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by nicoxz

インド株から海外マネー流出、AI銘柄不在が足かせに

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はじめに

インド株式市場から海外投資家の資金流出が止まりません。2025年に続き、2026年1月も外国機関投資家(FII)は売り越しを継続しており、主要株価指数SENSEXは2024年9月につけた最高値の更新が遠のいています。

インド経済は6.5%を超える成長率を維持し、マクロ経済指標も比較的健全です。しかし、世界的なAIブームの恩恵を受けられる銘柄が乏しいことが、海外マネーを引き付けられない構造的な弱点として浮き彫りになっています。本記事では、インド株低迷の背景と今後の見通しを解説します。

海外投資家の売り越しが続く背景

1月だけで2.2兆円超の流出

2026年1月の状況は深刻です。1月前半だけで外国機関投資家は2兆2,529億ルピー(約3,700億円)を売り越しました。この売り越しはほぼ毎日続いており、例外は1日のみという異例の状況です。

1月20日にはSENSEXが前日比1,065ポイント(約1.3%)下落し、82,180で取引を終えました。この日だけで投資家が失った時価総額は約9兆ルピー(約15兆円)に達しています。外国ポートフォリオ投資家は1月20日も326億ルピー相当のインド株を売却しており、10営業日連続の売り越しとなりました。

2025年からの継続的な資金流出

この流れは2025年から続いています。2025年度(2024年4月〜2025年3月)には、FIIが1兆2,700億ルピー(約2.1兆円)の利益確定売りを実行しました。一方で国内機関投資家(DII)は6兆600億ルピー(約10兆円)を買い越し、市場を下支えしてきました。

しかし、これまでインド株の下値を支えてきた個人投資家の買い意欲も弱まっています。海外勢の売りに加え、国内の買い支えも力を失いつつあることが、市場の重しとなっています。

「AI・テック不在」という構造的弱点

世界のAIブームから取り残されるインド市場

インド株低迷の根本的な原因は、世界的なAI投資ブームの恩恵を受けにくい市場構造にあります。

2025年初頭から2026年初頭にかけて、インドのNifty50指数は約11%のリターンを記録しました。一桁台後半から二桁の上昇は悪くない数字に見えますが、他の主要市場と比較すると見劣りします。韓国のKOSPIは84%、日本の日経平均は30%、中国の上海総合指数は18%上昇しました。

テクノロジーセクターが牽引する米国市場も好調で、Nasdaq指数は21%、S&P500指数は17%のリターンを達成しています。ブラジルのBovespa指数も34%近く上昇しました。

中東マネーの投資先シフト

特に注目すべきは、これまでインド株の重要な買い手だった中東の投資家の動向です。中東の政府系ファンドなどはAI関連銘柄や資源株に投資をシフトしており、「ゴルディロックス(適温)相場」のインド株では十分なリターンが得られないと判断しています。

インドにもAI関連銘柄は存在します。Tata Elxsi、Infosys、TCS(タタ・コンサルタンシー・サービシズ)などのIT大手はAI事業を展開しています。しかし、NVIDIAやMicrosoft、Metaのような「純粋なAIプレイ」と呼べる銘柄は限られており、AIブームによる急激な株価上昇の恩恵を受けにくい構造となっています。

インド市場を取り巻く複合的な課題

バリュエーションと金利差の問題

海外投資家がインド株から離れるもう一つの理由は、バリュエーション(株価評価)と金利環境の変化です。

米国の長期金利が高止まりする中、インド株の益回り(1株当たり利益÷株価)と米国債利回りの差が縮小しています。FIIにとって、リスクを取ってインド株に投資するメリットが薄れているのです。

また、企業業績の伸び悩みも懸念材料です。期待を下回る決算発表が続いており、「高いバリュエーションに見合う成長が実現できていない」との見方が広がっています。

外部環境の悪化

2026年1月の売りを加速させた要因として、米国の関税政策があります。トランプ政権がインドからの輸入品に追加関税を課す可能性を示唆したことで、投資家のリスク回避姿勢が強まりました。

また、ルピー安の進行も海外投資家のリターンを圧迫しています。株価が横ばいでも、ドル建てで見るとマイナスリターンになるケースが増えており、これが売り越しを誘発する一因となっています。

今後の見通しと注意点

2026年後半以降の回復シナリオ

悲観的な見方ばかりではありません。多くのグローバル証券会社は、2026年のSENSEXについて90,000〜107,000のレンジを予想しています。Morgan StanleyやJefferiesは、企業業績の回復、米国の利下げ、海外資金流出の緩和を前提に楽観的な見通しを維持しています。

FIIがインド市場に戻るための条件として、専門家は以下の点を挙げています。

  • 印米貿易交渉の進展
  • ルピーの安定化
  • 世界的な金利環境の明確化
  • 企業業績の回復

投資家が注意すべきポイント

インド株への投資を検討する際は、以下の点に注意が必要です。

まず、短期的なボラティリティの高さです。海外投資家の売買動向に左右されやすく、急激な値動きが続く可能性があります。

次に、セクター選択の重要性です。IT・ソフトウェア、金融、消費財など、インドの成長ストーリーの恩恵を受けやすいセクターを選別する視点が求められます。

最後に、ドル円とルピーの為替動向です。日本からの投資の場合、円建てリターンは為替変動の影響を大きく受けます。

まとめ

インド株市場は、AI・テクノロジー銘柄の不在という構造的な弱点を抱えながら、海外投資家の資金流出に直面しています。「適温相場」だけでは世界のマネーを引き付けられないという現実が浮き彫りになりました。

しかし、インド経済のファンダメンタルズは依然として健全です。6.5%を超える成長率、安定したインフレ、十分な外貨準備は、中長期的な投資先としての魅力を支えています。

2026年後半に向けて、米印貿易交渉の進展や企業業績の回復が実現すれば、海外投資家の回帰も期待できます。短期的な値動きに一喜一憂せず、インドの成長ストーリーを見据えた投資判断が重要となるでしょう。

参考資料:

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