2026年衆院選で何が変わる?与野党の攻防と政局シナリオ
はじめに
2026年1月27日、第51回衆議院議員総選挙が公示されました。2月8日の投開票に向けた12日間の選挙戦がスタートし、日本の政治は新たな局面を迎えています。
今回の選挙は、これまでとは大きく異なる構図で行われます。約26年間続いた自公連立が解消され、自民党と日本維新の会の連立与党に対し、立憲民主党と公明党が合流した新党「中道改革連合」が挑むという二大勢力の対決となりました。
本記事では、2026年衆院選の背景と各シナリオ、そして選挙結果が政策に与える影響について解説します。
選挙の背景と新たな政治構図
国会冒頭解散という決断
高市早苗首相は2026年1月23日、通常国会の召集当日に衆議院を解散しました。具体的な審議を行わないまま解散に踏み切る「冒頭解散」は、臨時国会を含めて過去5回目となります。
解散から投開票までの期間は16日間で、戦後最短となる見込みです。2021年の岸田政権時の17日間を下回る超短期決戦となりました。
なぜ高市首相は、予算審議を行わずに解散を選んだのでしょうか。背景には、首相個人の高い支持率を活かしたいという思惑があります。2025年12月の読売新聞世論調査では、高市内閣の支持率が73%だったのに対し、自民党の支持率は30%にとどまっていました。党と首相の人気に差がある今こそ、選挙を行うべきだという判断です。
自公連立の終焉と中道改革連合の誕生
今回の選挙で最も注目すべきは、政治構図の激変です。2025年10月、公明党は企業・団体献金の規制強化をめぐって自民党と折り合えず、約26年続いた連立を解消しました。
その後、公明党は立憲民主党と接近し、2026年1月に両党の衆議院議員が参加する新党「中道改革連合」を結成しました。野田佳彦元首相と斉藤鉄夫公明党代表が共同代表を務めます。
選挙協力の仕組みも明確です。公明党は4つの小選挙区から全て撤退して比例に専念し、その代わりに小選挙区では立憲民主党候補を支援します。公明党の票は1選挙区あたり2万票程度とされ、この協力が実現すれば、自民党にとって大きな打撃となります。
時事通信の試算によると、各選挙区で公明支持層の1万票が自民党候補から立憲民主党候補に流れた場合、35選挙区で当落が入れ替わり、小選挙区の勝敗が逆転する可能性があります。
選挙の4つのシナリオ
シナリオ1:自民党単独過半数
自民党が単独で過半数(233議席)を確保するケースです。公示前の議席数は198であり、37議席の上積みが必要です。
このシナリオが実現すれば、高市首相の求心力は大幅に高まります。看板政策である「責任ある積極財政」を推進しやすくなり、食料品の消費税2年間ゼロなど大胆な経済政策にも取り組みやすくなります。
ただし、公明党との選挙協力を失った状態での単独過半数達成は、ハードルが高いとの見方が多いです。
シナリオ2:与党(自民+維新)で過半数
自民党と日本維新の会を合わせて過半数を確保するケースです。公示前の議席数は自民198、維新34で合計232と、過半数まであと1議席でした。
高市首相は「自民党と維新で過半数を取らせてほしい」と訴えており、これが与党の基本的な勝敗ラインとなっています。達成すれば高市政権は継続しますが、維新への配慮が必要となり、政策の自由度はやや制約される可能性があります。
シナリオ3:与党過半数割れ・中道改革連合が第一党
与党が過半数を割り込み、中道改革連合が比較第一党となるケースです。公示前の中道改革連合の議席数は172で、自民党を上回るには相当な躍進が必要です。
このシナリオでは、高市首相は公約通り即刻退陣することになります。自民党は新たな総裁選を行い、臨時国会で首班指名選挙を実施します。政局は大きく流動化し、連立の枠組みが再編される可能性もあります。
シナリオ4:勢力拮抗・混迷
与党と野党の議席が拮抗し、どちらも過半数に達しないケースです。首班指名選挙の行方が不透明となり、政局が混迷する可能性があります。
この場合、各党の政策立場の違いが障壁となります。消費税の取り扱い、安全保障政策、外国人政策などで、野党間の主張には大きな開きがあります。一枚岩となるハードルは決して低くありません。
主要争点と各党の主張
消費税減税
今回の選挙で最大の争点となっているのが消費税政策です。高市政権は食料品の消費税を2年間ゼロにする方針を掲げ、選挙後に開く「国民会議」で検討を加速するとしています。
野党側も多くが消費税減税を主張しており、チームみらい以外の10党が減税や廃止を公約に掲げています。ただし、減税幅や期間、対象品目については各党で違いがあります。
物価高対策
長引く物価高は国民生活を圧迫しており、昨年の参院選に続いて今回も重要な争点です。ガソリン価格の高騰対策や食料品価格への対応など、具体策が問われています。
国民民主党の玉木代表は「ガソリンの暫定税率廃止」や「年収の壁を178万円まで引き上げ」などの実績をアピールしています。
外国人政策
高市内閣は衆議院解散日に外国人政策の新方針を発表し、永住権や国籍の取得要件厳格化を打ち出しました。保守層へのアピールを意識した政策です。
維新の藤田共同代表は「外国人政策は感情論ではなく、論理と実務能力で解決すべき」と述べ、高市政権の取り組みを評価しています。
選挙結果が政策に与える影響
財政政策への影響
選挙結果は財政政策に大きな影響を与えます。与党が勝利すれば、高市首相が掲げる「責任ある積極財政」が推進されます。消費税減税と財政出動を組み合わせた経済政策が本格化するでしょう。
一方、野党が躍進すれば、財政政策の方向性は不透明になります。各党の主張には違いがあり、政策調整に時間がかかる可能性があります。
金融市場への影響
政局の不安定化は金融市場にマイナスの影響を与えるとの見方があります。与党過半数割れの場合、政策の先行き不透明感から、株価下落や円安が進む可能性があります。
ただし、新しい政治への期待がプラスに働く可能性もあります。政策転換によって経済の停滞を打破できるとの期待が高まれば、市場にポジティブな影響を与えることも考えられます。
外交・安全保障への影響
高市首相は外交・安全保障政策で保守的な姿勢を示してきました。与党が勝利すれば、この路線が継続されます。
中道改革連合が躍進した場合、安全保障政策に変化が生じる可能性があります。立憲民主党は従来、安全保障法制の一部廃止を主張してきましたが、公明党との合流に伴い、この立場を見直す可能性もあるとされています。
まとめ
2026年衆院選は、自公連立の終焉と中道改革連合の誕生という、約30年ぶりの政界再編の中で行われる歴史的な選挙です。与党過半数の可否が最大の焦点となり、その結果によって日本の政策の方向性が大きく変わる可能性があります。
有権者にとっては、消費税減税や物価高対策といった目先の政策だけでなく、どのような政治の枠組みを望むのかを考える機会となります。2月8日の投開票に向けて、各党の主張を冷静に見極めることが重要です。
参考資料:
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