ゴルフ会員権5年連続上昇、避暑地の山梨が人気
はじめに
関東圏のゴルフ会員権の平均価格が2025年に5年連続で値上がりしました。新型コロナウイルス禍を機に再燃したゴルフ人気が継続し、法人の接待需要も回復しています。
特に注目すべきは、都県別で山梨県が上昇率トップとなったことです。2025年夏は記録的な猛暑となり、標高の高い涼しいゴルフ場への需要が急増しました。2026年1月以降も、早くも夏の猛暑を見越した「避暑地買い」が入っています。本記事では、ゴルフ会員権市場の現状と、高原コースが人気を集める背景について詳しく解説します。
5年連続の価格上昇
関東圏の会員権相場
関東ゴルフ会員権取引業協同組合(東京・千代田)がまとめた2025年12月時点のデータによると、関東圏のゴルフ会員権の平均価格は5年連続で上昇しました。全国平均は111万円台で推移しており、前月比でも微増傾向が続いています。
東京都の会員権は1022万円台と高価格帯を維持しています。ハイエンドコースを中心に一部で上値が重くなっているものの、依然として高水準です。茨城県は227万円台で続伸、千葉県は234万円台でやや軟化という状況です。
価格上昇の要因
価格上昇の背景には複数の要因があります。まず、コロナ禍以降に定着した30代〜40代のゴルファーが、ビジター予約の困難さに辟易し、会員権市場へ大量に流入しています。
また、法人需要の復活も大きな要因です。企業の内部留保を背景に、接待や福利厚生目的での「名門回帰」が進んでいます。さらに、インフレ環境下でプレー権という実利を伴う会員権が「遊べる資産」として選好される傾向も見られます。
山梨県が上昇率トップの理由
記録的猛暑と避暑地ゴルフ
2025年夏の日本は記録的な猛暑に見舞われました。夏(6〜8月)の平均気温偏差は+2.36℃となり、1898年の統計開始以来、最も暑い夏となりました。8月5日には群馬県伊勢崎市で41.8℃を記録し、国内最高気温を更新しています。
こうした猛暑の中、標高の高い山梨県のゴルフ場への関心が急上昇しました。標高1000メートルを超えると体感気温は6〜7度下がると言われており、真夏でも快適にプレーできる環境が評価されています。
山梨県の人気コース
山梨県には標高の高いゴルフ場が多く、ランキングベスト10のゴルフ場はすべて1000メートル以上に位置しています。八ヶ岳南麓に2コース、富士山麓に7コースが展開されています。
富士クラシックは標高1200メートルに位置し、全ホールから富士山を間近に望めます。富士レイクサイドカントリー倶楽部は標高1000メートルで、山梨県初のメンバーシップコースとして60年以上の歴史を持つ名門です。
河口湖地域は標高800メートル前後と高く、夏の避暑地としても有名です。涼しい気候なのでゴルフなどのスポーツに最適で、暑い夏でも快適にプレーできます。
先取りの「避暑地買い」
1月以降も2026年の猛暑を見越した「避暑地買い」が続いています。気象庁の発表を受け、今後も猛暑傾向が続くと予想されることから、標高の高いコースの会員権を早めに確保しようという動きが活発化しています。
コロナ禍後のゴルフブーム
若者ゴルファーの増加
新型コロナウイルス禍では、屋外でソーシャルディスタンスを保ちながら楽しめるスポーツとしてゴルフが注目されました。笹川スポーツ財団の調査(2024年6〜7月実施)によると、20歳以上でゴルフを年1回以上実施した人口は912万人(男性732万人、女性159万人)と推計されています。
特筆すべきは若年層の増加です。20歳代の実施率は2022年から4.0ポイント増加しており、他の年代と比べて変化が大きくなっています。女性の20歳代はこれまでの調査で最も高い実施率を示しました。
有名人のゴルフ動画も後押し
ゴルフ人気の要因の一つに、有名人によるゴルフ動画の増加があります。YouTubeなどで芸能人やプロゴルファーがゴルフを楽しむ様子が配信され、若い世代や女性の興味を引き付けています。
リモートワークの普及により平日ゴルフを楽しむ人も増加しており、ゴルフ場の稼働率向上に貢献しています。
年会費値上げという逆風
2026年は過去最多の値上げ
一方で、会員権市場には逆風も吹いています。2026年から年会費を値上げするゴルフ場が211カ所と過去最多になることが判明しました。物価高や人件費上昇を価格に転嫁する動きが広がっています。
年明け以降の会費負担増加を敬遠するゴルファーによる売りもあり、会員権相場は2カ月連続で下落した時期もありました。
名義書換料も上昇
名義書換料についても、2025年中にアコーディア・ゴルフやPGMなどの大手を含む多くのコースで、1.5倍〜2倍(例:55万円→110万円)に改定されました。取得時の初期費用が増加することで、新規購入のハードルが上がっています。
注意点・今後の展望
2025年問題への対応
ゴルフ業界は「2025年問題」に直面しています。団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、これまでゴルフ業界を支えてきた世代がプレーできなくなる可能性が高まっています。
「レジャー白書2025」によると、2024年のゴルフ(コース)参加人口は480万人と前年比9.4%減少しました。シニア層の減少を若年層の参入でどこまでカバーできるかが今後の課題です。
インドアゴルフの成長
急成長しているのがインドアゴルフ市場です。屋外のゴルフ練習場は全国で2322件と前年比42件減少している一方、インドアゴルフ練習場は1518件と前年比196件増加しています。
天候に左右されず、都市部でも気軽に練習できるインドアゴルフは、若年層の取り込みに貢献しています。
まとめ
関東圏のゴルフ会員権価格は5年連続で上昇し、コロナ禍後のゴルフブームが継続していることを示しています。2025年夏の記録的猛暑を受けて、標高の高い山梨県のコースが「避暑地買い」の対象となり、上昇率トップを記録しました。
若年層のゴルフ参入が増加している一方、シニア層の減少や年会費値上げといった課題もあります。今後の会員権市場は、猛暑対策としての高原コース人気と、世代交代に伴う需給バランスの変化という2つの要因に左右されそうです。
参考資料:
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