多文化共生の成人式:外国籍の若者たちが迎える新たな門出

by nicoxz

はじめに

2026年1月12日の成人の日、全国各地で開催される成人式では、これまでにない光景が広がっています。振袖や袴に身を包んだ日本人の若者に交じって、民族衣装やスーツ姿の外国籍の若者たちが新成人として祝福を受けています。在留外国人数が2025年6月末時点で約396万人と過去最高を更新する中、日本で成長し、成人を迎える外国籍の若者が急増しているのです。特に東京都新宿区では、成人対象者の約半数が外国人という驚くべき数字が示されており、日本社会の多文化化が新たな段階に入ったことを象徴しています。本記事では、外国籍の若者たちの成人式参加の実態と、多文化共生社会における課題と可能性について詳しく解説します。

在留外国人の急増と世代交代

過去最高を更新する在留外国人数

日本における在留外国人数は年々増加を続けており、2025年6月末時点で3,956,619人に達し、前年末から5.0%増加しました。これは過去最高の数値であり、日本の総人口に占める割合は約3%となっています。一方で日本の総人口は減少を続けており、労働市場や地域社会における外国人材の存在感が急速に高まっています。

外国人労働者数も同様に増加しており、2024年10月末時点で230万人を超え、2007年の統計開始以来、過去最多を更新しました。これは、人口減少や高齢化に伴う労働力不足を背景に、政府が外国人材の受け入れを拡大してきた結果です。特に介護・医療・建設といった人手不足が顕著な分野では、外国人材が産業を支える重要な担い手となっています。

国籍別構成と地域的偏在

国籍別では、中国が最も多く約87万人、次いでベトナムが約63万人、韓国が約40万人となっています。これらの国々からの留学生や技能実習生、特定技能労働者が、日本社会に定着し、家族を形成するケースが増えています。

地域別では、在留外国人の83%が都市部に集中しており、東京都だけで65万人が居住しています。特に新宿区は外国人住民が43,897人(2024年1月時点)に達し、区の総人口の6.7%を占めています。ただし、成人対象年齢に限定すると、この比率はさらに高くなり、約46%に達するとされています。

成人式における多文化共生の実践

新宿区の先進的な取り組み

新宿区では成人対象者の約半数が外国人という現実を踏まえ、多文化共生を前提とした成人式(現在は「二十歳のつどい」と呼ばれる)を実施しています。2020年には、インドネシア語、ベトナム語、英語、やさしい日本語での招待状を送付するなど、外国籍の若者が参加しやすい環境づくりに取り組んでいます。

実際に、民族衣装で参加する外国籍の新成人も増えており、ベトナムのアオザイや中国のチャイナドレス、韓国の韓服などが会場を彩る光景が見られるようになりました。これは日本の伝統文化と多様な文化が共存する、新しい成人式の形を示しています。

豊島区の4割外国人成人式

豊島区も新成人の約38%が外国人という状況にあり、NPOと協力して外国籍の若者への周知活動を強化しています。文化的背景の違いや地域コミュニティとのつながりの薄さから、招待状を受け取っても参加しない外国籍の若者が多かったため、積極的な呼びかけを行っています。

豊島区では外国籍の新成人向けに振袖や袴の着付け体験を提供するプログラムも実施しました。フィリピン出身の留学生など15名が参加し、「地域の仲間として祝ってもらえて嬉しい」という声が聞かれました。このような取り組みは、外国籍の若者が地域社会の一員として受け入れられていることを実感する貴重な機会となっています。

参加要件と自治体の対応

成人式の参加要件は、基本的に住民票がある地域での参加となっており、国籍による制限は設けていない自治体がほとんどです。案内状は住民票上の住所に届けられるため、適切に住民登録を行っている外国籍の若者であれば、日本人と同様に招待を受けることができます。

ただし、在留資格の種類や在留期間によっては住民登録ができないケースもあり、すべての外国籍の若者が等しく成人式に参加できるわけではありません。また、文化的背景の違いから成人式という習慣自体を理解していない家族も多く、情報提供と理解促進が課題となっています。

