衆院選で浮上する「高市カラー」争点とは何か
はじめに
2026年1月23日、通常国会召集と同時に衆議院が解散され、2月8日投開票の衆院選に突入しました。今回の選挙では、高市早苗首相の政策姿勢、いわゆる「高市カラー」が大きな争点となっています。
自民党と日本維新の会による連立政権が推進する旧姓通称使用の法制化に対し、立憲民主党と公明党が結成した新党「中道改革連合」は選択的夫婦別姓の導入を主張。皇室典範改正や働き方改革についても、保守路線とリベラル路線の対立が鮮明になっています。
この記事では、衆院選で問われる「高市カラー」の具体的な中身と、各党の立場の違いを整理します。
最大の争点:夫婦の姓をめぐる対立
自民党・維新が推す「旧姓通称使用」の法制化
高市首相は選択的夫婦別姓に一貫して反対の立場をとっています。2025年10月の連立政権発足時に結ばれた自民党・維新の合意書では、「夫婦同姓の原則を維持しつつ、旧姓の通称使用を法制化する」方針が明記されました。
具体的な法案は高市首相の私案をベースとしており、住民票に旧姓を記載して通称として使用できるようにし、国や地方自治体、事業者に対して旧姓使用のための措置を講じるよう求める内容となっています。
高市首相自身も、2004年の結婚時に戸籍上は夫の姓に変更しながら、政治活動では旧姓「高市」を通称として使用してきた経験があります。その後2017年に離婚し、2021年の再婚時には夫が「高市」姓に改姓しています。
中道改革連合が掲げる「選択的夫婦別姓」
1月22日に結党大会を開いた中道改革連合は、選択的夫婦別姓の実現を公約に盛り込みました。立憲民主党から144人、公明党から21人の計165人の国会議員が所属する新党は、「分断や対立をあおる政治から、協調と包摂の政治へ」を掲げています。
野田佳彦共同代表は新党結成の背景について、「高市政権の下で政治が右に傾く中、公明党が連立を解消したことは大きな転機だ。中道勢力が政治のど真ん中に位置づけられるチャンスが来ている」と発言しています。
両案のメリット・デメリット
旧姓通称使用の法制化については、戸籍制度を維持しながら不便を解消できるという支持意見がある一方、批判も出ています。一般社団法人「あすには」の井田奈穂代表理事は、「2つ以上の名前に法的効力を与えることで、脱税やマネーロンダリングの問題が発生する可能性がある」と指摘。また、「企業や行政が2つ以上の名前を使い分けるためのシステム改修に莫大なコストがかかる」と懸念を示しています。
選択的夫婦別姓についても、戸籍制度との整合性や家族の一体感への影響を懸念する声があり、長年にわたり議論が続いています。
皇室典範改正への姿勢
保守派が主張する男系男子継承
皇位継承問題をめぐっては、自民党・維新を中心とする保守派が「男系男子継承」の維持を主張しています。日本保守党は「皇室典範を改正し、宮家と旧宮家との間の養子縁組を可能にする」方針を公約に掲げています。
現在の国会協議でも、女性天皇・女系天皇の議論は回避され、①女性皇族が結婚後も皇族の身分を保持する②旧宮家の男系男子を養子縁組で皇室に迎える、の2案が検討対象となっています。
野党側の女性・女系天皇容認論
立憲民主党は女性天皇・女系天皇を認め、皇位継承順は男女の別にかかわらず天皇直系の長子を優先するという論点整理を発表しています。女性宮家の創設も必要と訴えています。
国民民主党は男系の女性天皇は容認する一方、女系天皇は「今後の論点」として態度を留保しています。
世論との乖離
世論調査では、天皇家の長女・愛子さまを想定した「女性天皇」に8割の支持が集まっています。しかし国会では「男系男子」論が主流となっており、国民の意識と政治の議論に大きな差異が生じています。
働き方改革の方向性
高市政権の規制緩和路線
高市政権は、2019年に施行された働き方改革関連法で設けられた残業時間の上限規制について、緩和の方向性を示唆しています。これに対し、日本共産党などは「断固反対」の姿勢を表明しています。
2024年4月から建設業、物流業、医師にも適用が始まった残業上限規制は、いわゆる「2024年問題」として社会的関心を集めました。高市政権の規制緩和方針は、人手不足への対応と労働者保護のバランスをどう取るかという論点を提起しています。
各党の立場
この問題についても、与野党で温度差があります。自民党・維新は経済界の要望を踏まえた柔軟な対応を志向する一方、野党側は労働者保護の観点から規制維持を主張する傾向があります。
注意点・今後の展望
政策論争の深化に課題
今回の衆院選は通常国会冒頭での解散という異例の展開となり、選挙戦は短期決戦の様相を呈しています。そのため、個別政策の十分な議論が行われないまま投票日を迎える可能性があります。
朝日新聞の世論調査では、中道改革連合が高市政権に対抗できる勢力になると「思わない」が69%を占め、「なる」は20%にとどまりました。新党の認知度向上と政策浸透が課題となっています。
選挙後の政局
選挙結果次第では、自民党・維新の連立政権が継続するか、野党勢力による政権交代が実現するか、あるいは連立の組み替えが起きるかなど、複数のシナリオが考えられます。国民民主党は自民党側・中道改革連合側の両方と距離を置き、選挙後の「部分連合」継続に含みを持たせています。
まとめ
2026年衆院選では、高市首相の政策姿勢である「高市カラー」が争点となっています。旧姓通称使用か選択的夫婦別姓か、皇室典範改正への対応、働き方改革の方向性など、保守とリベラルの対立軸が明確になっています。
有権者は各党の公約を比較し、自分の価値観や生活に関わる政策を見極めることが求められます。2月8日の投開票に向けて、政策論争がより深まることが期待されます。
参考資料:
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