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by nicoxz

フランスが15歳未満のSNS禁止法案を可決、その全容

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はじめに

フランス国民議会(下院)は2026年1月27日、15歳未満の子どもによるSNS利用を禁止する法案を賛成130票、反対21票で可決しました。マクロン大統領は法案の早期成立を求めており、2026年9月の新学期に合わせた施行を目指しています。

子どもたちのメンタルヘルスへの影響やネットいじめの深刻化を背景に、世界各国でSNSの年齢制限強化が進んでいます。オーストラリアが2025年12月に16歳未満のSNS禁止を施行したのに続き、フランスが2カ国目となる見通しです。本記事では、法案の具体的な内容、年齢確認の仕組み、課題と展望を解説します。

法案の主な内容と対象範囲

禁止の対象と例外

今回の法案は、15歳未満の子どもがSNSを利用することを原則として禁止するものです。対象となるプラットフォームの具体的なリストは、フランスの視聴覚・デジタル通信規制機関(ARCOM)が決定する仕組みとなっています。

ただし、すべてのオンラインサービスが対象となるわけではありません。ウィキペディアなどの百科事典サイトや「教育用ディレクトリ」は例外として除外されます。また、ARCOMが「リスクが低い」と判断したプラットフォームについては、保護者の同意があれば15歳未満でも利用できる余地が残されています。

スマートフォン規制も同時に

注目すべきは、この法案がSNS禁止だけでなく、高校でのスマートフォン使用禁止も含んでいる点です。フランスでは2018年から中学校以下でのスマートフォン使用が禁止されていますが、今回の法案により高校にもその範囲が拡大されます。

既存アカウントへの対応

法案が成立した場合、SNSプラットフォーム事業者は2026年12月31日までに、年齢基準を満たさない既存アカウントを停止する義務を負います。新規登録の禁止だけでなく、すでに利用している子どものアカウントも対象となる包括的な措置です。

年齢確認の仕組みと実効性

検討されている確認方法

法案の実効性を左右する最大のポイントが年齢確認の仕組みです。フランスでは、2024年に施行されたポルノサイトへの年齢確認義務化の経験を踏まえ、主に2つの方法が検討されています。

1つ目は、身分証明書の写真とセルフィーを照合する方法です。ユーザーが国民IDカードの画像と自撮り写真を提出し、本人確認を行います。2つ目は、AIによる顔推定技術を使い、セルフィーから年齢を推測する方法です。

さらに、プライバシーに配慮した「ゼロ知識証明」的なアプローチも検討されています。これは、プラットフォームに対して名前や生年月日、身分証明書を開示することなく「15歳以上」か「15歳未満」かだけを証明する仕組みです。

EU全体での取り組み

年齢確認の技術的な仕組みについては、EU全体での標準化も進められています。EUは2025年7月にプラットフォーム事業者向けのガイドラインを発表し、デバイスに搭載された機能を活用した年齢確認を推奨しています。フランスの法案も、EU法に準拠した年齢確認方法の採用を義務付けています。

違反した場合の罰則

年齢確認の仕組みを実装しないプラットフォーム事業者には、世界総売上高の最大1%を上限とする罰金が科されます。なお、子どもやその家族に対する罰則は設けられていません。責任はあくまでプラットフォーム事業者側にあるという考え方です。

オーストラリアの先行事例から見える課題

世界初の取り組みとその成果

オーストラリアは2025年12月10日、世界に先駆けて16歳未満のSNS利用を禁止する法律を施行しました。対象となるプラットフォームにはFacebook、Instagram、TikTok、X、Snapchat、YouTube、Redditなどが含まれています。

施行から約1カ月で、Metaだけでも50万件以上の未成年アカウントをブロックしたと報告されています。違反した事業者には最大4,950万豪ドル(約49億円)の罰金が科される厳格な制度です。

浮上した課題

しかし、課題も明らかになっています。一部の10代の若者は、VPNの利用や年齢詐称などの方法で規制を回避しているとの報告があります。また、Redditが高等裁判所で法的異議を申し立てるなど、プラットフォーム側からの法的挑戦も始まっています。

フランスも同様の課題に直面する可能性があります。特に、EU域内の他国との協調や、国境を越えたプラットフォーム運営との整合性が問われます。

各国に広がるSNS規制の動き

欧州での動向

フランスの法案可決を受け、欧州では未成年のSNS規制がさらに加速する見通しです。ギリシャ、スペイン、デンマーク、アイルランド、イギリスなどが同様の規制を検討しています。欧州議会は2025年11月に、SNSの最低年齢を16歳とし、13歳から15歳は保護者の同意を条件とする決議を採択しています(拘束力なし)。

世論の支持

フランスの世論調査では、国民の73%が15歳未満のSNS禁止を支持しています。マクロン大統領は法案可決後、「15歳未満のSNS禁止は科学者が推奨し、フランス国民が圧倒的に求めていることだ」と述べました。

注意点・展望

プライバシーとの両立

年齢確認の厳格化は、すべてのユーザーの個人情報収集につながるリスクがあります。一部の批判者は「年齢確認を名目に、政府とEUがすべてのSNSユーザーの身元を確認する権限を得ることで、監視国家への道を歩みかねない」と警告しています。

2023年の教訓

フランスは2023年にも同様のSNS規制を試みましたが、EUのデジタルサービス法(DSA)に適合しないとして裁判所に退けられた経験があります。2025年にDSAのガイドラインが緩和されたことで、各国政府により大きな裁量が認められるようになりました。今回の法案はこの変更を踏まえたものです。

今後のスケジュール

法案は今後、上院(元老院)での審議に移ります。マクロン大統領は審議の前倒しを求めており、9月の新学期に間に合わせる方針です。上院を通過した後、再び下院での最終採決が必要となります。

まとめ

フランスの15歳未満SNS禁止法案は、オーストラリアに続く世界2例目の包括的な未成年SNS規制として注目を集めています。プラットフォーム事業者に年齢確認を義務付け、既存アカウントの停止まで求める踏み込んだ内容です。

年齢確認の技術的な実効性やプライバシーとの両立、EU法との整合性など課題は残りますが、子どものメンタルヘルス保護という明確な目的のもと、各国の規制強化の流れは今後も続く見通しです。日本においても、こうした国際的な動向を注視しながら、未成年のSNS利用に関する議論を深めていく必要があります。

参考資料:

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