日本語教育の拡充と若者の定着

ISI日本語学校の新校舎開校

2025年4月、東京・新宿に日本最大規模の日本語学校が開校しました。ISIランゲージスクール新宿校は、定員4,500人という巨大な施設で、14階建ての総合教育施設として、日本語教育だけでなく、大学・大学院受験対策、就職支援、寮・住居サポートまで提供しています。

このような大規模な日本語教育施設の開校は、日本が外国人材の受け入れと定着を本格的に進めていることの表れです。留学生として来日し、日本語を学び、日本の大学や専門学校に進学し、やがて日本で就職・定住するというライフコースが確立されつつあります。

留学生から社会人へのキャリアパス

東京都内では、2023年10月時点で約54万2,992人の外国人労働者が雇用されており、前年比8%増加しています。これは全国の外国人労働者の26.5%を占める数字です。外国人を雇用する事業所も79,707か所に達し、前年比4%増加しました。

多くの留学生が日本での就職を希望しており、ISI日本語学校のような教育機関はキャリア支援にも力を入れています。高田馬場キャリア校や渋谷原宿校など、就職に特化したコースを設ける日本語学校も増えています。日本で成人式を迎え、日本語でキャリアを築く外国籍の若者が今後さらに増加することが予想されます。

多文化共生社会への課題と展望

言語と文化の壁

外国籍の若者が日本社会に定着する上で、言語と文化の壁は依然として大きな課題です。成人式の招待状が届いても、日本語が十分に理解できず、参加方法がわからないケースもあります。また、成人式という文化そのものが母国にない場合、その意義を理解することが難しい場合もあります。

自治体によっては多言語での情報提供や、やさしい日本語での説明を行っていますが、すべての自治体で同様の対応ができているわけではありません。今後、外国籍住民の増加が予想される地域では、こうした配慮が標準的に必要となるでしょう。

地域コミュニティへの統合

成人式は単なる式典ではなく、地域コミュニティの一員として認められる重要な通過儀礼です。外国籍の若者が成人式に参加することは、彼らが地域社会に受け入れられ、帰属意識を持つ上で大きな意味を持ちます。

一方で、外国籍住民と地域住民との交流機会が少なく、相互理解が進んでいない地域も多く存在します。NPOや国際交流団体が仲介役となり、外国籍の若者と地域をつなぐ活動が各地で展開されていますが、さらなる拡充が求められています。

2030年には450万人超の予測

現在のペースで在留外国人が増加を続けた場合、2030年には450万人を超える可能性があると予測されています。これは日本の総人口の約3.6%に相当し、特に若年層では外国人の比率がさらに高くなることが予想されます。

2025年には団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)となり、生産年齢人口の減少が加速します。この労働力不足を補うため、外国人材の受け入れはさらに拡大することが確実視されています。今後、日本社会は好むと好まざるとにかかわらず、多文化共生を前提とした制度設計と社会システムの構築が必要となります。

まとめ

在留外国人が約396万人に達し、特に都市部では外国籍の若者が成人対象者の大きな割合を占めるようになった日本社会。新宿区や豊島区のように、成人式における多文化共生の実践は、これからの日本社会の縮図とも言えます。日本語教育の拡充、就労支援の強化、地域コミュニティへの統合支援など、外国籍の若者が日本社会で活躍できる環境づくりが急務です。

成人式で民族衣装や振袖を着た多様な若者たちが共に祝い合う光景は、排他的ではなく包摂的な、新しい日本社会の可能性を示しています。言語や文化の違いを超えて、地域の一員として共に成長し、社会を支える仲間として外国籍の若者を迎え入れることが、人口減少時代の日本に求められています。

2030年に向けて外国人材のさらなる増加が予測される中、多文化共生は理想論ではなく、現実的な社会政策として取り組むべき課題です。成人式はその第一歩として、次世代を担う若者たちが国籍を超えてつながる貴重な機会となるでしょう。

参考資料:

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