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by nicoxz

「自民過半数」織り込む株高・円安の死角と債券市場の警戒

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はじめに

2026年1月、日本の金融市場では株高・円安・債券安が同時進行する「高市トレード」が活況を呈しています。高市早苗首相の内閣支持率が70%台後半と極めて高い水準を維持する中、2月8日にも投開票が見込まれる衆議院選挙で自民党が単独過半数を回復するとの期待が市場に織り込まれています。

しかし、この楽観シナリオには複数のリスクが潜んでいます。立憲民主党と公明党が新党「中道改革連合」を結成するなど政治環境が変化しており、選挙結果次第では株高の反動が大きくなる可能性があります。また、債券市場では各党が公約として検討する消費税減税論への警戒感が強まり、長期金利は27年ぶりの高水準に達しています。

株式市場:「高市トレード」で記録更新

日経平均が史上最高値を更新

1月14日、日経平均株価は54,341円まで上昇し、史上最高値を更新しました。年初来の上昇率は約8%に達し、このうち4.6%は1月8日に早期解散の観測が高まって以降の上昇です。

この「高市トレード」は、高い内閣支持率を背景に自民党が選挙で議席を増やし、政策実行力が向上するとの期待に基づいています。高市首相が掲げる積極財政・金融緩和路線への期待から、輸出企業を中心に株価が押し上げられています。

過去の選挙と株価のアノマリー

過去の衆議院選挙を振り返ると、1990年以降に行われた12回の選挙のうち10回で、解散から投票日までの期間にTOPIX(東証株価指数)が上昇しています。「選挙は買い」というアノマリーが市場で意識されており、短期的な株価上昇を後押ししています。

野村證券のアナリストは、高市政権が選挙で政権基盤を強化できれば、「サナエノミクス」と呼ばれる経済政策への期待から株式市場にはポジティブな展開になると分析しています。

選挙結果別の4つのシナリオ

市場では選挙結果に応じて4つのシナリオが想定されています。

  1. 自民圧勝:政策実行力への期待から株価は続伸
  2. 自民過半数回復:現状維持で市場は安定
  3. 自民過半数割れ:政策停滞懸念から反落
  4. 野党躍進:財政規律への懸念と政策不透明感から大幅下落

現在の市場は「自民過半数回復」以上のシナリオを織り込んでおり、選挙結果がこれを下回れば反動が生じるリスクがあります。

為替市場:円安進行と介入リスク

ドル円159円台へ

円相場は2024年7月以来の安値水準となる159円台まで下落しました。高市首相の積極財政・金融緩和路線への期待が円売りを促進しています。

輸出企業にとって円安は収益押し上げ要因ですが、過度な円安は輸入物価の上昇を通じてインフレを加速させるリスクがあります。野村総合研究所のエコノミストは「さらなる円安は経済悪化への懸念を高め、株価にも悪影響を及ぼす可能性がある」と指摘しています。

財務省の介入警戒

160円を超える水準では、財務省・日銀による為替介入の可能性が意識されています。2024年に実施された介入の経験から、市場参加者は介入水準を注視しています。

債券市場:27年ぶりの高金利と財政懸念

長期金利2.19%に到達

日本の10年国債利回りは2.19%に達し、1999年以来27年ぶりの高水準となりました。30年債利回りも3.51%と過去最高を記録しています。

金利上昇の主因は日銀の利上げ観測ですが、直近1〜2ヶ月の上昇には財政要因も大きく影響しています。高市政権の財政拡張志向と、選挙を前にした消費税減税議論が市場の警戒を招いています。

消費税減税論への警戒

与野党ともに消費税減税を選挙公約として検討しており、債券市場ではこれを「日本版トラス・ショック」のリスクとして警戒する声が上がっています。

2022年9月、英国のリズ・トラス首相が大型減税を掲げて就任した際、市場は英国債を急落させ、ポンドは暴落しました。トラス首相は就任からわずか1ヶ月半で辞任に追い込まれました。日本でも財源なき減税が市場の信認を失えば、同様のシナリオが起こりかねないとの懸念があります。

過去最大の予算と膨らむ債務

高市政権は2026年度予算として過去最大の約122.3兆円(前年度比6.3%増)を編成しました。日本の政府債務はGDPの2倍に達し、主要国で最悪の水準です。

金利上昇に伴い、国債の利払い費は政府支出全体の4分の1を超えています。日銀がさらに金利を引き上げれば、この負担はさらに増加する見通しです。

政治環境の変化:立憲・公明新党結成

「中道改革連合」の誕生

1月15日、立憲民主党と公明党は新党結成で合意し、翌16日に「中道改革連合」(略称:中道)の結成を発表しました。野田佳彦・立憲代表と斉藤鉄夫・公明代表が共同代表に就任する予定です。

新党は比例代表で統一名簿を作成し、小選挙区でも相互支援を行う方針です。立憲の衆院議員148人と公明の24人が合流すれば172人規模となり、自民党の196人に迫る勢力となります。

26年間の自公連立に終止符

1999年から続いた自民・公明連立は、2025年10月の高市政権誕生とともに解消されました。公明党は自民党の右傾化を理由に連立を離脱し、立憲民主党との合流に舵を切りました。

斉藤代表は「右傾化が進む政治状況の中、中道主義の大きなかたまりをつくる」と語り、高市政権への対抗軸を鮮明にしています。

選挙への影響

新党結成により、これまで自民党候補を支援してきた公明党の組織票の行方が注目されています。特に都市部の選挙区では、公明票の移動が結果を左右する可能性があります。

注意点・今後の展望

「高市トレード」の持続性

現在の株高・円安は、選挙での自民党勝利を前提としています。しかし、立憲・公明新党の結成、国民民主党の動向、無党派層の投票行動など、不確定要素は少なくありません。

選挙結果が市場の期待を下回れば、株価は急落し、円は買い戻される可能性があります。特に自民党が過半数を割り込んだ場合、政策の不透明感から売りが加速する恐れがあります。

日銀の金融政策

日銀は1月に政策金利を0.75%に引き上げ、今後も段階的な利上げを継続する姿勢を示しています。元日銀審議委員の安達誠司氏は、最終的に金利が1.5%まで上昇する可能性を指摘しています。

金利上昇は財政負担を増加させ、株式市場にも逆風となる可能性があります。2026年は「金利上昇と株高の両立」が試される年となりそうです。

選挙後の政策課題

選挙結果にかかわらず、日本は巨額の政府債務、少子高齢化、社会保障費の増大という構造的な課題を抱えています。消費税減税は短期的には支持を集めやすいものの、財源の裏付けがなければ市場の信認を失うリスクがあります。

まとめ

日本の金融市場は、高市首相の高支持率と自民党の選挙勝利期待を織り込んで、株高・円安・債券安が進行しています。しかし、この「高市トレード」には選挙結果次第で反転するリスクが潜んでいます。

立憲・公明新党の結成で政治環境は変化しており、接戦や野党躍進となれば市場の反動は大きくなる可能性があります。また、債券市場では消費税減税論への警戒から27年ぶりの高金利水準となっており、財政健全化と経済成長の両立が問われています。1月27日公示、2月8日投開票と見込まれる衆議院選挙の結果が、2026年の日本経済の行方を左右することになります。

参考資料:

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