口実に次のターゲットになりうると示唆しています。

トランプ政権はキューバへの石油供給を遮断する措置も検討していると報じられており、圧力を強化しています。

日本と同盟国への影響

勢力圏分割のリスク

米国が「裏庭」への介入に国力を注ぎ込めば、その分他地域への関心が低下する可能性があります。その先にあるのは、中国やロシアとの「勢力圏」分割です。

これは第二次世界大戦後に米国が構築した欧州でのNATOによる集団的自衛体制、東アジアでの日米や米韓という二国間条約による安全保障体制に重大な変更をもたらす懸念があります。

日本に求められる対応

米国がドンロー主義に基づいて西半球に注力する中、日本を含むアジアの同盟国は、より自立した安全保障政策を模索する必要に迫られる可能性があります。米国の「アメリカ・ファースト」政策がどこまで徹底されるかによって、日本の外交・安全保障政策も影響を受けることになります。

まとめ

トランプ政権の「ドンロー主義」は、単なる孤立主義への回帰ではなく、西半球における米国の絶対的支配を確立し、中国をはじめとする「域外勢力」を排除する攻撃的な地域覇権戦略です。ベネズエラへの軍事介入、グリーンランド獲得への動き、キューバ・コロンビアへの圧力は、この大戦略の一環として理解する必要があります。

日本を含む米国の同盟国は、この政策が国際秩序にどのような影響を与えるか、注視していく必要があります。

参考資料:

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