日本企業の出社回帰が加速、テレワーク率15%台に低下

by nicoxz

はじめに

コロナ禍で急速に普及したテレワーク・リモートワークが、大きな転換期を迎えています。国土交通省の2025年3月調査によると、日本のテレワーク実施率は15.6%まで低下しました。2021年の緊急事態宣言期に30%を超えていたことを考えると、出社回帰が着実に進んでいます。

LINEヤフー、アクセンチュア、アマゾンジャパンなど大手企業が相次いで出社を義務化する中、従業員の7割超は「週3日以下の出社」を希望しており、企業と従業員の間に意識の乖離が生じています。

本記事では、日本企業の出社回帰の現状、企業と従業員の意識差、そして今後の働き方の展望について解説します。

出社回帰の現状

テレワーク実施率の低下

Gartnerが2025年4月に実施した調査によると、「リモートワークをまったく実施していない」企業は22.6%に達しました。コロナ禍中(2020年4月〜2022年)の12.6%から大幅に増加しています。

「全社員の50〜80%程度がリモートワークを実施」している企業は、約半数(49.3%)から32.3%へと減少しました。

週5日出社が最多

Job総研の2025年1月調査によると、2025年の出社頻度でもっとも多いのは「週5日出社」の37.6%でした。「週4日出社」14.2%、「週3日出社」12.6%、「週1日出社」12.4%と続き、「フルリモート」は8.7%にとどまっています。

主要企業の動き

LINEヤフーは2024年12月にフルリモート勤務の廃止を発表し、2025年4月からカンパニー部門の従業員に原則週1回、開発部門やコーポレート部門には原則月1回の出社を求めています。

アクセンチュアは、従来の週3日のオフィス出社ルールを2025年6月以降「週5日」に変更。アマゾンジャパンもアメリカ本社の方針に従い、週5日出社をルール化しています。

出社回帰の理由

対面コミュニケーションの再評価

出社回帰の主な理由は、コロナ禍を経て対面コミュニケーションの価値が再評価されたことにあります。偶発的な会話から生まれるアイデア、チームの一体感、若手社員の育成など、対面でしか得られない価値が認識されています。

組織文化の維持

リモートワークが長期化する中で、組織文化の希薄化を懸念する声が強まりました。新入社員が会社の文化を肌で感じる機会が減り、帰属意識の低下が課題となっています。

創造性・イノベーションの促進

ブレインストーミングや即興的なディスカッションなど、創造性を発揮する場面では対面の方が効果的との見方があります。イノベーションを生み出すには、物理的な近接性が重要との認識です。

従業員の希望との乖離

7割超がリモート志向

Job総研が2025年に実施した調査では、「週3日以下の出社を望む」従業員が全体の7割超に達しました。完全出社を希望する割合はわずか2割程度です。

企業の方針と従業員の希望の間に、大きな乖離が生じています。

世代間の意識差

世代別では傾向が異なります。20〜30代は「時間の自由度」を重視しリモート志向が強い一方、40〜50代は「部下の顔を直接見たい」といった理由から出社を支持する割合が高くなっています。

管理職と若手社員の間で、働き方に対する価値観が異なる状況です。

人材獲得への影響

出社回帰は人材獲得にも影響します。求職者の間ではリモートワーク可能な職場への関心が依然として高く、完全出社を求める企業は採用で不利になる可能性があります。

ハイブリッドワークの実態

大企業では87%が導入

サイオステクノロジーの2025年2月調査によれば、全体の65%の企業がハイブリッドワークを導入しています。従業員数1,001名以上の大企業では87%が導入しており、規模が大きいほど導入率が高い傾向があります。

パフォーマンスへの影響

三菱UFJリサーチ&コンサルティングの分析によると、「毎日出社」の働き方をする会社員は、他の働き方をしている会社員に比べて、ワーク・エンゲイジメントやパフォーマンス実感が必ずしも高いわけではありません。

テレワークを組み合わせた柔軟な働き方の方が効果的との分析です。

今後の展望

完全廃止のリスク

Gartnerのアナリストは「リモートワークを完全に廃止することは、従業員のワーク・ライフ・バランスの損失と優秀な人材獲得機会の喪失、そして働き方の多様性を求める社会の潮流からの逆行となる可能性もある」と指摘しています。

最適解を模索

多くの企業が、完全出社でも完全リモートでもない、最適なバランスを模索しています。業務内容や職種によって出社の必要性は異なるため、一律のルールではなく柔軟な対応が求められます。

テクノロジーの活用

ハイブリッドワークを効果的に機能させるためには、テクノロジーの活用が欠かせません。オンライン会議ツール、協働ワークスペース、勤怠管理システムなど、リモートと対面を円滑につなぐ仕組みの整備が進んでいます。

まとめ

2025年、日本企業の出社回帰が加速しています。テレワーク実施率は15.6%に低下し、リモートワークをまったく実施しない企業は22.6%に増加しました。LINEヤフーやアマゾンジャパンなど大手企業も相次いで出社を義務化しています。

一方、従業員の7割超は「週3日以下の出社」を希望しており、企業方針との乖離が顕著です。専門家は完全廃止のリスクを指摘し、ハイブリッドワークの最適解を模索する動きが続いています。

働き方の多様性と組織の一体感、どちらも追求するバランスが今後の課題となります。

参考資料:

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